【真剣!野良仕事】[242=50センチ超クラスの肉厚ホウレンソウ]

2017.3.23(木)

肉厚で巨大!だから美味い!
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↑水洗いしてから正確に測ってみたら、ほとんどが50センチ超!

 船橋農産物供給センターが発行する「おいしい野菜通信」の42号(冬号)に、葉物野菜の生産者が集まって、ホウレンソウと小松菜について情報交換をする座談会があり、生産者ならではの目からウロコの情報が詰まっているんだけど、その中で、ホウレンソウ農家の渡邊さんがこんなことを言っているんです。
「ふつうは大きくなったホウレンソウは加工用に回るから、一般のお客さんの手に渡ることはないんだけど、あれ、本当に美味いのよ。なんとか一般のお客さんにも回るように工夫したいね」
 こんな一文に出会って、ああ、大きなホウレンソウを食べてみたいと思ったのです。

 流通過程で大きさ制限というものがあり、背丈が30センチを超えると取り扱ってくれないということ、フツウのお客さんは知らないだろうな。大きさについては、流通業界も生産者もこんな規格を厳密に定めているんです。それは、スーパーの陳列棚に並べた際の見栄えとか、流通の際のダンボール箱の大きさとか、透明な袋に詰められて出荷されるんだけど、その袋に入らないとか、様々な条件をクリアーするためには、畑で25〜30センチで収穫しないと、売り物にならない。
 だから茎がまだ細くて、少しの風にも折れたりしそうな子供っぽいホウレンソウしか店頭に並ばないことになる。栄養価とか、美味しさを云々する前に、まず大きさで選択され、大きいホウレンソウは畑で廃棄されるか、冷凍加工品として処理されるか。
 そんなこと、フツウの人は知らないだろうな。

 でも、本当に美味しいホウレンソウは、葉も分厚く、緑濃く、表面がピカピカ光っていて、茎もがっしり太く、根っこにあたりも紅色。背丈を測ってみると、40〜50セント。大きく育ったホウレンソウこそが美味い。農家の方々は知っているんです。大きなホウレンソウの方が断然美味いことを。
 でも、八百屋さんやスーパーには並ばない。決して入手できない幻のホウレンソウ。
 でも、何年かに一度、生産者もその年の天候具合を読み切れず、収穫時期に手当てしていた人の手配が上手くいかず、泣く泣く収穫を断念するとかいうことがあるんです。「自然相手の仕事ですから、そうなったらそうなったで致し方ありません」と、平然とした表情で言うんです。「すべては自己責任ですから」と。そしてすぐに平然とした表情を天に向けて顔を歪める。なかなか見られない数瞬の真実です。

 そしてあろうことか、収穫時期をオーバーし、背丈が50センチに巨大化した幻のホウレンソウがこの春先、一畝、ありがたいことに、ありえないことに残されていたんです。
 さらに幸運にも、その一畝を収穫して良いという許可が下り、本日、袋いっぱい、いただいてきました。

 ああ、美味い!
 本当に美味いホウレンソウだった。


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↑広い畑に一畝、残されていた!
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↑茎が太い、葉っぱが分厚い、緑が濃い!
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↑スパゲティに入れて食べたら、いやあ、美味いのなんの!
# by 2006awasaya | 2017-03-23 22:05 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[241= 絶品でした、枇杷ジュース]

2016.6.12(日)

我が家の枇杷はアジサイが咲く時期に収穫

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↑枝から実を外し、軽く水洗いを済ませ、さて、ジューサーに入れる下ごしらえ。右のボウルの実の皮を剥いたのが真ん中の鉢の枇杷。さらにタネを抜いたのがそのお隣。皮むきもタネ外しも、これが結構面倒でした。
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↑ジューサーに入れる前の枇杷とレモンとミカン。
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↑ゴリゴリゴリ、ウーンウンウンと、いかにも懸命に働いていますよとアピールしているみたいな、多少うるさく作業するジューサー。右のメジャーカップにジュースが、左のメジャーカップに絞りカス。絞りカスがたくさん出るのが玉に瑕。
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↑流通ビールではなく、コクのある地ビールのような濁り具合のフレッシュ枇杷ジュースの完成です。意外と言ってはなんですが、素直な甘さでした。ただし、枇杷独特の香りはなし。枇杷の香りを楽しむなら、絞らずに実のまま食べなくてはダメなんですね。


 樹になっている状態で完熟するまで待つと、香りも、味も美味しいのですが、熟れすぎて隣家に落ちたりするとご迷惑をかけますので、今日は梅雨空を見上げながらの収穫です。
 肥料もやっていないのに、毎年毎年実をつける我が家の枇杷です。植えてから20年以上経つのかな。ここ数年は白い花をつけると2カ月くらいで枇杷色も濃くなり、先日、ひとつ摘んで味見をしてみましたら、これが意外と甘かったんです。ちょうど南房総市のカメラマンさんから頂いた市販の枇杷に比べたら、適度にイジケた大きさですが、実の全身を覆う産毛もいい感じで、一気に収穫してしまいました。
 まあ大変。大変でした。収穫作業も大変でしたが、その収穫量。大きめのボウルに山盛り5つ。ジャムにするにしても、使う砂糖の量を考えるとぞっとします。
 そうだ、リンゴの季節にはあれほど頑張ったジューサーを思い出しました。最近はほとんど出番がなく、台所の片隅に置いてかれたまま。そうだ、ジューサーでジュースにすれば、ガンガン飲める。実は、例年は半分以上を、もったいないと思いつつ、生ゴミとして処分していたんです。そうだったか、ジュースにすれば、1週間は保ちそう。
 早速、実を枝から外し、皮をむいて種を取り除き、ミカンとレモンも一緒にジューサーに投入。大き目のボウル2つで紙パック牛乳1本分はありそう。
 で、お味の方ですが、素直な甘さ。でも肝心の枇杷の香りはどこに行ったのかな、柑橘系を入れすぎたみたいです。でも、まだボウルに2つありますから、今週は梅雨入りしたこともあるし、枇杷ウイークって感じで楚々と過ごすことにしましょうか。
# by 2006awasaya | 2016-06-12 19:00 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[240= 「Jazz in 竹林」のポスターが出来上がりました]

