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【真剣!野良仕事】[202=タマネギ長者となる]

2013.6.29(土)
タマネギ長者の神妙なる面持ち

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↑2013年6月29日(土)に収穫した大玉タマネギ220球とタマネギ長者

 昨年11月10日、16号線島田台に近い長野種苗で求めた大玉タマネギ230球を定植し、本日、まるまると太ったタマネギを、収穫してきました。
 全収量は220球で、1/2が直径10センチ強の真球。残りの3/4が直径8、天地9センチのラグビーボール型、1/4が直径5センチクラスのレベル以下品。この収穫に対しては、まずまずの上出来といわなくてはいけません。
 振り返ってみるに、今年に入って早々に降雪があり、凍ってしまった一時期があったことを考えると、まずまずの上出来と謙遜している場合ではなく、ドヤ顔で「やれば出来るのだ!」と周囲憚ることなく、自慢の一言を漏らしてもいいと思っていますよ、タマネギたちよ。ボクに出来たことは、原産地の音楽を初めから聞かせてあげることが出来ず、異教徒の呪文であるコーランを幼少期にしつこく聞かせ、その後に事実誤認に謝罪してのち、青年期に当たる時期に中央アジアの音源を聞かせ、やっと安寧な実りへの道へと歩む環境を用意できたことくらいでしょうか。

 収穫を終え、一輪車にタマネギを乗せて車まで運んでいましたら、ちょうどシマさんが草取りをしていましたので、思わず自慢してしまいました。

長谷川 ご無沙汰しています。シマさんのタマネギが先週、収穫を終えていましたので、今週はボクのところのタマネギを収穫してもいいんだと、それで今日、収穫してきたんです。どんなもんでしょうか。
シ マ まあ、こんなにたくさん?ずいぶんと大きなタマネギですね。立派なタマネギができましたね。おめでとう。
長谷川 シマさんにそんな風に褒められると、ほんとうに嬉しい限りです。シマさんが作っている具合を見ながら、トンネルをかけたり、トンネルを外したり、地上部の茎を折ったりと、シマさんのやっていたとおりに作ったので、お陰様で収穫にこぎ着けることが出来ました。本当にありがとうございました。
シ マ 腕を上げたのですよ。大きさといい、形といい、いいタマネギができましたね。ここ2,3日は風通しのいい所に置いておけば、今年いっぱいは食べられますよ。農家の場合は軒先なんかに吊るしておきますが、風通しのいいところに置いておけば、半年はもちますよ。いろんな料理に使ってください。

 ああ、シマさんに褒められるなんて、まったく嬉しいものです。

 それにしても、個人の家庭で220球のタマネギを消費するのは、ゲップが出るほど大変なことで、ご近所におすそ分けし、やっと100球を自家用として残し、本年の後半で消化するラフな消費計画をいま、立て終わったところです。毎朝の味噌汁の具には、かならず入ってくるでしょうね。肉ジャガにも、従来より遥かに大量のタマネギが投入されるでしょうね。

 これから毎日毎日、タマネギを使った料理が向こう半年もつづくかと思うと、嬉しいやら悲しいやら、タマネギ長者となったいま、新たな人生の局面に立たされたような、神妙な面持ちです。
 どんどんタマネギが消費できるレシピ、どなたかご連絡をいただけると嬉しい限りです。
by 2006awasaya | 2013-07-01 18:12 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[201=真球の大玉タマネギ]

2013.6.5(水)
タマネギの原産地は中央アジアでした

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↑2013年6月3日に収穫した大玉タマネギ。直径9.5センチ、高さ9センチ。これが230球!

 どこを調べても原産地は「中央アジア」でした。タマネギ苗を定植した時点での調べでは、原産地は「ペルシャ」とあり、その乾燥した原産地を思い起こしてもらうには、生まれ育った土地に響き渡る音楽を聞いてもらうのが一番と、イランのイスラム教会で流されているコーランをネットで入手し、これをiPhoneに入れ、タマネギ畝で流し聞かせていたんです。

 昨年の11月中旬に定植し、活着した下旬にコーランを聞かせ、お陰様で天を突くようにすくすくと育ち始め、イスラム教会の尖塔にも似た天を突く尖りぶりに、ああ、ふるさとを思い出したにちがいないと、畑に出向くたびにコーランを聞かせてきました。

 今年に入って1月28日に降った大雪で、天を突く剣先が雪の重みで圧し折れ、なかには凍ってしまっている苗もあり、このまま放置しては過酷な環境に心も折れかねないと、慌ててトンネル掛けをしたのでした。

 トンネル掛けをした翌週、またふるさとの音楽でも聞かせて元気付けをしようかと思いましたが、でも待てよ、コーランばかりでは規範規律に厳しく、妙に背筋ばかりを伸ばした辛みが鼻腔を突き、肝心の甘味が欠如したタマネギになってしまうかもしれぬし、さらには八百万の神々が住まうこの日本の多神教世界への興味を失ってしまうかも知れず、第一、感情を抑え込んだ旋律のコーランそのものに飽きているかも知れず、さらにまた、田んぼの仲間に「コーランタマネギ栽培中」についておしゃべりした折り、「長谷川さん、もし、もしですよ、タマネギの原産地がペルシャだとしても、イスラムが興るずっと以前の記憶しか持っていなかったとしたら、コーランはその後に入ってきた異教徒の音楽として、案外迷惑顔で耳を塞いでいるかもしれませんし、もう一度原産地の確認をしておいたほうが懸命かもしれませんね」と、そんな根源を揺るがすようなアドバイスをいただいたこともあり、ボクの中では疑いなき定説となっている「タマネギ=ペルシャ原産」説をもう一度改めて見直してみようと思い至ったのでした。

 こうした調べものをするには、いまはネット検索でずいぶん、便利になったものです。ひと昔前でしたら、まずは大型書店に駆け込み、次に図書館の書棚を歩き、ついには目的の書籍に出会えぬまま、肩を落として帰宅するのが常でしたが、パソコンで検索ワードをキーボードで打つだけで、だいたいのことは調べることが可能なんですから、まったくありがたいものです。

