【真剣!野良仕事】[166=一緒に米作り、しませんか ⑩ 農薬空中散布]

2011.7.30(土)
ラジコンヘリによる農薬空中散布
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↑ラジコンヘリのオペレーターはヘリ本体のコントロールと、田んぼの上空2〜3mからの散布コントロールの2系統ボタンを操作しながら、新川方面へと作業を進めていた。薬剤を扱っているからか、ヘリの動作は正確で、畦ぎりぎりで散布を開始し、奥の畦まで散布を続けながらぴたりと散布をやめ、横移動したのち、ヘリの向きを変えずにこちらに散布しながら戻ってくる。しかし、驚いたことに、オペレーターはマスクなど厳重に防護していると思っていたら、ふつうのマスクすらしていなかった。農薬に対しての無防備に驚いたのは猪股さんで、「マスクをしなくても大丈夫なんですかとヘリのオペレーターに聞いたら、『風上でコントロールしてるから大丈夫』といってました。でもね、風向きなんかすぐに変わるから、怖い仕事だなあと思いました」と印象を漏らしていた。機体はヤマハのツーサイクルエンジンで、価格はおよそ1000万なんてこともおしゃべりついでに確認したとか。このラジコンヘリ薬剤散布についての詳しい情報は八千代市のホームページから入ったこのページ(空中散布)で確認できます。チェックしてみてください。
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↑一反の生育状況。すでに農道側は出穂している株が多く見られました。

 刈払機で草をきれいに刈り込み、ゴルフ場のグリーンエッジに似た手触りの畦に腰を下ろし、遥かに米の原郷を空想していました。この日は曇天で、ギラつく日射しもなく、そよぐ風が気持ちよく首筋を撫でていきます。

 つい数日前に読んだ『お米を考える本(井上ひさし編・光文社文庫)』の「日本イネのルーツ」という標題で紹介されている星寛治さんの文章が素晴らしく、記憶をたぐり寄せるようにしてお気に入りの段落を思い返していたのです。星さんは上杉鷹山が招聘した細井平洲命名の藩校、興譲館由来の山形興譲館高校出身。山形という地名を聞いただけで全幅の信頼を寄せたくなる性癖を隠し持つ身としては、身震いするほどの名門校。その卒業生、星さんの文章を少しばかり引用させていただく。

『かつて、早乙女という言葉が運んできたイメージとはほど遠い乾いたさつきの風景が、どこの村でもあたりまえになった。老若男女がうち揃って、最大の耕作行事をのりきったあの活気にみちた五月の風物は消え、田植機のハンドルを握って泥田をひねもす往復する孤独な作業風景に変わってしまった。早苗は手で植えるものときまっていたころ、できるだけ早く、正確に、美しく植えた名人の誇りに濡れた顔は、もう見ることができない。』

 このくだりを何度も何度も読み返し、山形でも早乙女は姿を消していたのか。そうだ、五畝は我らがメンバーの猪股さんが2条植えの田植機で、孤独に耐えながら2時間ほどで植えてしまったが、一反はメンバー全員がヨコ一列になって、にぎやかに手植えをしたなあ。一反の半分を植え終わったあたりで手植え用の苗が終わってしまったこともあり、機械植え用に作った苗床の苗を流用して田植えを続けたので、手植えでは苗3本で1株という決めごとを厳密に守れなくなり、1株5本とか6本をちぎり植えることもあったと、田植え終了時に各人が万感の反省を込めて快活に告白。結構な賑わいの中、山形にはすでに消滅してしまった五月の風物が、ここでは甦っていたんだと、感慨に耽っていたのでした。

 そんな回想の断片を繋ぎつなぎしながら、水当番の役目の一つ、元栓から水が流入しているかどうか、確認し、栓が詰まっていれば詰め物を取り除き、側溝の水流をチェックしながら、すでにきれいに刈り込まれた畦に腰を下ろし、さて、今日も思いっきり汗でも流そうかと、曇天の空を見上げていたのです。

 ところが、用水下流の遥か先から、精密機械が発するウイーンという金属音が聞こえてきます。刈払機の発する爆発音まじりの擦音とは異質の金属音。

 ウーン、なんの音だろう。

 ボクは集合時間に少し遅れて田んぼに来たが、金子さん、谷さん、秋山さん、猪股さんはもうすでに刈払機と鎌で汗を流している。猪股さんは8時から来ているという。

長谷川 あの金属音、何でしょうか。
猪 股 ああ、あれですか。この用水沿いの田んぼは船橋市と八千代市が入り組んだエリアで、船橋市では未確認ですが、八千代市ではこの時期、ラジコンヘリを使って農薬を散布しているんです。なんでも朝4時から作業を開始しているんだそうですよ。自分がここに来た時はすでに道路側は散布済みで、私たちの一反にちょうど散布を開始するところだった。そこで飯島さんに携帯で連絡し、散布中止をお願いしていいものか、確認してから、コントローラーをもってまさに散布しようとしているオペレーターに、「ここは散布しないでください」とお願いしたら、分かりましたとばかり、農道の反対側にラジコンヘリを移動。でも、まことに残念なことに、五畝はすでに散布済み。無農薬での米作りということで毎週、草取りに励んできたわけですが、八千代市植物防疫協会によるいもち病殺虫殺菌剤を散布されてしまい、純正の無農薬というわけではなくなってしまったというわけでした。
長谷川 ま、いま、ドタバタしても仕方がないことですが、遥か向こうで低空飛行しているあのヘリが、そのラジコンヘリですね。このすぐ近くでアイガモ農法で米作りをしている山田さんは、去年も一昨年もアイガモたちを避難させてから、田んぼにラジコンヘリオペレーターによく分かるようにオレンジ色の旗を立てて、農薬を散布しないでほしいとアピールしていることは知ってはいましたが、実際の散布場面は初めて見ました。ま、われわれがぼんやりしていて、八千代市のホームページをチェックしていなかったということですね。来年は出穂が始まるかどうかのこの時期、しっかり地元の田んぼ情報をチェックすることにしましょうね。それにしても迂闊でしたね。

 除草作業を終え、帰宅してから八千代市のホームページを覗いたら、空中散布のスケジュールとどんな薬剤をどのエリアに散布する予定なのか、明瞭に掲載されていました。例年7月末に散布と明記されていました。
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  ↑このエリアが八千代市のラジコンヘリによる空中散布エリア。

 ホームページを読むと、以下のような薬剤でした。
 散布された農薬は「殺虫殺菌剤アミスタートレボンSE」で、適用病害虫=いもち病、紋枯病、カメムシ類、ウンカ類、ツマグロヨコバイ(取扱メーカー 協友アグリ)。その特長は以下の3点だと説明が付けられていました。

1=一成分で、いもち病・紋枯病・穂枯れ(ごま葉枯病菌)他に有効なアゾキシストロビンとカメムシ類他に有効なエトフェンプロックスの混合剤で、これらの同時防除剤として最適です。
2=特に、出穂期から穂揃い期の散布で穂いもち病およびカメムシ類の防除のみならず、紋枯病に対しても高い効果を発揮します。
3=殺菌成分のアゾキシストロビンは予防効果、治療効果を兼ね備え、更に浸透移行性も示します。いもち病に対して分生子柄形成および分生胞子形成を強く阻害し、胞子の飛散を抑え、高い二次感染阻止効果が得られます。紋枯病に対しては水平進展および垂直進展を阻止します。また、適期幅が広く持続性に富みます。

 以上、取り急ぎ、ご報告まで。
by 2006awasaya | 2011-08-02 22:20 | 真剣!野良仕事


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