2016.5.6(金)

第9回 薫風コンサート情報1

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↑これが第9回 薫風コンサートのポスターです。
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↑これが第9回 薫風コンサートの裏面案内です。
 第9回 薫風コンサートのポスターが出来上がりましたので、まずはお披露目。

 例年のポスターは、竹林を背景に、出演者などを写真で紹介してきましたが、今回はデザイナーの吉野貴博さんに、ビジュアルデザインソフトillustratorを使って原画を描いていただき、ポスターに仕上げました。

 もともと、吉野さんのお母様とは、飯島農園のハーブ園で顔見知りでしたが、何やかやのおしゃべりをしていました折り、「エ! 吉野さんの息子さんって、デザイナーさんだったんですか! まあ、一刻も早くお近づきになりたい。近々、畑に立ち寄ることはないんでしょうか」などというメッセージ交歓をした翌日、当の吉野さんからmailが着信して、即日、メル友になり、「竹林、jazz、コンサート」という三題噺でポスターを作ってみませんかと提案したら、「ええ、是非是非」ということになったのです。

「あのー、後出しジャンケンみたいなんですが、ギャラがないんです。いわゆるボランティア。その代わり、その代わりと言っちゃあなんですが、実はコンサート当日、ボクは生ビール販売の担当なので、吉野さんには多めに泡を注いだり、泡が嫌なら泡無しで目一杯ナマを注ぐことはできるんです。いやいや、待ってくださいよ。たとえビール販売担当とはいえ、チームで動いているので、ボクの身勝手で自分勝手な振る舞いを、快く思われない方もいらっしゃるかもしれませんので、コンサート関係者による連絡会議で、『ノーギャラでは制作意欲も湧いてこないでしょうから、生ビールの飲み放題ということでメンバーの皆さんに承認を受けたいと思いますので、そのような対応でよろしいでしょうか』とメンバー全員の承認を求めてきますので、そんな条件でいかがでしょうか」

 そして後日、畑の連絡会議にて、「ギャラに替えて『生ビールの飲み放題』という提案を吉野さんにしたのですが、この件、お許しいただけますでしょうか。取り急ぎ、この件、ご承認いただけますでしょうか」とメンバーの面々に申し上げ、「ま、既に約束をしてしまったこと、今更目くじらを立ててもなんだし、了承するしかないか」ということになり、その旨、吉野さんに連絡を入れたところ、電話口で「あはは」という言葉にならないお返事。

 よほどに嬉しかったのか、呆れたのか。確認できぬまま今日に至っていますが、そんなこんなの顛末で出来上がった今回のポスターです。

 畑の仲間の阿部さん曰く、「吉野さんには、飲み放題ワッペンとか、飲み放題チケットみたいなものを作ってさしあげた方がいいんじゃないでしょうかね」という私的なヒソヒソ話があり、この件は今後コンサート当日までに解決するとして、まずは第9回薫風コンサートの途中経過でした。

 コンサートは6月5日(日)13:00から、飯島農園竹林にて開催です。
# by 2006awasaya | 2016-05-06 19:12 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[239=元禄当時のネギ、うまし]

2016.3.6(日)
果報は寝て待て

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大半は収穫済みのネギ畑。写真奥に未収穫の畝が見えます。あれれ、こんなちょっと!
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ところが、近づいて見てみると、いやあ、もの凄い量のネギです。スコップが立っているところからネギが植わっているところまで、約2メートル弱を抜いてきましたが、それだけでも凄い量です。重量を量るの、忘れてしまいましたが、約2メートル弱のネギは、30kgのお米を入れる紙製の袋に一杯でした。

「果報は寝て待て」と言いますが、本気で寝入ってしまい、ああ、よく寝たと、寝ぼけ眼をこすりながら、さて、肝心の果報ってなんだったっけ?ということも、最近は結構あるんです。「焦らずに、静かに時機が来るのをじっと待つ」というのが本意にもかかわらず、うつらうつらと寝入ってしまっては、いやはや情けない。
 およそ半年前の炎天下に、ネギの草取りをして、[231=ネギの草取り]として2015年8月3日にアップしたのです。そのご褒美をじっと静かに、立派なネギになるまで、とにかくじっと待っていたにもかかわらず、スコンと忘れてしまって。
 先日、飯島農園の檜山さんから、「早くしないと、あのネギ、無くなっちゃうよ」と言われ、「そうそう、そうでした、忘れたわけではないのですが」と、少し強がりの返事をしたのですが、内実は忘れていたのです。寝ている間に忘れていたのでした。
 そこで、急ぎいただきに上がらなくちゃと、昨日の土曜日に畑に行ってきたんです。
 なるほど、畑にはわずか1畝を残してキレイに収穫済みでした。
 でも、しっかりご褒美は残しておいていただいていたのです。
 嬉しいですね。心ほろほろしてきます。
 あの暑い夏の日、2リットル入りのボトルをゴクゴク飲み干して、全身汗水漬くで働いたご褒美は、畝の長さに換算するとおよそ5メートルくらいでしょうか。とりあえず2メートル弱分を掘ってきました。
 そして一日置いた今日日曜日の夕飯は、ネギをたっぷりいただくお鍋にします。外を見ると、小雨も降り出し、寒さも帰ってきています。夕飯の準備の前に、葱が大好きな芭蕉さんはどんな味わいを句に詠んでいるのでしょうか。
 さっそく加藤楸邨先生の『芭蕉全句』を開いてみたら、ありますね。