 さて、ネット上で公開されているページを検索した結果、なんとしたことか、タマネギの原産は「中央アジア」が大多数だったのです。まことに浅学薄学で申し訳ありませんでした。でも、中央アジアというエリアにはいま、どんな国家があるのか、もう一度ネット検索してみると、「広義には、東・西トルキスタンのほかに、カザフ草原、ジュンガル草原、チベット、モンゴリア、アフガニスタン北部、イラン東部、南ロシア草原を含み、〈内陸アジア〉とほぼ一致する。これに対して狭義では、東・西トルキスタンのオアシス定住地帯のみを指す」とあります。

 うーん、オアシス定住地帯かあ。そうか、シルクロードの音楽を聞かせてあげれば、結球しつつあるいま、ふるさとを思い起こしつつ、さらに大きく成長してくれるに違いないと、手持ちのCDから「喜多郎」「草原のチェロ/モンゴルの馬頭琴」「オスマンの響き」からそれぞれオアシスっぽい音源をiPhoneに移し、畑に行って小一時間、聞かせてから帰宅。さらに「シルクロードのオアシス」「東トルキスタン」を検索ワードで、東・西トルキスタンとはどのあたりなのだろうと、さらにネット検索をつづけると、「新疆ウイグル自治区」と名前を変えて出てきた。

 なるほどそうか、中国人民解放軍による周辺諸国への侵略だったのか。ダライラマが亡命政権を点々と遷す「チベット自治区」についてはかつて若干ながら調べたことがあり、その非道は天安門事件の比ではないが、ローマに通じたシルクロードの中継都市国家であった楼蘭か。東トルキスタンが領土拡張の犠牲となっていたこと、迂闊にも無知のままでした。まったく、タマネギの原産地捜しどころの話では済まされず、丸一日を費やして調べまくっていましたら、とんでもないページに突き当たってしまったのでした。

 日本への原爆投下以前の核開発段階から東西冷戦が終結するまでの各国の核実験・核爆発が地球のあちこちで頻繁に実施されていて、核実験核爆発が行なわれるたびに、全地球マップにパッと発光する不気味な世界地図に突き当たったのでした。1年ごとの時間軸で1945年から1998年まで、地球各地で発光をつづける世界地図。イギリスはオーストラリアの砂漠地帯で、フランスはアフリカのサハラ砂漠で核爆発を実行していました。自国の領土ではなく、ともに帝国主義的な拡張手法で手に入れた領土で。核爆発の実行回数はアメリカ、ソビエトが最も多いですが、なかでも中国が行なっていた核実験が、新たに獲得した東トルキスタンのロプノール周辺で行なわれていたこと、また、中国政府公式発表ではこのロプノール周辺で46回の実験と発表しているが、この数字は実際には50回以上に及ぶと推定されていることなどが説明されていて、恐ろしいばかりの健康被害をこのエリアに暮らす人々に及ぼしていることなどの情報があふれ出してきた。
 ここまでお付き合いくださったのなら、この(「1945年から1998年までの核実験」)のブルー文字をクリックしてみてください。
 暢気にタマネギの原産地捜しをしている場合ではないことがご納得いただけると思いますし、ああ、この日本が天安門事件の国でなかったことに安堵するばかりですが、そんなこんなで、5月中旬は「モンゴルの馬頭琴」をメインに、「喜多郎」と「オスマンの響き」をたっぷり聞かせ、下旬になってシマさんのタマネギの成長具合をチェックしながら、草取りに励んだのでした。

 5月の最終週になると、シマさんのネギは地上の葉っぱが圧し折られています。あれれ、どうしたんだろう。
 畑のビニールハウスにシマさんがいらしたので、さっそく確認です。ありがたいですね、わからないこと、疑問に思ったことがすぐに聞ける環境って。

長谷川 お忙しいところ、申し訳ありません。ちょっと教えてください。タマネギの地上部が折られていますが、どうしたんでしょうか。
シ マ 肝心の玉に栄養が溜まるように、葉っぱは折っておくんです。
長谷川 ボクのタマネギなんですが、玉を見ると、大小があり、成長の具合もまちまちなんです。それでも折ったほうがいいんでしょうか。
シ マ 極端に小さな玉は別ですが、この時期、一斉に折っておけば、玉も大きさが揃ってくるんです。葉っぱが茶色く枯れてきたら、収穫してもいいっていう目安ですから、日陰の風通しのいいところに吊るします。半年はもちますよ。ずいぶん昔のことですが、子どもと北海道旅行に出掛けた折りに、一面のネギ畑のヨコを走っていたんです。そのネギがみんな、葉っぱが折れていてね。なんてかわいそうなと、車を止めてもらって、よく見たら、タマネギだったんです。その時、そうか、タマネギはこの時期に葉っぱを折って玉を太らせるのかと。
長谷川 さっそくボクの畝のタマネギ、葉っぱを折っておきます。
 
 6月3日(月)、葉っぱを折って1週間が経ちました。うーん、いい感じ。地球と同じ真球のタマネギが並んでいます。地球は戦後、核爆発やら人口爆発から海洋汚染などでずいぶん苛められたけど、どれどれ、とりいそぎふるさとの音楽を聞いてここまで健やかに育ったタマネギよ、おいしくなったかな。
by 2006awasaya | 2013-06-05 15:04 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[200=タテ10円玉かヨコ500円玉か]

2013.4.9(火)
丈夫な苗を作るために

 2013年のお米づくりが始まりました。

 4月7日(日)、好人舎では飯島さんが大きな寸胴(ズンドウ)でお湯を沸かしてくれていました。
 お米づくりメンバーの一人が生卵を買いに行って戻ってきました。手には10コ入り生卵パック。すでに作業テーブルには食塩2袋。その脇ではお湯が沸きつつあります。丈夫な苗を作るためには、重量のしっかりした籾が必要で、今日はこの籾の選別と消毒をする日なのです。つまりはお米づくりがこの日をもってスタートするという、たいへんに晴れがましい日なのです。

 バケツに水道水(17℃)を汲み、食塩を投入攪拌し、比重1.12の塩水を作るのです。手元に比重計があれば簡単に指定の濃度の食塩水は作れるのですが、比重計がない場合はどうするか。ここで生卵の登場だったのですね。ご飯を食べないと一日がスタートできないほどお米好きの飯島さんのことです。かねてからどんなおかずで朝ご飯をいただくのか、興味がないわけではありませんでしたので、ああ、なるほど、米づくりが始まるこの日の朝は、伝統的な卵掛けご飯を掻き込んで元気をつけ、さあ、やるぞ、今年もと景気付けをしているのかなあと、この卵の意味をボクはぼんやりと同意していたんです。

