【真剣!野良仕事】[81=エダマメの選別作業中に考えたこと]

2008.7.7(月)

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↑今年春の4月26日(土)午前中、イオンの枝豆栽培ツアーの参加者用に畝の整理とカマボコ型のトンネルを掛けるための骨組み用ポールを立てている『おいしい野菜公園2006』のメンバー。
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↑イオンの枝豆栽培ツアーの参加者が4月26日(土)の昼前にマルチシートの1穴に2本ずつ定植をしトンネルで覆った畝。この写真は2週間後の5月3日(土)の生育状況。トンネルの天井高、約50センチ。
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↑5月10日(土)の生育状況。畝が違うと、生育状況もまちまち。
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↑5月24日(土)の生育状況。だいぶ本葉が大きくなっている。
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↑6月1日(日)、トンネルを覗くと、小さな白い花が咲いていた。畝が違うとまだまだ花が咲いていないものの方が多い。
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↑6月7日(土)、銀色に輝く産毛を全身にまとったエダマメの赤ちゃん発見。
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↑6月7日(土)、一斉にトンネルを剥がす。
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↑6月14日(土)、生育が遅いグループにも、エダマメの赤ちゃん発見。
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↑6月28日(土)、畝と畝の間に繁っていた草をきれいに抜き取る。
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↑6月28日(土)、実もしっかりと膨らみつつあるエダマメ。
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↑7月5日(土)、イオンのエダマメ栽培ツアー用の区画は、このまま放置しておくとグリーンからイエローに色が変わって、大豆になってしまうとの判断から、この日から収穫を済ませることになった。
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↑7月5日(土)、改めて根っこを観察すると、さすが豆類、根粒がきれいに見える。この粒の中には根粒菌という細菌がいて、宿主のマメ科植物から栄養をもらって生きている。一方、根粒菌は、植物がつくれない物質をつくることができ、その物質をマメ科植物に与えている。
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↑7月6日(日)、実もしっかりと入ったエダマメ。
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↑軽トラに積まれたエダマメ。これで約50メートルの畝一本分。
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↑畑からエダマメを運んで来た軽トラとはまた別の軽トラは、写真中央のオレンジ色のマシーン、エダマメ専用脱穀機の『マメモーグ』から吹き飛ばされた枝豆の葉と茎をこの荷台で受けるため、ここに留めてある。マメモーグの内部には硬質ゴム突起を櫛の歯状に植え込まれた回転ドラムがあり、その突起に当たってエダマメが枝から引き離される。エダマメはドラム下に落ち、そこからベルトコンベアで第一次選別工程へと移っていく。回転するドラムの起こす風で機械前方に葉と茎を吹き飛ばす。集められたエダマメの葉と茎は堆肥となる。
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↑エダマメの根っこ部分をしっかりと握り、マメモーグの挿入口に突っ込む。回転するドラムに持っていかれそうになるほど、結構力強い。
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↑ご覧の通り、枝だけになったエダマメの茎。きれいにエダマメが分離するように、持ち手を前後左右に動かす。交代時にちょっとしたコツを伝え合う。
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↑ベルトコンベアに乗って第一次監視団のチェックを受けるエダマメ。写真では静止しているが、実際にはベルトが微細に振動していて、10分もすると目の焦点が合わなくなる。動体視力を鍛えるには実に優れたトレーニングかも。ここでの規格外のポイントは1=サヤに豆一つ、2=虫食い、3=マメが未成熟で、肉薄、4=色がグリーンからイエローに変色したエダマメの4点。このうちの1点でも該当するエダマメは規格外として弾かれる。
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↑第一次選別を経て、水洗いを済ませたエダマメ。ここでさらにエダマメの両サイドをチェックして、キズはないか、虫食いはないか、ひとつひとつ、検品する。大昔、三重県鳥羽のミキモト真珠島に遊びにいったおり、真珠の検品作業を見たことがあるが、今回のエダマメ検品の精度はなんら真珠島に劣るものではなかった。この検品に合格したエダマメが市場に出荷される。この段階で弾かれたエダマメがB級とうちうちで呼ばれたエダマメ。姿形が先に説明した4つの規格に引っかかり、作業者のお土産として配分された。若干A級に劣るだけで味は実にうまかった。
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↑きれいなA級エダマメをきっちり1袋に210グラム、計量して入れている。
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↑こちらは撥ねられたB級エダマメ。
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↑この期に及んでも、まだしがみついていた虫。この虫が無農薬栽培の証だと評価される日が近からんことを、したたる汗を拭きつつ作業者全員が希求。