葱白く洗ひたてたる寒さかな

 元禄四年の冬の句会でとあります。葱と書いてネブカと読むそうです。水で洗っての白さではなく、寒さゆえの白さだというところにこの句の味わいがあると楸邨先生はおっしゃっていますが、今夜のネギは元禄当時と全く同じ無農薬のネギです。雑草を生やさないために、苗の植え付け時点ですでに畝の底部に農薬を散布するのが当たり前となっている現代農家産の極普通のネギと比べたら、全くの無農薬で作る飯島農園のネギは貴重で、それゆえに高価な農薬がなかった江戸期と同じだと言ったので、手がかじかむ寒い外の水場でネギを洗わずに済むだけありがたい。さあ、存分にいただきましょうか。
# by 2006awasaya | 2016-03-06 18:48 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[238=終わり善ければすべて佳し]

2016.3.1(火)
ニンジンとダイコンのマゼコゼ切干し

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↑畑のお仲間というか先輩の坂本さんから頂いたニンジン、ダイコン入り混じり切干し。乾燥が効いていて、ふんわり軽く、ダイコンとニンジンの香りも豊か。さっと水で戻してそのまま調理できる。ああ、嬉しい頂きもの。
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↑頂いた切干しを水で戻し、房総に行った折、道の駅ふらりで買ってきたヒジキも水で戻して小さな鍋に混ぜ、冷蔵庫の奥の方に隠れるようにあったさつま揚げを細かく刻んで煮込んでみました。常備菜としてはなんともご機嫌な出来上がり。翌日は味もしっかり滲みていて、レンジで30秒チンするだけで、ビールの肴にも極上でした。坂本さん、お礼が遅れましたが、今後ともよろしくご贔屓ください。


 切干しを頂いた坂本さんは、「あたりまえの自然の素晴らしさ、それを維持することの難しさ。町や世相の小さな変化、そんなセンサーを研きたい」という意志を持って「自然って ことは」というタイトルのブログを開いている学級派の農耕人です。昨年末になりますか、「今、切り干し大根と切干しニンジン作りに大忙しなんですわ。この寒さ、この北風の強さに世間様は縮こまっているでしょうが、むしろ感謝しているんです」と、多少強がりのコメントを書いていたことがありましてね。
 ちょうど、こちらは風邪で寝込んでいた時期でしたので、「歯の根も合わぬほどの寒風に晒された切干しなら、さぞや極品でしょう。出来上がったら、ほんの少しで構いませんからいただけませんか」とコメントをつけたのです。
 すると、「出来上がりを待つべし」とリターンがあり、それが先月下旬、ある会合でご一緒した折に、「いつか頂戴って言ってたあの切干し、持ってきたから」と、手渡されたのでした。大きなビニール袋いっぱいに、ニンジンとダイコンの切干しがほぼ半々割のミックス状態で、ごそっと入っている。

長谷川 いやあ、こんないっぱい頂いちゃって!ありがとうございます。これだと相当長期間、食べ続けられますね。いつも、切干しを作る量が少ないので、すぐになくなっちゃう。こんなに沢山頂くと、嬉しさもひとしお長続きしますね。
坂 本 ダイコンの切干しは畑の皆さんも自作しているでしょうが、ニンジンの切干しって、皆さん、そうそうは食べたことないでしょ。乾燥させると甘みが一層強くなるのか、我ながら旨いなあと思います。
長谷川 ええ、ニンジンの切干しって、実はボク、坂本さんに教えられるまで、全く知りませんでした。えっ、なにそれ!状態でしたもん。しかも、ダイコンとニンジンがマゼコゼ状態になってると、いちいち混ぜ合わせる手間も要らないし、いきなり調理というか、水に漬けてしばらく時間を置けばすぐ煮始めればいい。なるほどと思いますよ。一体全体、誰がこんな工夫をしたんですか。坂本さん、でしたか。
坂 本 あはは。全くの偶然なのよ。それまではダイコンはダイコン、ニンジンはニンジンと、別々に干していたの。それで、乾燥が終わって、取り込む段で風をもろに受けて混ざっちゃっただけなの。でも、結果はそれが正解だったんだけど、混ざっちゃった時は、正直、あれれ、どうしよう、元どおりに選り分けるのは大変だ、どうしよう、どうしようって、作業に当たっていた全員が途方に暮れて、でも、これはこれでいいんじゃないという慰めというか、優しい執り成しの意見もあり、その時はそのままマゼコゼの一部を各人が持って帰り、自宅で料理してみたってわけ。で、切干しの煮物をやってみると、手間いらずだってことが実感できた。
長谷川 結果オーライってわけですね。
坂 本 う〜ん、そう言っていいのか。
長谷川 失敗は成功のもと、でしょうか。
坂 本 う〜ん、かすっているけど、微妙にずれているような。
長谷川 失敗は成功の母、という言い方だと、何かの発明品かということにもなりそうで、単に混ぜて後々の工程を便利にしたにすぎなくもなく。
坂 本 やはり、終わり善ければってところでどうでしょう。風のいたずらなんですから。
長谷川 ということは、結果オーライってことで。