 でも、朝ご飯のおかずではなかったようですね。

 バケツを攪拌しながらお米づくりの指導担当の鷹島さんが指示を出します。「卵、入れてくださ〜い!」。
 そうか、この卵は比重計代わりだったんですね。だれかが「何個入れる?」と聞きます。メンバーのだれかが「当然1コだよ」。でも、ボクは「その選んだ1コの卵が不良品だった場合も考えて、今ある10コ全部入れたら?」と提案。結局この提案は受け入れられず、中を取って半分の5コを水道水で洗ってから、バケツに入れました。

 鷹島さんが塩水選の説明文を読みあげています。

鷹 島 比重1.12から1.14の食塩水に生卵を入れると卵がタテになって浮かび、浮かんだ部分が10円玉くらいの円になる。
小 林 まだ、沈んでま〜す。全部、沈んだまま。
鷹 島 ということは塩が足りてないってコトだから、もっと食塩を入れてみて。比重が1.14になると、卵はヨコになって、しかも水面から顔を出す部分が500円玉の大きさになる。
小 林 はい、塩、入れてます。

 実際にはなかなか1.12の塩水にはなりませんでした。ボクは何度か指を突っ込んではなめてみましたが、相当に塩っ辛かったにもかかわらず、指定の比重1.12の塩水にはなりませんでした。確か、海水が比重1.025(この数字、2回目か3回目の米づくりに際し、同様の塩水選をしたあとで調べたような記憶があるものの、かなりアヤフヤ)で、海水に卵を入れてもすぐに沈んだような記憶があります。

鷹 島 もっと塩を入れないとダメじゃない。
小 林 もうずいぶん入れたんだけど。でも待ってよ、ほら、5コとも浮いてきた。塩は底に溜まったまま、なかなか溶けませんが、卵は浮いてきました。
鷹 島 比重1.12の塩水ができたってことだ。ほらほら、水面上に顔を出している円形も、10円玉程度じゃない?
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↑生卵5コがタテに立って浮かんでいます。水面に顔を出している部分は、確かに10円玉相当です。この時の塩水の比重が1.12です。

小 林 OK!できあがり。
長谷川 でも、ちょっと待って。その説明では比重1.12から1.14とありましたよね。比重1.14にすると、相当重量のしっかりした、身の詰まった籾じゃないと沈まないってことじゃないんでしょうか。いい苗を作るには、できるだけ重い籾を選んだほうがいいんじゃないでしょうか。ヨコ向き500円玉に挑戦してみませんか。
鷹 島 そうね。いいですね。1.14にしてみましょうか。塩を追加で入れてみると、お〜お、卵が寝はじめた。
小林 500円玉になってきたあ。この塩水で今年の苗籾を選別しましょうよ。
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↑今度は塩分濃度を高く調整していると、卵は寝転がってきて、どうです、500円玉くらいじゃないですか。

 以上のようなやり取りがあって、今年の種籾の選別は1.14の塩水選で仕上げました。選別に叶った籾は例年よりもいくぶん少なくなり、農園主には損害をお掛けしましたが、すくすく育つ丈夫な苗のためです、ごめんしてください。
 この後、種籾を60℃の温水に10分間浸け、通常の冷水で冷やし、発芽用のプールに移してこの日の作業を終えました。
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↑塩水の比重が1.14に調整したバケツに種籾を入れて攪拌しているところ。
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↑選別した種籾の塩分を水洗いしてから、60℃10分で消毒しているメンバー。

 帰宅して、どうしても海水の塩分濃度を確認したく、ネットで調べてみたんです。比重1.025という数字はほぼ誤りではないようでした。ほっとしたものの、指先を浸けてバケツの食塩水をなめてみた塩っ辛さから、まだ行ったことはないものの、「この塩分濃度は死海の塩分濃度に等しいのでは」と思ったほど塩っ辛い味でした。以前でしたら、疑問は図書館か書店に駆け込んで解決に近づいたわけですが、最近はネットで調べることのほうが多く、重宝しています。
 検索キーワードを「海水」「自宅で作る」「死海」「塩分濃度」など、いろいろの組み合わせで検索してみましたら、まあ、とびきりのページにたどり着きました。
「自分の風呂で死海が再現できるか」をテーマに、大量の塩を購入するとこから始めた青年グループの報告。久しぶりに大笑いしました。

 自宅の浴槽に死海を再現した青年グループのレポートは(「お風呂で死海の海を再現できるか!?」)として紹介されていますので、そのご苦労を思いつつ、大笑いしてみませんか。
by 2006awasaya | 2013-04-11 11:16 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[199=長ネギ]

2013.3.26(火)
道しるべになってくれるか
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↑今年も長ネギを植えてきました。右隣のトンネルはコーランを聞かせたタマネギです。

 ネギを大量に輪切りにして納豆に混ぜ、鼻腔の奥をつつく辛味を楽しみつつ、涙をこらえ、掻き込むように食べる。ネバネバを箸で制御し呼吸を留めて掻き込むというスタイルも好きだし、第一、納豆とネギという取り合わせが好ましいなあ、好きだなあ。

 芭蕉もネギが好きだったにちがいない。好き嫌いを口にする様は我儘いっぱいの子どもを見ているようで、ただそれだけで不機嫌な顔になっている芭蕉の表情が浮かんでくるが、それにしても、ネギを詠んだ句からは「ネギよ、おまえも、う〜ん、なかなかのものだな」という位置取りがうかがえて、好き嫌いというよりも好ましい姿とうつっていたのだろう。
 とくに、この句を見ると、そんな思いがする。

今朝の雪根深を園の枝折かな

 いつものように加藤楸邨先生の解説に拠り掛かって、句の表面を撫で回してみると、今朝方の雪で、菜園が深く積もった雪で覆われ、どこに何があるのか、まったく分からない。そうか、青く天を刺すネギを道案内にしていけばいいのか、とおっしゃる。
 随分と深い雪。今年も雪はたびたび降ったが、幸いなことに、船橋では畑全体を覆うような雪はなかったから、芭蕉のようにネギを道しるべにして歩けなかったことが、ちょっぴり残念な気もする。雪国のかたから罵声をいただいても仕方がないが、どうかお許しを。
 ネギの句がもう一句ありました。

