【真剣!野良仕事】[130=お米の話(9)]

2010.9.12(日)
初めてのバインダー刈り取り体験
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↑山田さんからバインダーの操作方法の説明を受けるわがメンバー。

[好人舍にて]
 明日は9.11のテロがあった日だなあ、あの衝撃映像をボク、大阪のビジネスホテルのテレビで見ていたんだっけ、ニュースステーションで久米さんが、「なんだコリャ!」なんて奇声を上げていたなあと、ぼんやりながら、そんなことを思い出しながら、明日は稲刈りの日だから体力温存第一、いつもより早く寝なくちゃと、21:00には寝たのですが、この半年の田んぼ体験の反省などを始めてしまい、なかなか寝付かれず、結局、寝坊したのでした。
 朝飯も食べずに好人舍朝8時集合の時間ギリギリに到着すると、すでにメンバーは円陣を組んだような集まり方をしている。その中心には今日の刈り取りを指導してくれる山田さん。なにせメンバー全員が未経験者。肝心の飯島さんとインストラクターの鷹島さんが研修旅行で不在。9月5日の時点でこのスケジュールは変えようもなく、飯島さんは収穫作業の応援依頼を山田さんに伝え、山田さんから快いOKが出たと、ほっと一安心の鷹島さんでしたが、頼もしい助っ人役の、その山田さんが質問攻めの最中でした。ボク、移動途中のコンビニで買い求めたオニギリを頬張りつつ、聞き耳を立てる。どうやら刈り取りの段取りに関する質問が多かった様子。

 軽トラにはヤンマーの1輪1条刈りバインダー2台が積み込まれている。バインダーとは稲束を刈り取って結束する機械のこと。同じ収穫機械でコンバインというのがあり、これは刈り取りから脱穀までこなしてしまう収穫万能マシーンのこと。ふつう、お米の収穫は刈り取った稲を束にしてワラで縛り、田んぼの中などに棒や竹でやぐらを組み、この干場をハサというのですが、ハサに稲束を掛けて乾燥させ、乾燥を済ませてから脱穀機に掛けて脱穀する。こうした一連の作業が刈り取り後に待ち構えているのです。その刈り取りから脱穀作業をその場でやってのけるのがコンバインで、米農家にとってはとてつもなく便利、とてつもなく高価なマシーンなのです。最近の田園風景には、ハサに稲束を架け渡し乾燥させている風景があまり見られなくなりましたが、それはこの高価で便利なマシーンが浸透した証しのようなもの。刈り取りが終わったとほぼ同時に、稲穂から脱穀されたモミが出てくる。あとはモミをトラックに移し、乾燥機のある施設まで持ち込み、強制的に乾燥させるだけ。それゆえ、高価でも普及したに違いない。

 ところが、山田さんは、「米は自然乾燥が一番うまいので、自分は、作った米はハサに架けて乾燥します。自然乾燥が山田農場のウリなんです」という真っ当な青年。そんな山田さんがインストラクターとして我らメンバーを指導してくれるのだ。自分の田んぼもまだ未収穫だというのに、われわれの収穫を手伝ってくれる。まったく頭が下がる。まったくありがたい。

[田んぼにて]
 さて、現地に着いて、荷台から2台のバインダーを降ろし、山田さんから操作方法の基本を説明してもらう。

 まずレバーなどの各部位の名称と作法方法。

 バインダーは大きく分けると、バインダー本体を前進後進させる駆動部分と、クワガタムシに似た金属エッジで稲を寄せ集め、バリカンに似たカッターで稲の株元をカットし、3〜4株の稲束が集まったら麻ひもで結束し、バインダーの右手に排出する部分からなる。

 オートバイのハンドルに似た左手には前進後進の際のクラッチ、右手に刈り取りバリカンと結束するためのクラッチ。ボクはAT車に限るというオートマ限定の免許証なので、車の運転ではクラッチ操作から解放されている。山田さんの説明を受けながら実は、オートマのバインダーはないのかなあと、そんなことを考えていた。クラッチ操作ってひどく面倒くさそうだから。

 田んぼに入って、山田さんのバインダー刈り取りを見せてもらう。説明してもらったとおりの、スムーズなバインダー操作。1条2条と刈ってみせてくれ、「じゃあ、やってみますか?」。

 ところが、説明を聞くと実際にやってみるでは大違い。正直に申し上げて、ボクには左手のクラッチ操作がむつかしかった。クラッチに気をとられていると、真っ直ぐ刈り取っているつもりでも、幅広の一輪車が条に乗っかっているので、右に左に針路フラフラ。メンバーから「左手のクラッチ、はなして!」とか、「エンジン止めて!」とか「2条一緒に刈ってる」の絶叫に似た教育的指導が飛ぶ。それでも1条、2条とバインダーを動かしていると、基本操作だけはなんとかできるようになる。