 そんなこんなの問答を交わし、ありがたくマゼコゼの切干しを頂いて、早速作ってみたんです。そしたら、ニンジンの甘いこと。来年あたりは、各地の農産物直売所でも流行りそうな気配がしてきました。
 これから、切干しの煮込み以外に、半生に戻してからかき揚の天ぷらがどんな具合になるのか、近々試して、美味いか不味いか食えないかの報告をすることにしましょう。
# by 2006awasaya | 2016-03-01 20:53 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[237=申年用の注連縄づくり]

2015.12.20(日)

申年用の注連縄づくり
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↑申年用注連縄三種。上は指導してくれた飯島さん作、中は阿部さん作、下は長谷川作。一番上の注連縄はどこかゆったりとしていて、このゆったり加減を形容するとなると「駘蕩」というところでしょうか。中の注連縄は握ってみると元気な赤ちゃんに見られる「固太り」の健康優良児の脹ら脛かしら。下の注連縄は一見、気持ち太めの縄みたいで、これ以上に藁を力任せに絞ると、藁が悲鳴をあげ、ブチっと千切れてしまう寸前。なんにしろ、神さまの憑代を作るには、やはり力加減がモノを言うのですね。


 先週の週末、飯島農園の竹林整備を終え、藁小屋手前にゴザを敷いて、畑のメンバ一同で注連縄づくりに挑戦しました。挑戦なんて大袈裟な言葉を使いましたが、毎年暮れの農園の定例行事なんです。今年の稲藁を1束、脇に抱えた飯島さんが大きな声を張りあげます。
「みなさん、注連縄づくり、始めますよ」
 開始の合図が精進潔斎を済ませましたよという雰囲気の声音で、みなさん、ちょっぴり背筋ピーン。
 もちろん、注連縄の出来上がりよりは、参加各人各様の饒舌と破顔、褒めちぎりの末のわっはっはが続く正味1時間が持て、来たる申年が実り大き年になるに違いないと実感。ステキで愉快な仲間の素顔を紹介しましょう。
 

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↑相当善き出来という気持ちが表情に出ている大内さん。
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↑右足の伸ばし加減と押さえ加減を見てくれって顔をしている尾上さん。
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↑ご本人は不器用だとおっしゃるが、なかなかの出来栄えに満足している山口さん。
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↑誰がなんと言おうと最上の出来って顔をしている小林さん。
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↑上手くできる人もいれば、なかなかに満足するものができない人もいて、それがこの社会ってもんだと、深遠なご意見を寄せる大村さん。
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↑年内はクリスマスリース、年を越したら注連縄!その多様性のために若干細身に綯うミセス大村さん。
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↑右膝で注連縄の尻を固定し、美的にもかなり上級な出来上がりとなった鶴見さん。
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↑初めからリースを念頭に、この後、笹や小竹、松ぼっくり、南天を差し込み、和風のクリスマスリースを作った曽根さん。
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↑何をやってもレベル以上の仕事ぶりと言われる庄内藩の作事奉行の阿部さん。
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↑一度目はしっかりと失敗し、二度目は完璧に本物を作る井上さん。
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↑毎年毎年、教えても教えても忘れてしまうこのメンバーに、しっかりと教えてくれる飯島さんでした。
# by 2006awasaya | 2015-12-21 18:48 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[236=冬枯れの畑]

2015.12.13(日)

冬の色がいいですね
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↑霜が下り、カチカチに凍っていた池も、淡い日差しを受けて緩み始め、見ているそばから溶け始める。畑へのエントランス脇にあるビオトープを覗くと、澄んだ水の底にヤゴなのかな、動き回るものの影が見える。椿が落ち、山茶花が散り、ああ、冬の色だなあと深く大きく深呼吸。


 普段は畑に出てくる時間がずれたりして、挨拶を交わすだけの、なかなかおしゃべりまで交わせない方が多い今日この頃。
 そんな、寒さがきつい土曜日の午前中。人の気配のない畑に入り、自分の区画を中心に草取りをし、大根を数本抜き、洗い場で抜いたばかりの大根にタワシを当てて土を落とし、誰もいないのをよいことに、気持ち大きめの声で「さて」、なんて自分に一声かけて引き上げようとしたら、「おや、珍しい」と声がかかりました。
 自分でもびっくりして振り返ると、先輩の小林さんでした。

小 林 おやおや、驚ろかしちゃったですか。でも、久しぶりですね。
長谷川 そうですね、本当にお久しぶりです。お変わりなく?
小 林 ええ、変わりなくがずっとです。でも、ネギの畝は土寄せがしてあるので、ああ、畑には来ているんだなあと。こうして顔を合わせてお話するのは、ジャズコンサートのとき以来でしょうか。
長谷川 そうなるかもしれませんね。あれは6月の頭でしたからもう半年にもなるんですね。いやはや、早いもんですね。何もかもの時間の進み具合が、最近は特に速くなっているように感じるんですが、小林さんも同じように速く進みますか。
小 林 ええ。とにかく速いですね。現役の頃はもっともっとスローでゆったりした時間が流れるんだと思っていたんですが、いざ退職してこうした日を過ごしてみると、何やかやの用事が湧いて出てくるようで、予想していたことと全く違っていることに驚くばかりです。
長谷川 ボクも全く同感で、退職したら特徴のない間延びした時間が嫌になるほど目の前に広がっていて、そうした時間に浸っていると、息をつくのも忘れたようになっていて、挙句、むせたり、もがいたり騒いだりして、かなりみっともない動きをするんだろうなと。そんな無様を畏れていたように思っていたんですが、現実はとんでもなく騒がしく、気ぜわしく、毎日が師走のようで、なんだかとても焦っています。