葱白く洗ひたてたる寒さかな

 こちらもネギをダイコンに取り換えてもカブラに置き換えてもいい訳ですが、ネギに思考を惹き付けられてほどけなかったんでしょうね。うまい、まずい、そういう味覚レベルの話ではなく、これはネギがもつ辛味に由来しているのだと思うのです。背筋を伸ばし、口元をすぼめるほどの辛味こそ、身を切る寒さとそっくりですものね。
 ボクは店頭に並ぶ真っ白な葱よりも、引き抜いたままのドロを身にまとった泥葱のほうが、長持ちもするし、寒さに負けないたくましさを感じて好もしく思うのです。

 で、昨年夏過ぎに植えたネギは最近、すべて引き抜いてさまざまに食べてしまったので、この秋用に植えてきました。
 はたして、道しるべになってくれますかどうか。
by 2006awasaya | 2013-04-03 10:56 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[198=味噌仕込みを終えて]

2013.2.12(火)
今年も味噌仕込み完了
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↑今年もお陰様で無事、味噌仕込みが完了できました。作業を終えたばかりで頭にはシャワーキャップ、マスク、手術用の薄手のゴム手袋をつけたままですが、無事に作業を終えることができ、ほっとしている至福の表情だとご理解ください。仕込んだ量は10kgです。厳重に滅菌密封し、仕込んだ年月日と気温、天気具合を明記。例年になくあたたかな日でしたので、はて、どんなお味噌に仕上がってくれるやら。来年の今時分まで「慌てず騒がず、じっと待て!」。

 基本的にはその年に仕込んだ味噌はその年の暮れに開封し、翌年の暮れまでおいしくいただいてきました。ある年の味噌はおいしさには変わりはなかったものの、熟成が進み過ぎていて味噌の色が黒褐色に近い時もあり、また別な年には、素材の大豆をミンチ状にせず、豆の形のまま仕込んで、ふくよかなお豆状態でいただいたこともあり、その出来上がり具合はその都度、指導してくれた金谷さんに報告してきました。なぜって、金谷さんが毎年、厳寒の時期に麹を作ってきてくれたおかげで、こうしたおいしいお味噌を味わえるのです。その麹を作るに当たってのデータは克明に記録され、集積されていますが、出来具合の味とか色味についての評価は各人の好みで数値化できにくい領域で、そうした評価もまた、製麹及び味噌仕込みには欠かせない経験値でしょうね。

 このブログ、真剣!野良仕事の176回には([情操多層味噌開封す])、その情操多層味噌を仕込んだ折りの様子は142回に([情操多層の味噌])として書きましたし、出来上がりの味噌の色については、118回に([蝦茶か駱駝か、色味の違い])として報告。また、ボクが初めて味噌仕込みを体験した様も31回([味噌づくり後編])と30回に([味噌づくり前編])としてアップしましたので、覗いて見てください。毎年毎年、同じような作業をしているだけですが、その年の夏場の気温とか、仕込んだ樽の保管場所でさまざまに風味を変えてくる味噌。
 金谷さんが今年も参加されたメンバーを前に作業手順の説明をひとわたりしてくれた後、言わずもがなといった表情で「みなさま、今日はよろしくお願いします。ところで今日の作業は味噌づくりではありませんので、誤解のありませんように。われわれはただ樽に仕込んでいるだけで、味噌を作っているのではないのですから」と。ボク一瞬、『味噌づくりではありません』の意味を掴みかねていたのですが、ややしばらくしてその真意を了解。人が何から何まで作っているように見えますが、厳密に言えば人は手を添えるか、手を貸しているに過ぎず、そのあたりの構成なり構造を厳密に言葉に置き換える能力に欠けてしまっている自分を見た一瞬でした。
 なるほど、「味噌仕込み」とは言い得て妙。「味噌づくりにあらず」、然り。
 隣りにいた風戸さんが「子孫を残すシーンで『子づくり』か『仕込み』か、うーん、なかなか難しい使い分けの場面もあるなあ」とチャチャを入れてくれて、ボクの緊張をほぐしてくれました。いろいろにお気遣いいただき、ありがとうございました。
by 2006awasaya | 2013-02-12 12:26 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[197=コーランを聞かせてタマネギ長者]

2013.2.5(火)
コーランを聞かせてタマネギ長者への道を歩む

 タマネギって、実にえらい。素直に偉いと思う。
 煮物、炒め物は言うに及ばず、うすーくスライスしてカツオ節を振りかけ、お醤油を回し掛けしてかき混ぜる。それを炊き立てのご飯にのせるだけで、ご飯が香るほどおいしくなる。長ねぎとはまた違った味わいがある。
 さらに、最も大切な要件ですが、軒下につるしておくだけで、結構長期間、保存も利く。しかも長期保存のタマネギとは思えない新鮮ぶり。つくずくと、まったく偉いヤツなのです。
 そうそう、丸ごと煮て、ツナとジャコとマヨネーズで和えたペーストを乗っけていただいたんですが、これが存外美味かった。
 また、いままではタマネギがキツネ色になるまでしっかりと炒めたタマネギを合い挽き肉といっしょに混ぜて作っていたハンバーグですが、生のまま、ちょっと大き過ぎるんじゃないって不安に感じるほど大きめの賽の目にしてハンバーグに混ぜたら、いままで食べていたハンバーグが途端にレストラン風にオシャレになったりして、なんとまあ、えらいものだなあ。

 昨年はサツマイモ長者を目指して夏場から干し芋用と焼き芋用の苗を選んだりして、おかげでほっこりした冬を過ごしていますが、年間を通して豊かな気持ちにしてくれるタマネギを今年の「食の一大テーマ」に据えてみようと、去年の秋、畝を整理したのです。

 ちょうどシマさんもタマネギを植えていて、これはいい、なにかあればすぐに相談に乗ってくれるし、分からないことがあればすぐに聞けるし、よろしくお願いしますって頭を下げたら、
「私のタマネギは自分で種から育てているので、みなさまの参考になるかどうか、分かりませんよ。それでもま、タマネギであることに代わりはありませんから、どうぞなんなりと」と。