エダマメの選別中に考えたこと

 7月5日(土)と6日(日)の2日間、エダマメの収穫、選別、水洗い、袋詰めの作業に追われ、大量の規格外品にわれら一同、惨憺たる三嘆を繰り返すばかり。

 モーター音が唸りを揚げるエダマメ専用脱穀機『マメモーグ』が接続不良からか、突然停止。途端に静かな農村のバックヤードに立ち返る。やがて脱穀機の調整が完了し、再び硬質ゴムの突起を回転ドラムの表面に鎧ったマメモーグが運転を再開し、若干ながら運転音が軽やかになったところで、修理調整を終えた坂本さんと立ち話。

長谷川 思えば4月上旬、坂本さんからアナウンスがあったんでしたね、今回のイオンのエダマメ栽培ツアーの話。『飯島さんからおいしい野菜公園の面々に対して、こんな提案があったので引き受けました』って。それで坂本さんが資料を作って全体会議に掛け、動き出したんでしたね。
坂本 そうそう、そうでした。唐突というか、突然に話を振られて、慌てるヒマもあらばこそ、さっそく、みなさんに目を通していただく資料を作ったんでしたね。あれは、ええと、ぼんやりした記憶で言うと、4月12日(土)でしたよ。なんで覚えてるかというと、ガムランの打ち合わせで、竹林会場の整備をどうするかという結構タイトなスケジュールを立てたところだったんです。ガムランコンサートは5月18日(日)で、その1カ月前までには、コンサートプランをビシッと仕上げておかなくちゃ、そんな慌ただしいときでしたね。
長谷川 そうでしたね。ボクもガムラン会場の見取り図づくりとか、コンサートチケットを作ったり、コンサート会場への案内図を作っていたんです。早いもんですね。まだ話半分以下のエダマメ栽培ツアーの企画段階から、はや3カ月が経つんですね。
坂本 まったくね。早いこと、早いこと。でも、エダマメの収穫と選別、出荷作業にメンバーがこんなに集まって協力してくれるなんて、そのことだけで嬉しい限りです。昨日も強い陽射しの下でエダマメの選別に汗だくだく。唯一、陽射しに焙られない屋根の下の脱穀作業と第一次選別はというと、まったく風が抜けない。どこもかしこも汗だくだく。水分補給にだけはみなさん、厳重注意してくださいね。
長谷川 ボクたちは出荷する品をA級、出荷できない品をB級って呼んでいますが、昨日はB級が多かったように思いますが、今日はどうなんでしょうか。
坂本 今日のエダマメは昨日ほどではないですね。昨日は虫食いも結構あったし、畑のちょっとした場所の違いでこんなに差が出るんでしょうね。
長谷川 それにしても、B級って呼んでいますが、今年のエダマメは、A級もB級も、味にはなんの違いもありませんね。ほんとうにおいしかった。品種は去年同様、「湯あがり娘」でしたよね。
坂本 昨日、長谷川さんが規格外のエダマメを強引に参加全員に「罰ゲームだ!」とかなんとか言いながらスーパーの袋一杯にメンバーに配ってたですけど、家に帰って、風呂に入って汚れを落としながら、「湯あがり娘か、ああ、いいネーミングだなあ」と、もう我慢もならずにビールをガンガンいただいて、旨いのなんの。むしろ、A級のふっくらしたエダマメに比べれば多少膨らみの足らない、ああ、お前はそのふくらみの足らなさで撥ねられたんだなと一目瞭然の姿形をしたエダマメが旨いのなんの。わずかなキズとか、一つのサヤに豆一つとか、マメのふくらみが足らないとか、撥ねられる理由が明白なだけに、その作業をやった当事者故に、余計に撥ねてしまって申し訳ないという後ろめたさと、流通の常識なので味にはなんの問題もないんだよ、なんて弁護をしながら、間違いなくゴミになっちゃうエダマメの身の上をおもんぱかってプチュッと摘む。もう、それだけでうるうるしちゃうのよね。でも、あんなにどっさり持ち帰っても、実際に食べるとなると相当な努力をしないとまたゴミにしちゃう。保存の方法も考えないとアカンですね。