 そんなことを洗い場で立ち話していました。
 いろいろな愚痴話がありますが、話のタネは今昔物語に似て、昔と今の差異をあれこれとつつき回すことが多いようです。

 意見交換にも飽きて、やがて小林さんから話題を切り替えてくれました。引っこ抜いて土を落とした大根を指差して、やっと本線の作物話にシフトしてくれました。
 作った野菜の自慢も、この話題ならば少しは練り込めますから大歓迎。

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↑右がオフクロ大根、真ん中が江都青長、左が紅芯大根。残り少なくなって、立派な大根は食べちゃって、ああ、残念。

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↑帰ってきて、卸金で降ろした状態。右が江都青長、左が紅芯大根。

小 林 いい大根ですね。
長谷川 いやあ、欠株が多くて、一時は全部植え直ししようと思っていたんですが、そうこうしているうちに芽を出してくるところもあったりして、結局、9割がた揃ってきたんです。種の、ちょっとした深さが原因かもしれません。浅い種は早く芽を出し、蒔くときの注意書きより深すぎた種は芽を出すのが遅くなったって感じなんですが。
小 林 そういうこと、あるでしょうね、わずかな違いで揃ってこないってことは。私は今年、三浦大根が全く芽を出してくれなかったんで、なんでかなあと随分考えて、やはり蒔く時期が遅かったのか。多分、時期的な違いは大きなことなんでしょうね。
長谷川 ボク、皆さんより少し早めに蒔いたんです。大根を4種類。普通のオフクロ大根と、身がグリーンの江都青長、それに身が紅い紅芯大根。そして身が黒い黒大根。
小 林 なんだか珍しい野菜を作るのが好きなの?
長谷川 いえ、別に好きってことじゃないんですが、冬場の食卓って色味が乏しくなりますでしょ。それで少しでも色とりどりになればと、野菜のカタログを見ながら、できるだけ簡単にできて、病気にも強いのを選んで、やってみたんです。これがまあ、途中1回間引いたきりの放ったらかしで上手くできたんです。
小 林 そうですか、それは良かった。
長谷川 ただし、黒大根は発芽しなかったんで、来年また、チャレンジしてみます。向こうの通りのプロはしっかり黒大根、大きくなっていました。今日はもうほとんど収穫を済ましてしまって、残りわずかなんですが、よろしかったら、身が紅い紅芯大根がまだ残っていますので、一ついかがでしょうか。
小 林 外見はカブみたいですが、これが大根なんですか。
長谷川 ええ、先っちょを切ってもらうと分かりますが、身が赤いんです。うちでは卸してレモンなんかを絞って食べています。辛みもなく、これといった特徴はないんですが、色が鮮やかで、ちょっと自慢顔でテーブルに座れるんです。
小 林 それ大事ですよ。さっきお話しした三浦大根なんですが、去年、宮崎に旅行に行った時、切り干し大根のように干した大根が美味しくて、地元の人にこれなあにってしつこく聞いて回って。
長谷川 宮崎ですか。巨大な櫓に丸太を組んで、そこに大根を干してあったのを覚えていますが、あんな風に干した大根だったんですか。
小 林 櫓は知りませんが、切干しはヒモみたいな仕上がりでしょ。でもそうじゃなく、短冊形だったかな。今でいうフリーズドライの大根でしょうね。そのカラカラに乾いた、凍り豆腐のような大根を水で戻して、それから煮込むんですが、あの味が忘れられなくて、今年、三浦大根をたくさん植えたんです。でも、どうしたことか失敗して、飯島農園産の三浦大根を買ってきたんです。
長谷川 いい大根ですね。高かったでしょ。
小 林 こんな立派なのが100円でしたから、3本も短冊にしたらずいぶんな量になっちゃうでしょうね。一冬では食べきれないくらいですよ。
長谷川 そうか、ボクも真似してみようっと。切干しはカットするだけでも大変ですが、大ぶりにカットすれば干すところもスペースを取らないし、輪切りでもいいんですよね。厚めに切って、開きの干物作り用の三段ネットで充分でしょうね。帰って早速やってみます。

 そんな情報交換を、時間にして15分くらいだったでしょうか。帰宅してオフクロ大根を2本、大きめに輪切りにカットして三段ネットに並べてみました。ずっしりと重い三段ネット。このずっしり大根が乾いて、軽くなれば出来上がりです。小林さんによると、保存も効くというので、年を越した春まで楽しめそうです。

 久しぶりの立ち話で相当、好き勝手の話ができて心も軽くなって、はて、こんな空気を大根好きの芭蕉は句に残しているに違いないと、『芭蕉全句』をパラパラめくってみましたら、さすがですね、好きな食材はきちんと句に読んでいました。

もののふの大根苦きはなし哉

 加藤楸邨先生はこの句を次のように説明しています。
「今日は武士とはなす機会があり、多少かしこまった折り目正しき話ばかりとはいえ、こうしていただいた大根のピリリと苦いのと同様、誠に身の引き締まる思いでございます」
 失敗譚から干大根、さらに色自慢まで、立ち話とはいえ、大根尽くしのひと時でした。
 小林さん、ありがとうございました。
# by 2006awasaya | 2015-12-15 18:44 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[235=ワカメ養殖の現場を見学]

2015.11.30(月)

ワカメ養殖の現場を見学
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↑海中に漂う養殖ワカメです。冬の光を受けながら、光合成を繰り返し、立派なワカメになっていくんですね。透明な海でした。

 越喜来湾の漁師・遠藤さんとfacebookで繋がっているので、仕事場としての三陸の海の様子がアップされると、ポーンという着信音の合図とともに、すぐに閲覧できる。全くありがたいことです。直線で大船渡と船橋は600km離れているのですが、クリックして開くと、なんて美しいんだろう、三陸の海。まったく便利な世の中になったものですね。

 で、11月7日の20:45に着信音がポーン!