 シマさんが植えているタマネギは少し小振りで、小振りの割には甘くって、とっても丈夫な品種らしい。ボクのタマネギは16号の向こう側にある長野種苗に予約した真球大玉のタマネギの苗。約100本一束で700円。これを二束購入し、正確に数えてみたら235本。うち5本は根元が折れていて使い物にならず、結局定植したのは230本。盛夏には230球を夢見て、畝の整理をしたのが10月下旬でした。堆肥を入れ、シチケンも入れ、すこし深く耕して2週間置き、タマネギ専用のマルチシートを張り、11月10日に定植しました。

 さあ、これで230球のタマネギ長者への第一歩。寒さにも強いし、放ったらかしでも自分ですくすく育ってくれるタマネギって、まったく偉い!

 webで調べたら、タマネギの原産はペルシャ。待てよ、金谷さんが味噌仕込みに際してクラシック音楽を聴かせておいしい味噌を作っているように、ボクも定植したタマネギにコーランを聞かせてあげるべきだったか。今からでも遅くはない。すかっと晴れた日に、乾燥したふるさとを思い出せるよう、コーランを流してあげることにしよう。たしか、聖地メッカで収録された音源があったはず。とりあえず、今日のところは雪よけのトンネルで我慢しておいてください、未来の230球たちよ。

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↑2012年11月10日に植えたタマネギ。近くの長野種苗で購入してきた230苗を定植しました。タマネギ専用のマルチシートもいっしょに購入。苗床を整理し、ベッドメイクよろしく少し強めに張り、若干開き気味のバッテン部分に植えるだけ。とても簡単。しかも、不織布で色も真っ黒なので、地温をあげる効果もあり、なんだか期待できそう。タマネギ長者への道は意外や、こんな簡単に開けていたのか。長野種苗の方によると、「収穫は6月後半、かな」とのこと。
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↑2012年11月27日。しっかりと活着したタマネギの苗。茎がしゃきっと天を向いて、ここまではまずまずの成長ぶりです。2013年1月に入り、タマネギ専用のマルチシートをはがし、少しばかり寒風に当てる。
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↑2013年2月2日のタマネギ。1月28日からに降り積もった雪で押し潰され、へなへな。タマネギ長者への道が断たれたかと、思わず知れずシュンとなってしまいましたが、覆いかぶさった雪を払いのけ、1週間後には、なんとか生存が確認。待てよ。生存可能なぎりぎりの乾燥状態を経験させてあげたことで、原産地への遥かなる記憶を辿っていたかもしれず、さて、少しばかり苛め過ぎたかと、モンスーン地帯特有の、ウエットな感情移入はしないでおくことにする。
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↑2013年2月5日。天気予報では明日から寒気団が活発化し、首都圏でも1月末の降雪以上の降雪量を予報していて、交通機関の寸断注意を呼びかけていた。そうか、柔道連盟の苛め暴力事件で騒いでいるマスメディアの連想で、2週間前に少しばかり苛めたことが心に引っかかっていたので、雪対策としてのトンネルを張りに畑まで出掛けた。まずはタマネギ畝の脇にグラスファイバー製のヒゲを立て、たわめてからその上にビニールを張るのですが、風がとても強く、独り作業ゆえ、けっこう時間がかかった。
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↑なんとかトンネルが完成。いつもより余計にペグを打ったので、かなり頑丈なトンネルになった。大玉真球のタマネギ。どうか今後もすくすくと成長していくことを願っています。
by 2006awasaya | 2013-02-05 17:52 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[196=腰痛に見舞われて]

2013.1.9(水)
病院あそび?
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↑ボクの最近のキーボード。ハングルがキーボード入力できるように、キーにハングルの母音と子音をマジックで書き足しました。キー配列に慣れれば、日本語の変換選択作業をする時間が省けますから、ハングルに限っては文字入力は相当スピードアップができそうです。憧れのブラインドタッチも夢ではないかも。

 昨年末、裏の庭掃除を命じられ、体調がよかったこともあり、さらに天気が良かったこともアリ、ついつい調子に乗って重労働にチャレンジし、腰を痛めてしまいました。昨年の夏にもちょっとしたことで腰をひねって痛めてしまい、2週間ほどコルセットを巻いてビクビクと暮らしたものです。その再発なのでしょうね。
 どんなことをすると、そんなふうになるの?具体的に説明してみなさい、なんて聞かれる前に早口で説明しますが、裏庭にある物置小屋を移動しようとしたのです。物置自体は収納物を外に出してあるので軽いのですが、土台のコンクリートブロックが見た目いかにも重そうで、でもま、やってみないと話にならないと、気合いで4つを持ち上げ、みごとに作業は完了したのです。
 でも、まさかあんなにも重い土台の石が持ち上げられるなんて。だれも褒めてくれませんので、得意の自画自賛、我ながらホレボレ。ズボンの裾をパンパンと叩いて気分良く風呂に入り、ビールをいただいて気分良くベッドに。
 ところが翌朝、腰が痛くて痛くてベッドから起き上がれないんです。
 ゆっくりゆっくりと道を歩く分には不自由はないのですが、信号のある横断歩道が恐ろしい。制限時間内に渡ることができない。とくに駅前の人が溢れる道が怖い。皆さんの歩く流れについていけず、立ち止まると後ろの人からド突かれる。怖くて歩けない。
 そんなこんなの、びくびくしたお正月を過ごしていました。
 
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↑グールドのバッハコレクションから、フランス組曲とイギリス組曲。
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↑ボクの大好きなビル・エバンス・トリオ。CDの2枚目頭のティファニーがいいなあ。
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↑韓国の童謡CD。韓国通販で買ったのですが、Amazonにはない曲がいろいろありました。
 唯一の慰めは音楽でしたね。
 午前中はバッハのフランス組曲とイギリス組曲をグレン・グールドで、昼はビル・エバンスの静かなピアノ、そして夜は例年でしたらインド音楽の最高峰、アリ・アクバル・カーンのサロッドをセットするのですが、今年は『最新幼児童謡ベスト』。これは韓国の就学前の子どもたちに聞かせるような童謡80曲で、繰り返し繰り返し流していました。80曲の内、70曲はテンポが速く、しかも歌詞がやたらと長く早口で、ヒヤリングの練習にもなりません。唱和する曲ではないのですが、なかに「병원놀이(病院遊び)」という比較的短い曲があったので、これだけは覚えようと、何度も何度も繰り返し聞いてお正月期間を過ごしました。
「お腹が痛い、熱も出た、どうしましょう、それなら病院へ」。そんなたわいもない内容の歌なんですが、さて、明日あたり、童謡では「ヨボセヨ、ヨボセヨ、ペガアッパヨ」(日本語訳では「もしもし、お腹が痛いよ」)と歌っているのですが、ボクの場合は「ぺ=배=お腹」を「ホリ=허리=腰」と置き換えて、鼻歌気分で整形外科医院にでも行くことにしましょうか。「ヨボセヨ、ヨボセヨ、ホリガアッパヨ」と。

