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【真剣!野良仕事】[3=知りたいことを聞く]

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↑はじめて履いた地下足袋。基本的には足袋ですから、ふだん履き馴れているシューズとは大違い。それに、畑って、ふかふか、ふわふわしていて、この感覚が足の裏からダイレクトに伝わってくる。素足じゃないのに素足で歩いている感じ。留め具の工夫もかなりのものでした。真鍮製の爪形のコハゼを受けるコハゼカケの位置が3ミリ間隔でずれていて、ズボンのすそも足袋の中に巻き込んで留めることが出来る。


知りたいこと、どうぞ

 専門用語を羅列しながら、いかに農業が大変な作業かを聞いたり読んだりしているうちに、少しばかり気力が萎えてきてしまいました。ああ、どうしたものか、今日は朝から冷たい雨が降っているし、こんな中での農作業って、はたして楽しいかなあ。そんなことをぼんやりと考えるでもなく考えていました。そんな折り、「畑、見に来ませんか」と電話があり、船橋市豊富町の野菜直販ショップ「味菜畑」で飯島さんに会い、お話をすることができたんです。
 ボクの中の「農業する人」って、穏やかで朴訥で、早口でしゃべらず、問われたことにだけ答える、そんなイメージを作り上げていました。どうやら飯島さんてボクの中の「農業する人」のイメージそのものなんです。しかも、野菜についての様々な疑問に、ちゃんと答えてくれる人でした。
 
長谷川 飯島さんがやってらっしゃる「味菜畑のオーナー制度」についての説明の中で、無農薬野菜をいっしょに作りましょうと呼び掛けていらしたでしょ。専門知識もいらない、最低週に1回、畑に来られれば、結構な収穫が期待できる。野菜づくりのノウハウや農具などは全部農家がお貸しします、会費というか費用は1年間で2万円、畑の大きさは約10坪、5メートル7メートルくらいかな、などとおっしゃった。もちろん、できた野菜は持ち帰っていいし、一切合財の費用が年額2万円。その金額でほんとうに野菜はできるんですか?
飯 島 まず、無農薬の件。できます。事実、ぼくはずっと無農薬で野菜を作り続けて、安定的に供給しています。無農薬野菜じゃないと安心できないのは、消費者もそうでしょうけど、生産者も安心して仕事、できませんしね。それに、自分の畑を農薬で汚したくないという思いのほうが強いのです。自分の畑が訳の分からない化学物質で汚されるの、嫌なんです。当然、虫に食われて、期待していた収量がぜんぜんダメというリスクもあります。次に金額の件。あの金額、自分でも確かに安いと思います。生産者から見ても安いと思います。次に、持ち帰りの件。収穫時期になると、週1回では追いつかないほど、どんどんできてきます。われわれ生産者はその時期、ほぼ丸一日、収穫作業に追われます。収穫した後に供給センターに納めるなど、いろいろな仕事がまだまだ待ち構えていて、収穫が済んだからさあ、家に帰って風呂に入り、ビールで一杯とはなかなかいかないんです。皆さんは収穫したらおうちに帰って寛いでください。アマチュアなんです。おおいに収穫したばかりの野菜を味わってください。
長谷川 ええ、無農薬で作った野菜がどれほど美味しいか、どれほど安全かについては追々実感として分かって来ると思うので、では次の質問、いいでしょうか。webなどで体験農業のページなどを見ると、園主が何から何まで準備して、その計画から外れるようなことはできないと明言しているところが多いんですが、味菜畑ではどうなんでしょうか。どのような野菜を作るのでしょうか。
飯 島 自分の作りたい物をどうぞ作ってください。難しいかそうでないかの判断はお教えできますから。ああ、その野菜は失敗したことがあるとか、あれは案外簡単だとか、こちらの経験をお話することはできます。それと、どんな野菜ができるかでしたっけ。いまは5月中旬、初夏ですが、畑にはナス、エダマメ、オクラ、キュウリ、シシトウ、カボチャ、トウモロコシ、ピーマン、ジャガイモなどが育っています。これからズッキーニが始まるのかな。それに秋に収穫できる野菜の準備に入るところかな。落花生やサツマイモなどですね。
長谷川 ところで、どんなカッコをしていけばいいんでしょうか。
飯 島 汚れてもいいようなカッコですね。そんなカッコで来てください。雨が降った後はぬかるんでいますからゴム長が便利ですが、あれって踵があるでしょ。踵に力がかかって土を踏んずけて固めてしまうので、ほんとうは地下足袋のような底が平べったいのがいいんです。地下足袋って履いたことないでしょ? 底が案外薄いんです。砂利道なんか歩くと痛いくらい。でも、足の裏を意識しながら働く職業には誠に最適なんです、地下足袋って。それと、そうそう、肝心なことを言い忘れていました。できればでいいのですが、2〜3人で協力体制が組めるといいんですけど。チームを組む必要はないですが、多人数で作業にかかると、生産性が上がることももちろんですが、雑草取りなど、1週間畑に来られないとすごいことになっています。きれいに引き抜いた畑でも、結構すごいことになっている。で、自分の区画だけきれいにしておくのではなく、お隣さんの区画も抜いておいてあげる。こんな余裕が必要だと感じています。また、一人で収穫できる量の何倍も、多人数でやると短時間でできるんです。農業って一人でやると大変なんです。家族総出で昔はやっていたの、知ってますよね。田植えのシーズン、刈り入れのシーズンは学校も休みでしたが、一人でも多くの人手が貴重でした。いまは機械でなんでもケリがつくように思っている方も多いと思いますが、機械を使うほどのことでない作業って、結構あるんです。それをみんなで片付けましょということなんです。