 遠藤さんの三陸漁師リポートがfacebookに。
 開いてみると、そこには初めて見る写真がアップされていた。
 あれれ、なんだなんだ、この縄暖簾のようなものは。一体全体、何なのかしら。

 コメントを読む。ワカメの養殖がスタートしたらしい。縄暖簾のような縄の一本一本に、ワカメの胞子が埋め込まれていて、その縄暖簾が海中に仕掛けられ、やがて海中で成長を続け、あの絶品三陸ワカメとなっていくらしい。TBSのBSで放送されている情熱大陸という番組中に、「遠藤さんも写っていましたね」なんて書き込みもあり、今まで知らなかった世界に俄然、興味津々。「ボク、ワカメの養殖現場、初めて見ました。明後日伺いますので、ぜひ見せてください」なんて書き込みをしてしまったのです。

 Facebookにアップされていたその「縄暖簾」写真をここにピンナップします。
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↑これです。雨に濡れた縄暖簾って感じ、したんですが、他に喩えが見つからなくて。

 そうか、ワカメって、こんな縄暖簾(これを「ワカメの種糸」と呼んでいる)のようなロープにワカメの種というか、胞子を付けて養殖しているのかと、ぼんやりながら想像することができました。木材の製材で出るオガクズに椎茸の菌を植え付けて育てる「菌床椎茸の栽培法」にどこか似ているかも。

 ネットで「ワカメ養殖」を検索すると、作業のサイクルが分かる「ワカメの一生」というスケジュール図がありました。
 遠藤さんのところのワカメは11月からの「本養成」に差し掛かった時期でした。
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↑ワカメはこうしてできるの図(三陸ワカメ生産組合のホームページより)

 話は変わりますが、三陸の漁業者には、3.11 の震災を契機に、より正確に漁師の現況を発信している方が多く、そうしたブログを読むだけでも大変勉強になりますが、ボクはそんな幾つかの優れたブログの中でも「防波堤は壊れても〜たろうの海〜」を比較的よく覗きに行くのです。

 2014.01.29に「ワカメの種糸」とのタイトルでアップされた記事を読んで、一層、このブログを注視するようになりました。

 それは、3.11 で被災された漁業者に、ワカメの種糸を譲り受けに訪ね歩く一文なんです。とにかく、何もかもが津波でもっていかれてしまったわけですから、ワカメ養殖を再開しようにも、作業小屋にあった道具から網などの一切合財がなくなってしまったわけで、「一から出直す」というモノの喩えがありますが、三陸では「ゼロからのスタート」なわけです。

 津波の被害を等しく被りながらも、比較的高台にありながら、養殖漁業の継続をされないお宅は、当然のことながら重要な働き手を失ったわけで、漁業再開をしたいので、被災から免れていた養殖用具を譲ってくださいとは、なかなか言い出しにくいわけです。

 ブログにはその辺りの、頼みにくい状況と思い遣る心情が克明に描かれていて、さもありなんと頷くばかりです。

 例えばこんな具合です。
 漁業継続しようにも、ワカメの種糸がなければ始まらないわけで、ある漁業者のお宅に種糸があるかどうか、あるなら分けていただくことができるのかどうか、お願いに行くと、津波で行方不明になった漁業者のお母さんが出てきて、
「息子の形見のような気がして、本当は譲りたくはないんだけど、でも、養殖の皆さんが困ってるんだろうし、漁協のためなら譲りますよ。いいワカメを作ってください。でも、記念に2〜3枚、残しておいて頂けますか」と。
 よほど几帳面だったのか、綺麗にたたまれた種糸を見て、ただただ頭を下げてもらって帰ってきた。
 そのように書かれていました。

 現場の漁師さんは、ワカメの種糸を探し回ってあの震災の年以降、漁業再開したのですね。

 ところでその種糸がどんなものなのか、遠藤さんの船でワカメ養殖の現場に案内していただき見てきましたら、やはり縄暖簾そのものでした。縄の材質はシュロで、一定の長さに切り揃えて暖簾状にし、その暖簾をワカメの胞子をとったプールに漬け、胞子が発芽してやがて若葉のような幼葉を確認したら実際の海へとセットするのですが、遠藤さんが「ワカメは3ヶ月から4ヶ月でお金になるから、全くありがたいんです」とおっしゃっていました。主力であるホタテもカキも仕込んでから出荷できるまで2年から3年はかかることを考えれば、ありがたいという呟きは真実そのもの。
 