追記
 CDケースに入っている歌詞カードは、おそろしく小さな文字なんです。200%に拡大コピーしてからパソコンで打ち直し、辞書を引き引き日本語を添えてみましたが、はたしてあっているのかどうか、ぜんぜん自信がありません。ハングルが読める方、ただしてくださると嬉しいです。その歌詞だけを下にコピーしておきます。よろしく、よろしく。

병원놀이
病院あそび

여보세요 여보세요 배가 아파요
もしもし もしもし お腹が 痛いんですが
배 아프고 열이 나니 어떡할까요
お腹が痛くて 熱も出る どうしましょう
어느어느 병원에 가야 할까요
どれどれ 病院へ行かなくてはだめでしょう
여보세요 여보세요 나는 의사요
よく見せて ご覧 私は医者よ
배 아프고 열이 나면 빨리 오세요
お腹が痛くて 熱が出れば 早く 来てください
여기는 소아과 병원입니다
ここは 小児科 病院です
by 2006awasaya | 2013-01-09 18:34 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[195=巳年の干し芋、できました]

2013.1.4(金)
巳年の干し芋

 十干十二支でいうと今年平成25年は癸巳、みずのとみ。この読み方は以前から知ってはいたのですが、あらためて「みずのと」という字を書こうとするも、情けないことに書けない。みずのと、みずのと、と頭の中を探し回ってもいっこうに見つからない。三つ葉葵の「葵」という字に似ていたけど、なにかが不足なのか、過剰なのか。仕方なく、広辞苑をひく。ああ、そうだった、癸だったか。葵から草冠を外すんだったか。

 う〜ん、まてよ、「癸」は訓読みならば「みずのと」だけど、音読みだとなんと発音するんだろう。訓読みで「みずのとみ」と発音する「癸」の音読みが分からない。
 分からない漢字に出会ったら白川静先生の『字統』を引けの喩えどおり、さっそく引いてみると、「音は、キ。訓は、はかる、みずのと」で、意味は「水、四方より流れて地中に入るの形に象る」とある。なお、こんな説明で括っている。「十干の最後にある。十干は序数のための記号であるから、これらを字形・字義によって特別に意味づけようとするのは誤り」と。広辞苑にも十干の十番目くらいで、語源についての説明はない。漢和辞典も同様、説明の仕様がない文字らしい。でも、「癸=キ」は分かった。
 つづいて、「巳」はなんと読んだらいいのか。同じように『字統』を引くと、ヘビの形。十二支の第六、「み」に用いるとある。その説明は以下のよう。「四月、陽気巳に出で、陰気巳に納まる。万物現れて文章を成す。故に巳を蛇と為す」と。肝心の発音は「シ」、訓は「やむ、ああ、み」。
 ン? すると「癸巳=キシ」と読むのか。
 う〜ん、日本語はケースバイケースで読みがいくつもあり、そのひとつひとつを覚えていかなくてはいけないから、日本語を学んでいる外国の皆さん、心底大変だろうな。頑張れ!

 ところで、韓国語を勉強しだして8ヶ月経つけど、遅々として進まない。
 さまざまな壁が立ちふさがってきて、くじけそうになる。
 もうとっくにくじけているけど、一応、くじけそうになると言っておくことにしている。習いはじめは複合母音に悩まされ、少し前の秋口は書き取りができず、いまは連音に苦しんでいるのです。子音と母音が上下か左右に並んでいる状態に、下支えするように子音が入り込んでくる。これを下で支えるという意味でパッチムと言うのですが、このパッチムは子音。だから、日本語のように、子音と母音がワンセットになっていない。日本人だから母音がついていない子音だけの発音が出来ない。しかも、その子音のパッチムが次の語の母音に癒着して別な音になるから、書かれた単語と発音とが違ってくる。

 ややこしいでしょ。説明もシドロモドロだから余計にややこしい感じになっちゃう。お許しを。

 具体的に言うと、[韓日辞典]という言葉はハングル表記で[한일 사전]と書くのですが、発音はハンイル サジョンと一語一語読むのではなく、フランス語のリエゾンのように融和癒着しながら[ハニル サジョン]。한のパッチムが일の母音に流れ込んでハニルと滑らかに発音される。
 発音と表記が食い違っているのは、まだまだたくさんあり、こんなことで騒いでいる時間なんてないのですが、いま、この連音でつまずいているのです。

 それはそうと、韓国でも当然のことながら日本のように干支がある。中華の傘下に入っている漢字文化圏の一員ですから、韓国でも今年は巳年。それはそうと、さて、巳年をなんというんだろう。手元にある『デイリーコンサイス韓日・日韓辞典』で調べたら、[사 년]。発音は[サニョン]。「ニョン」は「年」で、「サ」はイル(一)、イ(ニ)、サム(三)、サ(四)のサ。でも、なんで「サ」が「巳」なのだろう。今度、先生に聞いておこう。

 実は新年早々、青天が続いていたので、「巳年の干しイモ」でも作ろうかと思い立ち、暮に仕舞い込んだ蒸篭をとり出し、再チャレンジ。
 前回は蒸しあがったお芋があまりにも熱く、薄く切るところをだいぶ厚めに切ってしまい、それで市販の干し芋のようにならなかったという反省もあり、手順を前後して、蒸す前に薄く切ってから蒸し器に入れれば、蒸し時間も短縮でき、仕上がりもきれいになるに違いない。
 そうそう、棒状の干し芋を作り、これを巳年の干し芋に見立てれば、なんともめでたいお正月菓子になるはずと、作業にかかる。
 以下、写真を並べます。
 そうそう、写真を並べながら気がついたのですが、面取りをしてから干物カゴに並べれば、もうすこし巳年の干し芋に近づけたのにと、ちょっぴり反省。ま、いいか。今年もいろいろ多岐にわたって後悔したり悔やんだり、自省したりすることになりますが、これをもって「反省始め」としましょうか。
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↑蒸篭の一段目には棒状にカットしたタマユタカを並べる。蒸篭の二段目には薄く切ったタマユタカを並べる。
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↑蒸し始めて30分の一段目。もうもうと立ち上る湯気を吹き払うと、おお、こんな状態。
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↑干物専用ネットに並べる。これで丸一日経過した状態。
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↑でき上がった巳年の干し芋。これはこれで十分うまいが、火で炙るとさらに美味かった。表面はパリッとしていて、内部はほくほくの芋羊羹状態になっていた。あやうく火傷するところだった。桑原クワバラ。
by 2006awasaya | 2013-01-04 17:01 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[194=3年目でどうやらまともな干し芋、できましたよ]

