【真剣!野良仕事】[31=味噌づくり後編]

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↑飯島さんのお仲間で、東京で働く婦人連が、この船橋まで味噌仕込みにやってきました。2007年2月3日のこと。朝から実にいいお天気でした。例年、寒さがきついこの時期にも、こんなに穏やかな日が数日はあり、こうしてお日様のもとでのお昼を味わうことができると、今年もいいことがありそうだという予感がそくそくと湧いてきて、表情にも表れてきます。カメラを向けると、みな素敵な表情でこちらを向いてくれました。このご婦人連は、この昼食後、鍋釜の洗いかたずけ班と樽詰め班とに別れて、作業を粛々と進めていました。この日、われらは裏の竹薮にて竹林整備。

饒舌と寡黙で仕込んだ今年の味噌(後期)

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↑攪拌のフネで混ぜられた煮豆。さあ、あとはミンチ機へ投入だ。

 味噌作り前編を報告してから、ずいぶんと間が空いてしまいましたが、その続編をお届けします。

 好人舎のバックヤードは煮えた大豆がいい匂いを漂わせ、三々五々、
「さて、煮えたかな」と、一粒二粒摘み食いし、
「もう少しかな」と、フタを閉めて立ち去ると、また別なメンバーが来て、フタをとり、同じことを呟きつつ、味見をしてからフタを閉めて立ち去る。

 とにかく、焦がさぬように大量の大豆を煮ているので、おいしい匂いに包み込まれている。

 さて、飯島さんの指示で、一斉に大きなザルに煮えた豆を空け、水気を切っておきます。温度もお風呂の湯加減を見る要領で、大きなザルに指を突っ込み、熱くも冷たくもない40度近辺を各人が確認。

「さて、ではみなさん、お待たせしました。麹と塩を混ぜた攪拌用のフネに豆を混ぜましょう」と、飯島さんの声が響く。全員が薄手のゴム手袋をはめ、髪の毛が落ちないよう、ヘアキャップかスカーフで頭を覆い、混ぜ始める。
 この攪拌作業には塵取りが意外と役立った。
「米麹の量が多いと、おいしい味噌になるんです」と飯島さん。さらに攪拌してからミンチ機に掛けて細かくし、樽に詰める作業へと移ります。
 ボクは煮豆の寸胴やザルの洗いを主に担当していましたが、メンバーの大半はミンチ機から出てくる粉砕された材料を樽詰めする作業に就いている。
 どのような作業をするかというと、先の飯島メモにもあるように、ミンチ機から出てくる粉砕された材料をボウルに受け、これをまずはお団子状に固く握ります。この固く握ったお団子を樽の底めがけて投げつけます。一見、雪合戦に似た作業なので、みなさん、初めは楽しそうに握っては投げ、握っては投げしていましたが、どうやっても雪合戦の興奮にはほど遠く、もちろん、食べもので遊んではいけませんと教育された世代ですから、面白半分でこの「握っては投げる」という作業に取り組んでいる訳ではないのです。でも、ミンチ機から出てくる材料が大きなボウルに山を成し、樽詰め作業が追われるようになると、なぜか皆さま、寡黙に。

 ここで、肝心の説明をもう一度説明してもらう。

「なぜお団子状に握るのか、なぜ投げつけるのか、その意味について、繰り返します。味噌作りは発酵作用を利用する食品作りですから、すべての段階で清潔さが求められている訳です。あらゆる容器を熱湯で消毒したり、樽をアルコールでぬぐったりするのも、すべては雑菌を防ぐという意味からなんです。ミンチ機から出てくる材料をそのまま樽に詰めたのでは、空気が抜けず、しかもうまく詰まらないんですわ。カビだらけの味噌になってしまう。堅く詰めるという目的に一番近いのが、お団子状に握ること。その堅く握ったお団子を投げつけるのも、やはり同じ意味からなんです。いま、皆さんが作業している段階が一番大切な段階なんです。常温の室内で6ヶ月後、いい具合の味噌になるのを想像しながら、さあ、再開しましょう」

 そんなインターバルがあって、黙々と粛々と樽詰め作業が進められていた。

 攪拌用の大きな舟の清掃、床掃除、それにミンチ機の分解と清掃も終わり、ボクもこの慎重さを求められる樽詰めに参加した。

 参加して、この作業を実際にやってみて、その困難が分かった。まず力がいること。材料を堅く握るにも、狙いを定めて投げつけるのも、それはそれは力仕事だった。飯島特製の円盤型のヘラも、なかなかどうしてテクニックが必要だった。「見る」と「する」では大違い。
 丁寧に、慎重に、空気が抜けるように堅く詰める。
 こうして二樽を詰め終わるころ、おしゃべりをするのも嫌になった。それほどしんどい作業だった。ほぼ1ヶ月前、東京のご婦人連が楽しげに、賑やかにこの作業をやっていたことを思うと、ああ、彼女たちのパワーって、誠に恐るべきものだったのだと、そんなことが思い返された。
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↑ミンチ機へ投入。ここでも、ロート状の中へ手を突っ込んではいけないなど、事故へと結びつく行為を事前に教えられる。
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↑樽詰め。表面は鏡面仕上げに。「顔が映るほど、真っ平らになるように」と、飯島さんから無理な注文が飛ぶ。真っ平らになった表面に、キッチンペーパーに焼酎を含ませ、表面を覆い、さらにアルコールを噴霧しながらラップする。この作業も、なかなかに難しい。
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↑顔は笑っているように見えるが、実はへとへと、疲労困憊。味噌作りがこんなに大変な作業だとは、思っても見なかった。それだけに、6ヶ月後に開封するのが楽しみだ。カビが異常発生していなければよいが。
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↑ニックネーム、コマクサさんが樽詰め作業のスペシャリストだった。鏡面仕上げといわれていたが、本当は中央部分が気持ち高い凸レンズ状態が望ましいのだとか。
by 2006awasaya | 2007-03-21 17:22 | 真剣!野良仕事


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