 では、以下に、越喜来湾の崎浜港を出航してからワカメの養殖現場までをカット割りで見ていただきましょうか。
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↑出航準備中の第五崎浜栄丸です。
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↑積み上げられたテトラの奥に、新たに建設中の堤防です。
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↑遠藤さんのワカメ養殖の区画に到着して、目印の浮き玉下のロープを引き上げるところです。
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↑ワカメは結構浅いところで漂うようにセットされています。海面下1メートルくらいだったでしょうか。あまり深いと太陽光が弱くなり、いいワカメになりません。
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↑ロープには、こんな具合に、ワカメの種糸が縄暖簾状態で吊り下げられていて、人の力では到底引き上げられませんので、ウインチで引き上げていきます。
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↑生育の具合をチェックする遠藤さんです。「うーん、種がいいと、いいワカメになる。今年も楽しみだ」と遠藤さん。

 この後、間引きをして、来年春には収穫が始まるので、美味しいワカメが味菜畑で買えるだろうし、また楽しみだ。

 ワカメの見学を終えたところで、遠藤さんから、「最近導入した新兵器、見ていきますか。今、瀧澤が近くでその作業中なんです。見ていきませんか」と提案してくれる。ワカメの現場同様、見たかった現場でした。

 確か11月早々に、遠藤さんのfacebookに新兵器の「洋上ホタテクリーナーを船上に取り付けた」とアップされた記事があり、機会があれば是非とも見てみたい作業だったのです。真剣!野良仕事の過去の号、[212=三陸通信5●第2回三陸懇親会報告]でも説明したしたが、養殖現場の海から引き上げたホタテは、フジツボやクラゲなどで貝殻が覆われていて、鉈のような専用の包丁でそれらの付着物をこそげ落とすのです。農家のバックヤード仕事同様、消費者の目に触れないところで、農産物も魚介類も、大変な作業を経て売り場に出回るんだと、感慨一入だったことを思い出しますが、その大変厄介な作業を洋上で済ませることができるというのです。
 遠藤さんの説明によると、6月に耳吊りしたホタテを一本一本、船上に取り付けたこのクリーナーに通すことで、ホタテの貝殻に付着しているフジツボなどをクリーニングしてくれる機械なんだそうです。ブラシや鉈などでこそげ落とすのではなく、汲み上げた海水を高圧で噴射してクリーニングするんだとか。しかも、このマシーンを通して貝殻をキレイにしておくと、ホタテ自身の成長にもいい効果があるということが書かれていました。
 その現場に案内してくれるというのです。

 洋上を移動すること10分。瀧澤さんの船が見えてきました。
 では、その洋上クリーナーの稼働ぶりを写真で紹介しましょう。

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↑瀧澤さんの船です。クレーンでホタテの釣り下がっているロープを引き上げて、何やら作業をしています。基本は操船から洋上作業まで全部一人の作業なんだそうです。
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↑船縁に付いているのがこの洗浄クリーナーです。ホタテが吊り下げられたロープを円形の回転ドラムで巻き上げ、その円形ドラムの奥にある洗浄ルームで高圧の水流を噴射しホタテ貝を洗浄。斜め下向きの樋を伝って、キレイになったホタテ貝がまた海中へ戻っていく。その作業全体がよく見えました。
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↑遠藤さんのfacebookに紹介されていたクリーナー写真を転載します。円形の回転ドラムはこんな具合になっています。貝殻にはフジツボなどが付着しているのが見えます。円形の回転ドラムの左にある四角い洗浄ルームで高圧の海水を吹きかけられ、反対側から海へと戻っていきます。
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↑洗浄されて出てきたホタテ貝です。なるほど、キレイに付着物が除去されていますね。手作業ではこんなにキレイにするのは時間も技も大変。「出費ばかりですが、随分と体が楽になりました」と遠藤さんが言っていましたが、体あっての仕事です。
# by 2006awasaya | 2015-12-02 17:45 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[234=記憶を生き埋めにする]

2015.11.23(月)

第4回 三陸懇親会 報告

 10月6日に「第4回 三陸懇親会 参加しませんか」と、このブログで呼びかけました。東日本大震災からすでに4年半が経過していますから、「関わりを維持するには目新しいトピックがないと無理かもね」なんて訳知りを言う心配性がいても当然。さらに、「毎年毎年、農産物を届けるだけではマンネリだ」と指摘する声も聞こえてきて、「そろそろ、イベントとして模様替えの時期じゃないの」と、掻き分け掻き分けボクの耳元で囁く始末。

 そもそも、このイベントの当初の目的はなんだったのでしょうか。
 被災された三陸の漁師さんたちが被災後も漁業継続できるよう、再開した漁獲を「食べて応援する」という、無理なくお付き合いできるスタイルで応援支援し、せめて年に一度はお酒でも酌み交わす「懇親会」でも持ちましょうよというのが始まりだったはずです。
 その懇親会が単なる「飲み会」になってしまったのではないかと指摘され、実のところ相当程度、腹が立ちました。
 でもですね、腹が立ったのは、曲がりくねったその物言いに対してで、言われた内容はまさしくその通り。懇親の回を重ね、やっとごく普通の「単なる飲み会」になってきたことをこそ、むしろ喜ぶべきで、なんとも正鵠だったと納得して三陸に行った来ました。

 11月10日、大船渡湾を眼下に見下ろす高台に建つ大船渡温泉にて、陸前高田の区長・伊藤光男さん、広田湾の牡蠣漁師・吉田善春さんを囲み、近況のちょっとした確認を早々に済ませ、この一年のそれぞれの愚痴と野暮を交歓する「単なる飲み会」をやってきました。肩肘張らずに、大声をあげることもない「飲み会」でひと時を過ごしてきました。
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↑ごく普通の飲み会。白濁のお酒は、陸前高田の地酒、酔仙酒造の原酒「雪っこ」です。
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↑全員集合のほろ酔い写真です。

