【真剣!野良仕事】[118=蝦茶か駱駝か、色味の違い]

2010.2.8(月)
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↑左が2009年仕込みのお味噌、右が2007年仕込みのお味噌。手元にある『色の手帖』で色を捜していたら、2009年の味噌は「蝦茶」に近く、2007年の味噌は哺乳動物ラクダの毛のような色「駱駝色」に近い。

2009年は蝦茶、2007年は駱駝

 おいしい野菜公園のホームページを作るにあたって、実作業を担当してくれる金谷さんとおしゃべりする機会があり、ついでと言ってはなんですが、聞いてみました。「2009年仕込みのお味噌と2007年仕込みのお味噌、麹が違ったのでしょうか。お味噌の色味が違うのでこんなことを聞くんですが」

 すると、金谷さん、「mailでも同様の疑問を発信されていましたよね。色の濃さが違うのはどんな原因なのか。あの件、ですよね」と。2007年から毎冬、寒さが一番厳しい時期に泊まり込みで麹づくりをしていただいているのです。味噌仕込みの原点とも言える「麹づくり」を、今年も含めて4年間、担当していただいているのです。

金 谷 飯島さんに直接、確認された方がいいと思いますが、多分、温度の問題だと思います。飯島さんはよくこんな風におっしゃってますよね。『仕込んだ味噌樽は、特別に冷暗な場所に置いておかなくてもいいんです。階段下の物置とかでもいい』って。室温が一定していなくてもいいって。お日様に晒される場所にこうした発酵食品を置くことはしないとして、『台所の隅に置いておくだけで、このお味噌は結構おいしいお味噌になる』って言いますよね。
長谷川 ええ。まったくそのとおりで、お味噌自体は実においしい。そのことはそれでまったく問題としていないんです。おいしさについては。で、お聞きしたいことは色味についてなんです。2009年ものは階段下の収納スペースに置いておいたんです。2007年ものは2階の収納スペースに、それこそ置きっぱなし、放っぽりっぱなしにしていたんです。で、親戚に別けてあげようと思って、お味噌の桶を覗いてみたら、去年の仕込み分はすでに底をついているではないですか。あれれと思いながらも、待てよ、たしか、2階の納戸に仕舞い忘れたかもしれないと手前からモノを運び出して捜したら、なんと、ガラクタの奥に1樽あったんです。文字通りの放っぽりっぱなし状態で3年、寝かされていたんですね。封を切って、ラップをはずし、桶の円周に沿って黒いカビと青いカビが帯状に1センチ幅でまだら模様のように取り巻いているのを丁寧に取り除くと、なんともいい香り。さらにお味噌の色味もこれが優しい色になっていてですね、2009年に仕込んだ味噌とは全然違う色をしているんです。
金 谷 そんなに色が違っていましたか。
長谷川 ええ、ほぼ1年前の2009年のお味噌は三河の八丁味噌のような、ダークブラウン、蝦茶。2007年ものは、よく枯れた竹の色というか、駱駝色というか、明るく優しい色。おいしさはほとんど変わらないんですが、なんでこれほどの差異ができてしまうのか。そこが知りたかったんです。
金 谷 きっと、色が濃いお味噌は熟成が進んでその色になったんだと思います。
長谷川 ということは?
金 谷 2007年ものを置いておいた場所は、年間を通して温度が一定だったんじゃないでしょうか。2009年ものは四季の温度変化がしっかりあったんじゃないかと。私自身も気になって一昨年ですか、味噌樽を二つ、置き場所を変えてみたんです。やはり仕上がりの色味に違いがありました。
長谷川 そういうことだったんですね。そういえば、2階の収納は、夏でもすこしひんやりしているんです。それで飴色というか、駱駝色のお味噌に仕上がっているんですね。
金 谷 詳しいことは、やはり飯島さんに聞かれるのが一番いいのではないでしょうか。

