【真剣!野良仕事】[67=サニーレタス報告]

2008.4.21
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↑これが伝統的な苗作りのための踏み込み温床だ。大きさは畳1帖ほど。

踏み込み温床で作ったサニーレタスの苗

長谷川 これ、なんです?
山 田 踏み込み温床っていうんです。
長谷川 踏み込み? 踏み込み、なんです?
山 田 温床。
長谷川 オンショウって、どんな字書くの?
山 田 温かい苗床。
長谷川 ああ、温床ね。
山 田 ええ。
長谷川 ところで、この寒風吹き荒ぶ戸外で苗が出来るんですか、この温床で。
山 田 ええ。曇ってますよね、外気との温度差が大きいから、こんなに曇ってるんです。このビニールの中に温度計があるので、ええと、今何度かって言うと、ええと28度、ですか。土の中はもう少し温かいかな。
長谷川 うわあ、ほんとだ、28度。この寒さの中で28度って、すごいですね。

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↑ご覧の通り、28度を示している温度計。とにかく寒くて、ほんとうはもっともっと、山田さんから踏み込み温床の話を聞きたかったんだけど、寒くて寒くて、話の腰を折るようにして腰を屈めてごめんなさいをして帰り急いだ。

 こんな立ち話をしたのが2月2日のことです。この日は特に冷え込みがきつく、夕方から雪がちらつき、翌2月3日は雪が積もったほどの寒い日でした。首都圏全域で路面スリップによる交通渋滞、鉄道は運休。そんな大寒波が到来したまさにその日も、踏み込み温床の中はぬくぬくとした春だったのです。

長谷川 ビニールハウスで苗を作るんじゃないんですか?
山 田 ビニールハウスでは暖房が必要になりますが、この踏み込み温床だと、落ち葉や牛糞などの発酵熱なので、燃料代がいらないんです。こんな寒い日でも温床の中はだいたい30度前後。昔はどの農家もこの踏み込み温床を作って、自分で苗を作っていたんです。
長谷川 この辺りでこのような温床を見たのは初めてなんですが、この近所の農家は踏み込み温床を作らないんですか。
山 田 ほとんど見掛けなくなりましたね。でも、農家にとっては苗作りはとても大切なことなんです。自分の考えですが、農作業の半分は苗作りって感じじゃないでしょうか。トマト、ナス、レタス、ブロッコリーなどの葉菜は種をじかに畑に播いて育てるんじゃなく、丈夫な苗を作ってから定植してるんです。この踏み込み温床で苗を作ると、いいことばかりなんです。しっかりした苗が出来ること、ビニールハウスがなくても、苗を作るのに最適な温度が維持できること、この温床は来年は堆肥として畑に戻せること、それに余計な燃料を使いませんから、地球に優しい。でも、ハウスで苗を作っている農家が圧倒的に多いですね。
長谷川 ビニールハウスなら温度管理が正確にできるのでしょうけど、こんな温床じゃあ、正直言って難しいんじゃないんでしょうか。どうやると温度が上がったり、下がったりするんですか。
山 田 踏み込みって言うくらいですから、稲ワラで囲んだこのスペースに何層も踏み込んで行くんです。落ち葉、牛糞、米ぬかも入れたかな。だいたい50センチくらいの厚さに踏み込んで行くんですが、踏み込みが強すぎると温度が上がらない、とか、牛糞を多く入れすぎると温度が上がってしまうとか、例えば、場所によって、こうやって温度計を差し込んで、この真ん中あたりは、ええと、30度を超してますよね、隅っこのここは、ええと、26度。圴一に混ぜると、均一の温度になるはずなんですが、それこそ、経験がモノを言うんですね、こうした温床作りには。失敗を重ねて、自分の温床を作る。自分の温床が出来れば、いい苗も出来るようになるんです。
長谷川 ああ、なるほど。

 山田さんの話を聞きながら、指先を温床に突っ込んでみる。すると、ほんのりとした温もりが感じられた。
 苗はサニーレタス。
 まだこのときは双葉がやっと出たくらいで、結球するタイプのレタスではなく、リーフレタス特有の、波打つ葉先がフレアーで波打ち、エッジが茶色っぽい色はぜんぜんない。でも、それから1カ月後の3月8日にこの踏み込み温床を覗くと、小さいながらサニーレタスの特徴をもうすでに、しっかりと体全体で実現している成長ぶり。そのかわいらしいこと。早く定植してくれと、おねだりしているようだった。

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↑3月8日。この日は気温も低くなく、陽射しもあったので、覆いのビニールははずされていた。そこで、記録のためにワンシャッター。見事にサニーレタスの身体的な特徴が見受けられる。

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↑3月22日。ウラウラぽかぽかの絶好の定植日和に作業を進める山田さん。
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↑ウラウラぽかぽかの絶好の定植日和に作業を進める竜平さん。

 3月22日(土)、この日は浮き浮きしたくなるほどの上天気で、畑を覗くと、山田さんと竜平さんがマルチシートを敷いた畝に定植し、トンネル掛けをしていた。聞くと、このサニーレタスは竜平さんがビニールハウスで作った苗だとか。
 山田さんが踏み込み温床で作った苗は、ボクらオーナー区画のメンバーに配られ、ボクはそれを12本、1週間遅れの3月29日に定植した。ただし、ボクはマルチシートもうまく張れず、トンネル掛けも一人ではとても出来ないこともあり、さらに加えて飯島さんから「サニーレタスは結構丈夫だから、万一、遅霜が下りても、多分ですけど、大丈夫なんじゃない」と言われたこともあり、定植した苗のあいだにワラをペグで固定して、長谷川なりの霜対策とした。

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↑ボクの区画に植えたサニーレタス。トンネル掛けができれば、してあげたかったんだけど、技能が追いついていないので、苦肉の策で保温兼防風のワラを添えて上げる。

 4月12日(土)、山田さんと竜平さんが定植したサニーレタスのトンネルにカメラを突っ込んで撮影。さすがプロが作ると、いい感じに育っていた。

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↑4月12日にサニーレタスのトンネルを覗いてみたら、立派に成育中だったので、トンネルの穴にカメラの銅鏡を突っ込んで何枚か撮ってみたうちの一番いい写真。

【山田さんからの追伸】
 温床の土はもちろん堆肥としても使えるのですが、腐葉土と籾殻薫炭と混ぜて来年の春の苗土になります。材料は落ち葉(雑木林の数種類の葉が混入したものが望ましい)、牛糞、野菜くず、オカラ、米ぬか、ですが、切りわらを入れるのを忘れてしまいました。僕の苗は皆さんが区画に植えたものと僕自身の畑に定植して出荷中です。
by 2006awasaya | 2008-04-22 00:09 | 真剣!野良仕事


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