 翌日、越喜来湾のホタテ漁師・遠藤誠さんの第五崎浜栄丸に乗せていただき、本養成に入ったばかりのワカメ養殖の現場を見学(このワカメ養殖現場の報告は別便でアップするつもりです)、崎浜港に戻り、帰途に就きました。途中、陸前高田の現況を確認してから帰りましょうということで、市街地かさ上げ工事中の現場に立ち寄ってきました。

 すでに巨大なベルトコンベヤーでの土砂運搬は役割を終えていて、かさ上げされた区画と区画の間を数台のダンプカーが走り回っているだけでした。
 そのかさ上げ工事現場から受けた印象が、帰宅後何日経ってもまとまりを持てず、そんなこんなで三陸報告が遅れたのですが、本日の読売新聞朝刊27面に掲載された藤村龍至さんの「考景2015」を読んで、若干ながら得心することができました。
 藤村龍至さん(東洋大建築学科講師、建築家)の掲載原稿は、学生たちを引き連れて東日本大震災で被災した三陸を横断的に見るという内容で、復興プロジェクトに関わるそれぞれの自治体の考え方や取り組み、意思の決定過程の相違が学生たちにもよく見えたに違いないという報告でした。多少図式的に言い直すと、三陸の各自治体は津波を堤防で防ぐか、地盤をかさ上げするか、その防災意識の在り方そのものの壮大な実験場になっていて、次代を担う学生たちにこそしっかりとした記憶の定着を期待するという記事でした。

 実は、陸前高田のかさ上げ工事に対しては、税の根拠ともなる区画の評価を今後どうするんだろうというぼんやりとした関心くらいしか、ボクは持っていませんでした。陸前高田のお隣の大船渡では建物の基礎というかコンクリートの土台が市街地の各所に残り、区画台帳という記録書面と実際の区画をすぐにでも照合できるのに、陸前高田では区画台帳という記録書面だけになっている現状に、住民はどのように対応しているのか。なんとも難しい局面を今度どのように乗り越えていくのだろうと、その行政現場の困難に、頭がフリーズしたままでいました。
 その凍りついた思考を、藤村さんは、「生き埋め」という表現で解凍してくれたのかもしれません。
 
 市街地のかさ上げ工事について藤村さんは、
「土木工事のかさ上げには、誤解を恐れずに言えば『記憶を生き埋めにする』かのような強い力がある。防災のためであり、それぞれの都市の選択の結果だとしても、その大きさは想像以上であった」と書いていた。
 次回、懇親会では、陸前高田の伊藤さんに、全く新しい風景となっている陸前高田市街地の有り様について、意見交換をしてみたいと思います。
# by 2006awasaya | 2015-11-23 16:21 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[233=芋掘り日和]

2015.10.24(土)

三陸へ持参するサツマイモ3種、掘ってきました

 11月10日と11日に三陸の漁師さんを訪ね、東日本大震災被災地支援の一環として三陸懇親会を企画していることは、今月初旬のこのコーナー[232=三陸へ行きましょう]でご報告しましたが、その折に持参するサツマイモを、おいしい野菜公園のメンバーで掘ってきました。
 まったく好天気で、こういう日をまさに「芋掘り日和」というのだそうです。
 思わず聞き直してしまいました。
「ええ? 芋掘り日和? なんです、それ?」
 すると、「知らない人は知らないんだ」とばかり、鼻をヒクヒクさせながら、ちょっぴり上から目線で、説明を始めた飯島幸三郎さん。
 なんでも、お芋を掘ってからおよそ半日、日に晒してお芋の表面を乾かすと、品質をいい状態で保てるのだそうです。このちょっとした乾燥をしておかないと、せっかくのお芋にカビが生えたり、あとあと、味が落ちるのだそうです。
「一番いいのは、今日みたいなカラッと晴れた日の午前中に掘り上げて、お芋の表面に付いた土が白っぽくなるまで乾かしておくんです。午後になって日が弱くなる頃、掘り上げた畝に寝かして乾かしておいたお芋をコンテナーに収納するんだけど、掘り上げていきなりコンテナーや袋に詰めると、とんでもなく後悔することになるんです」と、飯島幸三郎さん。なんだか、自慢気な表情。まるで今日のこの日の好天気があるのは普段からの自分の行いあってのものって感じなんです。でも、なかなかいいもんです、だれ憚ることなく自慢するのって。
 それはさておき、約100メートルの畝9本のうち、1本は紅はるか、5本が紅アズマ、残り3本が紫色のパープルスイート。
 ほぼ予定通り、午前中で掘り上げは完了。午後になって、農園のメンバーで乾いたお芋を収納して、作業完了。午前中にお手伝いしたメンバーには、なんと3種類のお芋それぞれ1kgずつと三陸産のワカメがプレゼントされて、なんだかとっても幸せな気持ちで帰宅しました。また来年も、芋掘り日和でありますように。
 三陸の漁師の皆さん、今年のお芋は格別においしいお芋ですよ。

 以下、おいしい野菜公園の芋掘り参加メンバーを紹介しておきましょうか。
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↑阿部さん。
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↑阿部さんの奥さま。
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↑大村さんの奥さま。
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↑大村さん。
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↑井上さん。
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↑篠塚さん。
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↑小林さん。
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↑大内さんと上原さん。
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↑農園の是永さんと檜山さん。
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↑飯島幸三郎さん。
# by 2006awasaya | 2015-10-24 18:35 | 真剣!野良仕事