 こんなおしゃべりをして、ボクは大いに納得したのでした。
 家に帰って、金谷さんがわれわれメンバーに「味噌づくり」「麹づくり」についてたしか何通もmailを発信されていたことを思い出し、mailの送受信ログを検索したら、2008年1月に、こんな内容のmailを発信されていました。金谷さんご本人に引用するokをいただいたわけではないのですが、その一部を紹介させていただきます。このmailを読むと、周到に経過を見渡すことのできる青年なのだと、改めて佳き人にめぐりあえたことに感謝にして深謝しきりですね。

【2008年1月・金谷さんからのmail】
丸一年には4日早かったのですが、去年仕込んだ味噌を今日開封しました。容器の内側、サランラップのふちに1センチほどのカビの帯が出来ていました。数種類のカビがあって、勢力争いをしているようで、しばらく見入ってしまいました。

カビをそっとよけてから、ラップとキッチンペーパーをはがしたら、とてもおいしそうな味噌が出来ていて、ほっとすると同時にとても嬉しくなりました。「あれから一年経ったんだ〜」と色々思い出しつつ、幸せな気分に浸りながら小さな容器に少しとりわけました。ちょっと味見してさらに幸せになりました。今日は良い夢が見られそうです。

今までお店で買って食べていたお味噌ですが、自分で作って食べるのにはこんなに時間がかかるものなんだ、と改めて実感した次第です。

今年からは田んぼの畦で大豆を作ってみようと思っています。いつか、少しだけでも「マイお米で作った米麹」と「マイ大豆」でお味噌を作ってみたいです。「マイお塩」もできたらすごいなー、と夢をふくらませつつ。

【飯島さんからの伝言】
 いま、2010年の味噌仕込みのため、好人舍で麹づくりをやっています。金谷さん、鷹島さん、是永さんもいっしょに作業しています。話題の中心は仕込んだ樽の中で、はて、塩と大豆と麹といった材料がどんな具合に味噌に変わっていくんだろうということ。成熟というか熟成というか、その過程についておしゃべりしていたんです。味噌樽の内側に入った気分でおしゃべりをしています。
 是永さんはビオトープ管理士の資格を持っている微生物の研究者なので、その実際については直接聞いてみてください。きっと面白い話がたくさん聞けると思いますよ。
 それはそうと、これから話す内容は空想ですから、間違っているかもしれません。
【色味についての考察1】
 長い経験で味噌の色味についておしゃべりすると、一般的には熟成が進んだ味噌は焦げ茶色ですね。何ゆえに色が濃くなるのか、その点も是永さんに聞いてください。とにかく、熟成は積算温度で決まるということです。スギ花粉の飛散が1月1日を基点に、地方によって違ってきますが、東日本では積算温度が200度を超えると飛散が始まるということが最近、言われています。味噌の熟成と積算温度の関係は今度、調べておきますが、2年とか3年とか寝かせる時間によっても違ってくるんでしょうね。ただし、10度を超えないとカウントしないとか、30度を超えると倍掛けになるとか、微妙な方程式で熟成が進み、おいしくなっていくんでしょうね。積算時間が色味に関係している、らしい。
【色味についての考察2】
 味噌樽の中心部分と外側でも色味が違ってきます。樽に触れるような外周部の味噌は色が濃くなっていますよね。中心部分は小麦色というか、淡い色。これも外気温との関係だと思います。
【色味についての考察3】
 田舎の家にいくと、味噌部屋というのがあるの、知ってますか。母屋の北側、日射しが入らない薄暗い部屋、当然、窓なんかありません。そんな部屋に、仕込んだ樽を置きますよね。年間を通して、温度変化があまりないという条件が、おいしい味噌のためには必要なんじゃないかと、そのように空想します。

 何を言いたいかというと、長谷川さんが問い掛けていた2007年の味噌と2009年の味噌では保管場所で色味にこんな差があったんだということへの、回答です。

 とりいそぎ、味噌熟成と温度の関係について、電話で申し訳ないのですが、おしゃべりしました。詳しくは微生物研究者の是永さんに聞いてきてください。
by 2006awasaya | 2010-02-09 10:52 | 真剣!野良仕事


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