 もう、話が止まらない。
 シャツが汗でグショグショになりながら、脱穀している阿部さんを見ていると、いつもは柔和な表情がいまはそれどころじゃないって切羽詰まったこわばった表情。

長谷川 阿部さん、交代しましょう。
阿部 いやあ、ココは暑いね。それじゃあ、監視団席に移動しましょう。
長谷川 監視団席って?
阿部 この脱穀機からエダマメがベルトコンベアで流れて、次なる工程の水洗に移りますが、このコンベアを両側から監視しながら傷物を撥ねる作業が、ま、言ってみれば第一次の選別工程。
長谷川 ああ、なるほど。公正な民主的選挙が実施されるかどうかの国際監視団が紛争地区へと送り込まれるのと同じく、騒音けたたましいベルトコンベア地帯で目を光らせるって訳ですね。さすが、疲れても言葉選びだけは疲れてない!

 みな、作業を順ぐりに交代しながら、習熟度を上げていく。この辺りが若年層とは年季の入り用が違うのだ。一つの作業を長時間続けていると、飽きもくるし、疲れも溜まり、作業能率も低下してくる。この年代の人間はその辺りのことを織り込み済みで、そこが若年とは一線を画しているところ。

 ところで、7月5日(土)に、規格外のB級をどっさりとお土産で持ち帰り、「コレコレこういう理由で規格外になったとはいえ、姿形が悪いだけで味や品質にはなんも問題もないエダマメです。自家消費だけでは処理できないので、処理に協力してくれますか」と、妙な口上付きでご近所に配っても、まだたくさん残っている。
 ちょうど、この日、親しくしていただいている薬円台のご一家との飲み会。お名前は伏せて、下の方の名前は勝さんと礼子さん、それに大学3年でつい先日、就職が決まったばかりの上のお嬢様、そしてまだ大学在学中の下のお嬢様の一家4人との飲み会でしたが、そのご一家のお土産にも、このB級エダマメをもらってもらったのでした。

 飲み会の席でも、いい気持ちで酔っぱらっているから、論理的にまったく脈絡のないエダマメ話で盛り上がる。果たして、こんなことを話したのかどうか、記憶あやふや。多分、こんなことを話したな、そんな架空のおしゃべりを手探りで再現すると、こんな感じかも。