2012.12.22(日)
まともな干し芋、できましたよ

 今は亡きボクの母が、なにゆえに、あんなにも干し芋が好きだったのだろう。その訳がわからないままに、ボクはその好みを知らぬ間に受け継いでしまったようです。
 寒さがきつくなるこの時期、スーパーなどに行って夕飯のお買い物をしている最中でも、目が干し芋に引き寄せられてしまう。買おうかなあ。食べたいなあ。買って仏前に供えようと手を伸ばし、カートに入れるのですが、最近の干し芋はけっこう高額の値札を付けていることが多く、すこし怯んでしまいます。落ち葉のような小さな干し芋が5枚ほど入って400円! 昔は朴葉のように大振りの大きな干し芋で、全体が白い粉で覆われていて、後年になってその白い粉がカビではなく干し芋の内部の糖分が吹き出してきたものと分かり、一安心したことを覚えていますが、子どもの頃はその白い粉はカビだと思い込んでいて、丹念にこそぎ落として食べていたような記憶があります。ああ、もったいないことをしたものです。

 それはそうと、値段のなんと高くなったことか。これでは干し芋という名前を付けて売ってはいけない値段です。なるほど、焼き芋に比べたらとんでもなく手間ひまがかかっていますから、この値段になるのは仕方ないとは思いますが、昔から馴染んだ干し芋とは到底思えません。

 そんな思いが記憶のいちばん深いところにあるものですから、数年前から干し芋を自作しようと考えていたんです。気兼ねなく、好きなだけ食べたい。柔らかからず、硬からず、ほのかに甘やかで、しなしなしていて、湿っているようでいて手触りはべたべたせず、まことに絶妙な食感。あるいはこのなんとも形容しがたい様を玄妙なんて言うのかしら。

 この玄妙なる仕上がりを求めて4年前の春先、鳴門金時の苗を畑に植え、秋の収穫を経て干し芋づくりに挑戦。そして見事失敗。2008.11.23の[真剣!野良仕事 94]にその失敗を報告しましたが、なんのことはないのです。干し芋にするには干し芋に適した品種を選ばなくてはいけなかっただけのことでした。茨城県の干し芋農家のホームページなどで調べたら、「イズミ13号」という白芋系のお芋を使っているというのです。このお芋は焼き芋にしてもぜんぜんおいしくないのですが、蒸して干し芋にした途端、糖度が増して、絶品の干し芋になるということが書いてありました。

 なるほど、干し芋専用のお芋ってものがあったんだ!

 次の年2009年の春、このイズミ13号を求めて干し芋の一大生産供給地である茨城県の土浦を中心に車で走り回ったのですが、入手できませんでした。しかたなく、この年はお芋をあきらめ、ダイコン各種を植え、期待以上の大豊作。その大半を切り干しダイコンにして、幸せ感いっぱいの新春を迎えました。次の年2010年もダイコン長者を夢見て再度挑戦しましたが、土の中の線虫類に真白きすべすべ肌をかじられ、無残にも失敗。

 昨年2011年の暮、種苗メーカーのネット通販ページで、「干し芋に最適のタマユタカ!予約注文受付中」というページに偶然にも入り込み、おお、そうか、世間ではこんな時期にすでに予約が開始されていたのか。さっそくに注文せねばなるまいと、注文ページに進んだはいいのですが、待てよ、きっと最小ロットがあるだろうし、数が少ないと予約も受け付けてくれない場合もあるに違いなく、電話をして確認したところ、「何本でもいいですよ」とのお返事。それではと、少し小さな声で、「では50本、お願いします。タマユタカ30本にベニアズマ20本、お願いします」と注文。翌年の春に苗が配達されてくることが分かり、近年まれに見る至福に包まれての年越しとなり、今春、ちょうど田植えが終わり、除草に忙しい5月下旬に、15センチ角、長さ40センチほどの段ボールが到着。開けてみると、確かにお芋の苗が新聞紙に包まれて入ってました。

 6月に入って早々、サツマイモ専用の堆肥を購入し、少し深く耕してから畝を作り、タマユタカとベニアズマを舟形に定植。夏に入ると芋蔓が旺盛に延び始め、専用の堆肥が効いていることにほくそ笑みながら下品な笑いをこらえる日々が続きました。そして稲刈りと脱穀を済ませた10月13日に芋掘りに取り掛かりましてね。

 まあ、なんと大きなお芋!
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↑あらかじめ調べたタマユタカはもっとスリムな、だれもが思い描いているお芋の形をしていましたが、掘り上げたタマユタカはなんとも奇妙というか、サトイモの巨大な母芋のような形でした。色も白芋系というだけに、淡いピンク。これで1kgほどの重さでしたが、こんなお芋が30個ほど収穫できました。ベニアズマも大小取り混ぜて40個ほど収穫。お芋専用の堆肥が効いていたのだろうと、周囲にだれもいないことを確認してから一人ほくそ笑んでみました。ぞっとするほど下品な笑い方だったに違いありません。桑原クワバラ。

 掘りたてのお芋はおいしくない、甘くないと言われていますので、一応、確認のために大振りのお芋を蒸かしてみました。なるほど、タマユタカは甘味がほとんど感じられません。正直な印象を申し上げると「まずい」の一言です。韓国語で言う「맛있 없어요! マシ オプソヨ!」。まさしく、味がないって感じ。そこで、じっと我慢の2カ月間、冷暗な場所に土付きのまま保存。ただし、ベニアズマはほくほくして、期待どおりの甘味なお芋でした。

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↑このタマユタカを蒸して干し芋に。重さはこれで300gほど。ふくらみに沿って、分割にし蒸篭に入れました。