[田んぼの状況]
 ここで、我らの田んぼの状況を説明しておこう。わが田んぼは7月8月と週1回、午前中の約2時間、草取りに励んだが、とても雑草の勢いをそぐところには至らず、先週の日曜日9月5日に最後の除草をした段階で、田んぼの1/4は雑草たちに占領されたまま。稲の本数より、雑草の本数の方が多い1/4の問題部分を改善できないままの田んぼなのです。しかも、最後の草取りの数日後、猛烈な豪雨をもたらした9月7日の台風の影響でほとんどの稲が倒れた問題多い田んぼなのです。

 さらに、草取りをしている最中からメンバー全員が気付いていたことですが、稲株よりも雑草株の分蘗数が多く、おまけに雑草が密生していて株元が見えにくい。

 バインダーの刃先がしっかり株元を捉えているかどうか、脇から覗き込もうとして体をひねる。するとバインダーが傾く。バインダーが傾くと、それに応じて針路が曲がるので、なんとかバインダーの姿勢を戻そうと無理な力を入れるから、体全体がこわばって、猛烈に肩が凝る。山田さんからは「肩の力を抜いて。自走するバインダーにそっと手を添える感覚で!」とポイントアドバイスをいただくのですが、なかなかどうして、バインダーはこちらの意図を理解してくれません。
 汗だくになって数条を刈ったはいいが、ヘタヘタになる。眼が霞む。ボク、眼鏡をかけているから、したたる汗がメガネのレンズにポタポタ落ちる。視界が歪み焦点が合わなくなる。まことにピンチ。頭もボンヤリとしてくる。これが今年流行している熱中症なのか。このまま作業を続けていれば、確実に倒れるなあ。意外と早く訪れた体力の限界に驚いて、バインダーの交代要員を要請する。

 這うように農道に戻り、浴びるように水を飲み、汗を拭って休憩。3分休んでも息があがったまま、なかなかもとに戻らない自分の脆弱に改めて驚く。体力の限界を超えてしまったのかな。バインダー操作は不甲斐なくも無理として、自分の体力にあった作業は何かと見回すと、いろいろありますね、できることが。その一つ、結束不十分でバラバラのままバインダーから排出された稲が結構な数、ある。それを結束する作業に専念する。この作業は一カ所で屈んだままでできるので、5分もすると息も鎮まってくる。それにしても、結束不十分の稲束が多いことにも驚く。

 ところが、2台のバインダーで刈り取り作業を開始そうそう、1台のバインダーが動かなくなる。

 山田さんに見てもらうと、麻ひもが結束機の内部でからんでいるらしい。工具でその部分をばらす。が、食い込んだ麻ひもがどうやっても取り除けない。去年使ったままの麻ひもが濡れて太り、その太ったひもを食い込んだのが原因だった。軽トラで新しい麻ひもを買いに行ってくれる。

 2台のバインダーで作業をすれば、1反と0.5反を午前中で終えられるかもと言っていた希望的予測がこの故障で大きく外れ、午前中で1反の半分しか刈り取れない。残った1台で刈り取りを続け、しばらくして新しい麻ひもを買い求めてきてくれた山田さんに修理してもらい、生き返ったバインダー2台体制で昼時を迎えた。

[故障はあったがケガはなし]
 いい感じで刈り取り体制ができつつあったが、昼をしっかり食べてしばしの休憩を取らないと、午後、使い物にならない。そこで、山田さんにことわり、12時少し前、われわれ一同、いったん、好人舍まで引き上げ、各自、昼食を済ませることにした。

 午後1時、田んぼに戻ると、山田さんが一人でバインダーを動かしている。われわれが昼食前に刈り取った面積にほぼ等しい面積を、一人で終わらせていた。しかも疲れた顔をしていない。

 それ以降も、故障を繰り返しながら、その都度、山田さんに面倒を見てもらいつつ、1反を終え、0.5反の田んぼに移り、雑草たちに占拠された5m×5mの手に負えない問題部分を残したままとはいえ、3時半、本日の作業目標を終えることができた。

 畦道に寝かせかけた稲束を、刈り取りを済ませた田んぼに寝かせ直し、バインダーを軽トラに積み、山田さんの協力を得て本日の目標をなんとかクリアーしたその疲れ切った勇姿を記録し、好人舍へ引き上げる。飯島さんの置き土産のナシのおいしかったこと。バインダーの故障はあったものの、カマで手足を切るなどのケガがなくて本当によかった。

 ああ、みなさま、ほんとうにお疲れさまでした。山田さん、本当にありがとうございました。

 さて、来週は、田んぼに寝かして天日乾燥させている稲束を好人舍に運び、いよいよ米作り最終段階の脱穀だ。スズメたちよ、どうか、田んぼに寝かしてある稲束には目をつぶっていてほしい!
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↑バインダー操作をすっかり飲み込んだ小関さん。それにしても、バインダーで刈り取っているのが稲だか、雑草だか、判然とはしないのが恥ずかしい。来年は後悔しない米作りをしたいものだ。
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↑山田さんを除いて、ヘトヘトのメンバー。ばてた肉体に夕日が染み渡り、ちょっぴり元気回復。
by 2006awasaya | 2010-09-13 01:03 | 真剣!野良仕事


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