長谷川 お金のことを第一に考えたら、少しでも多く規格品を出荷したいので、当然、農薬を使いたくなりますよね。選別で生き残る規格品とは、汚れがなく、キズもなく、虫に刺された跡もなく、実もしっかりと入っていて、グリーンの色も鮮やかなエダマメのことです。風味や味覚など、所詮は見た目の規格基準でしか選別できない。それゆえ無農薬で作ると、こんなに規格外が発生してしまう。防虫のための薬剤を使えば、規格外品はほとんど出ないので、無農薬でやってる農家って、まったく頭が狂ってるんじゃないかと錯覚するくらい純情なんです。
礼子 うちも、子供が小さい頃はきっちりと無農薬の野菜にこだわった時期があったなあ。
長谷川 うちはそんなこだわり、最近までほとんどなかった。無農薬の野菜って値段が高いし、お国がチェックしてるはずだから、大丈夫だろうと、そのあたりルーズだったように思う。ここ2年ほどです、畑で野菜を作り始めて、やっと無農薬で作るってシンドイことだなあ、値段が高くなるのもうなずけるなあと。少なくとも、カメムシが発生した時期だけは農薬を使えば、もっときれいなのができるのにと、しみじみ思うとき、あります。畝に苗を定植してからは、今年は思わぬ難敵の出現で、苗の芯をみんな食われちゃって、翌週、植え直したんです。植え直した畝にトンネルを張って覆い、日照不足になりがちの本葉の頃はそのトンネルをはずすのですが、はずした途端、蝶類の幼虫のえさ場になり、葉っぱは穴だらけ。
 ちょっと待って!ええと、その難敵ってだれだったの?
長谷川 ごめん、話が独り合点になっちゃって。なんと、ウサギだったの。多分、野生のウサギ。なんでウサギだって分かったかと言うと、足跡がしっかり残っていたから。とにかく畝をトンネル状に覆わないと、そうしたウサギとか、鳩とか、キジとか、カラスとか、鳥害が結構あるんです。かまぼこ型のトンネル、見たことあるでしょ。あれ、もっぱら風よけと鳥害対策なのね。
 ああ、あのカマボコをトンネルって言うの?
長谷川 そう、トンネルみたいだから。で、春から初夏になってくると、葉っぱがどんどん大きくなって、トンネルの天井につっかえるようになると、トンネルをはずすんです。光を存分に当てるために。でもそうすると、今度は蝶の幼虫の餌場になっちゃう。それでも青虫に葉っぱを食われても、なんとか生育を続け、葉をもっともっと茂らせて、そうなってくると白い小さな花をつけ、やがて花の跡に産毛に包まれたエダマメの赤ちゃんが顔を覗かせる頃、最も恐ろしい虫、カメムシが出て来るんです。こいつに刺されると、表面はポチッとしたカサブタでも、中身のマメには甚大な被害となって、まったく商品価値が失われてしまう。このカメムシに怯えながら、やっと収穫時期になったと思ったら、今度は収穫と選別作業の人手が不足。速やかに選別と出荷作業を完了しないと、みるみるうちに品質が低下しちゃう。さりとて、収穫をしないで畑にそのままにしておくと、実も葉も黄色くなって大豆になっちゃう。エダマメは未熟のうちに食べる贅沢な食習慣なの。ボクたちはアマチュアですから、「たいへんですね」なんて暢気なことを言ってればいいんですが、これが専業農家だったら、もう来年はエダマメはやらん、収穫時期が短いエダマメはたいへんだから、大豆にしようと暗い決意を固めている時期でしょうね。

 そんなこんなを、本人だけが理路整然たる論理に導かれていると錯覚しながら、止めどなくエダマメを食べ、おしゃべりに熱中した。

 その後、web散歩をしていたら、「湯あがり娘」を売り出している「カネコ種苗」のホームページに行き当たり、「湯あがり娘」の食味や栽培法など詳しく案内されているページ発見。湯あがり娘というページです。
 そのページから、その特長をコピーすると、以下のような案配。
1=茶豆特有の芳香を持ち、食味の良さに特に影響するショ糖含量の多い食味抜群の品種です。
2=茶豆風味を有しますが、エダマメ収穫時の子実色は鮮やかな緑色、完熟種子色は黄色です。
3=毛茸は白く、ゆであがった莢色は鮮やかな緑色で、市場性の高い品種です。
4=栽培日数85日タイプの中早生種で、幅広い作型に適します。
5=3粒莢が多く、クズが少ないため作業性に優れ、またワレやシイナが少なく、A品率の高い多収品種です。
 
 とくに1の指摘どおり、口に含んだときの香りがバツグンで、5の3粒莢が多いという説明も、選別作業中に感じたことでした。
 さらにweb散歩を続けていると、米出版社メリアム・ウェブスターが「ウェブスターズ・カレッジエイト英英辞典」の最新版におつまみの代表格「エダマメ(枝豆)」を新たに加えたとのニュース。おお、edamameが世界語になったかと、さらにB級をつまむ。でも、どんな風に紹介されているのか、その先がなかなか見当たらず、本日はコレにておやすみなさい。
by 2006awasaya | 2008-07-07 22:28 | 真剣!野良仕事


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