さあ、干し芋に再チャレンジ
 そして約2カ月後の本日、満を持して干し芋への再チャレンジです。
 このときのために、いろいろプロの技を調べ、まとめてみました。

1=蒸し時間は1時間
2=まだ熱いうちに皮をむく
3=繊維に沿って薄く切る
4=陰干しではなく、しっかりとお日さまに当てながら乾燥させる
5=夜は室内に取り込み、翌朝、天地返しをしてさらに乾燥
6=乾燥は青天が続く日であること

 以上がプロたちの干し芋作りの要諦ですが、今回は以下のように変更してトライしてみました。
 1の蒸し時間は、2時間にしました。2の皮むきは、蒸した直後にやらないとうまく剥けないとありましたので、蒸す前に多少厚めに剥いてしまい、1つのお芋をふくらみに合わせてブロック分けにしました。うちの蒸篭が直径30センチほどの2段重ねで、分割にしないと収容できないので。3の繊維に沿って切ることも大切なポイントですが、肝心なのは薄く切ること。プロは極細のピアノ線を5mm幅に張り、その専用切断機の上から皮を剥いて湯気をたてているお芋を押しつけるようにカットしています。ゆで卵をスライスする専用カッターに似ていますが、今回は波形歯のパン切り包丁で、できるだけ薄く切りました。

 市販の干物作り用3段カゴに並べ、まる二日で干し芋の完成です。出来具合を確認しながら取り込みつつ、うーん、やはりプロが作るホンモノの干し芋にはさまざまなノウハウが隠されているんだろうと、この冬、さらにトライ&エラーを重ねて見ようと思っています。

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↑寒風とお日さまのチカラで、おお、しなやかで滋味ゆたかな干し芋の完成です。

 ほんとうのところ、調子に乗ってもっともっと大振りのタマユタカも蒸してしまい、干物作り用3段カゴに並べきらず、だいぶ余してしまったのです。

 どうするの、こんなに蒸しちゃって!という妻の声も聞こえてきそうです。
 そこで、蒸篭の陰に裏ごし器があったことを思い出し、そうか、まだ熱々で湯気をたてている今、裏ごししてお団子でも作ってみようかと。
 子どもの頃、お正月用に栗きんとんを、この裏ごし器で作っていたなあと、そんなことを思い出したものですから。

 そこでさっそくシャモジで大量に余ったタマユタカを裏ごしし、ボウルにとってから蜂蜜を加え、てのひらでピンポン玉ほどの大きさに丸めてみたんです。
 なんだか田舎っぽい見掛けながら、甘さ控えめの和菓子のようです。
 でも、この姿だと「なにこれ?」と言われそうで、少し身繕いでもしてあげようと、茹で小豆の缶詰めがありましたので、さっそく表面にコーティングしてみましたら、なんだか東京麻布って雰囲気、しません? ボクが大好きな和菓子「鹿の子」には及びませんが、けっこういい感じのあんこ玉!じゃありませんか。

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↑これが「鹿の子」もどきのお団子。球体全面に小豆をコーティングせず、南極部は小豆を着せなかったのは、焼き物で言うところの「土見せ」のつもりです。これが我が人生で初めて作った和菓子です。ボクが初めて作った豆本を「和菓子のようだ」と褒めてくれたカメラマン・飯田裕子さん、お元気に活躍されていますか。一報いただければ、食べられるホンモノの和菓子、作っておきます。お待ちしています。
by 2006awasaya | 2012-12-24 11:33 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[193=ここは京都・大原のハーブ園?]

2012.11.10(土)
ベニシアさん、ようこそ船橋へ
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↑ここは京都・大原のハーブ園?

 昼前にサトイモの畝で草刈りをしていたシマさんと久しぶりにおしゃべり。シマさんの姿を見ると、いろいろなことを聞きたくて、ついつい腰を下ろして質問を並べてしまうんです。94歳にして現役ですもの、いろいろなこと聞きたいし、教えてもらいたいことってさまざまにあるじゃないですか。

長谷川 ごぶさたしています。今日はなんともいいお天気ですね。
シ マ ほんとうにいいお日和で。
長谷川 気持ちがウキウキしてくるようですね。
シ マ でも、天気予報では明日からまた下り坂って言ってましたから、今日できることは今日のうちにしておかなくてはね。
長谷川 いきなりですが、シマさんは四季の中ではどのシーズンがお好きですか。
シ マ ウキウキしてきて、周囲の自然も色づいてくる春も好きですが、この澄んだ空気、気持ちいいですよね。やはりこの澄んだ青空は秋のものでしょうね。

 このあと、サツマイモが今年は上々の出来だったこと、サトイモに土寄せと追肥を息子(飯島幸三郎)に頼んでおいたのに忘れたようで、ほらご覧のように背丈も低く、これではいいサトイモになるわけがないじゃなの話から二十歳前後に、津田沼経由で東京方面に電車で行くときには、バスがないから新京成の薬円台まで歩いて行って、そこから電車に乗った話など、わずか10分程でしたが、ああ、楽しかった。Tさんもお隣で楽しそうに聞いていましたしね。

 それと、ほんとうに気持ちいい日には、気持ちいいシーンが、まるで幻の如く立ち現れるのですね。農園の奥に、吉本先生が管理しているハーブ畑があるんですが、そこのラベンダーの畝の中でクリスマスリースを、吉本先々を中心にしてメンバーの方々が作っていたんです。
 ふつうはこうした作業は室内のテーブルの上でやりますが、今日みたいに気持ちのいい日には外に出て、澄んだ空気の中で作業をするのがいいんですね。遠くから見ていて、じつに気持ちのよいシーンでした。
 あまりにステキなシーンだったので、写真をとってもいいですかって声を掛けたら、どうぞどうぞと、吉本先生。

 日本のハーブ界にステキな影響を与えている「猫のしっぽ カエルの手」のベニシアさんがひょっとして、ここ船橋のこのサークルの中にいそうな雰囲気でした。今度、ベニシアさんに招待状でも出しましょうか、吉本先生。
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↑吉本先生を中心にステキな雰囲気でリースを作っていらっしゃいました。
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↑ステキなリースでしょ。うちにも一つ、ほしいな。
by 2006awasaya | 2012-11-10 21:09 | 真剣!野良仕事