 こんなQ&Aがあって、農業未経験の心が、よく耕された畑のようにずいぶん柔らかくなってきました。そんなQ&Aを繰り返すうちに野菜づくりを始める気持ちが踏み固められてきたのです。(hasegawa tomoaki)
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↑畑仕事をしていると、ふと、いろいろな疑問が湧いてきて、そんなとき、すぐ近くに専門家がいるといないでは大違い。その場で解決できるのがなんとも素敵。ジャガイモ畑で、収穫作業を手伝わせてもらったが、広大な面積の畑の場合、コンバインというか、収穫機の先がどんな具合の工具が付いてるんですかと、興味にまかせたような質問をしたら、両腕を胸の辺りでL字型に曲げ、ぐるぐると回しながら、「こんな風な回転翼のようなものが、土を起こしながら畝に沿って進んでいくんです」と、手真似で教えてくれた。
by 2006AWASAYA | 2006-06-24 20:00 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[2=味菜畑へ]

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↑カボチャの花。この鮮やかな色を葉の陰に見る愉しさったら、さて、いったい何に喩えようか。花に見とれていたら、すぐ脇に直径8センチと10センチと12センチのカボチャが3つ。大きいもの2つをさっそく収穫して、うち一つはご近所にお裾分け。お裾分けができるなんて、なんて幸せ。甘いといいな。


いざ、味菜畑の中へ

 飯島幸三郎さんと言います。農事組合法人「船橋農産物供給センター」http://www.oishii-yasai.comの代表理事さん。『毎日食べる野菜だけに、美味しさと安心を!』とのキャッチフレーズで、農家と消費者を結ぶ仕事をされている方です。そのセンターで農業体験ができるプランを作ったのだそうです。題して「味菜畑オーナー制度」。農家の方の指導で野菜づくりができる仕組み。畑を貸してくれて、農機具や野菜のタネ、苗を農家で用意してくれる。手取り足取り。こんな素敵な仕組みを利用しない手はありません。

 もう少し「味菜畑オーナー制度」について、すこし説明します。

《取り組み主体》飯島農園 船橋市豊富町1482
《所在地》船橋市豊富町 味菜畑周辺田圃
《オーナーへ》野菜づくりを楽しみながら、農と食と環境を知りましょう。
《条件》農業の研修者もしくは作業者です。農薬を使用しない栽培を行ないます。味菜畑クラブに入会します。
《特典》新鮮・安心・安全な野菜を手にできます。栽培技術を取得します。就農の可能性があります。
《オーナー料金》1年間2万円
《募集・応募》『味菜畑』にて
《オーナーの作業》コース別にあります

 以上が味菜畑オーナー制度の説明チラシに書かれている内容です。

 それまで、農業体験をしたいと思ってwebでもいろいろチェックしていたんです。
 東京の練馬とか、地元千葉県の千葉市とか成田市の貸し農園のページなど、しばしば覗きにいっていたんです。

 で、そこには農業体験をしたい方々へのメッセージが説明されています。専門家からアドバイスという形でQ&Aのスタイルで疑問に思ったことに答えているんです。そんなQ&Aにいつもいつも目を通していました。

 世の中全体が無農薬野菜に関心がある時期ですし、できれば新鮮な無農薬野菜を食べていたい。でも、無農薬野菜は値段も高い。値段との折り合いをつけ、仕方なしにといってはなんですが、ま、無農薬と謳えない低農薬野菜でも我慢しようか、残留農薬などはスーパーなどで買えば大丈夫だろうと、そのように思っていました。

 いつもチェックしていた練馬区の農業体験農園のwebページに紹介されているQ&Aからちょっと引いてみます。
 例えばこんな問答。
 質問者「無農薬栽培で野菜づくり、できますか?」 
 専門農家「無農薬野菜の栽培はできません。なぜなら一人の方が無農薬栽培されると、その区画で発生した害虫が飛散し、他の区画の利用者に迷惑をかけます。故に、園主より農薬散布の指示があったときには必ず従ってもらいます。農薬の使用法を学ぶことも農業体験の一環だと考えてください」
 そんな意味のことが説明されています。
 なるほどと思いました。病害虫のことはまったく知識がないながらも、自分の区画でそういう病害虫が発生したら、自分の作物がやられてしまうのは致し方ないとして、隣接する区画の作物に影響します。「他人に迷惑をかけてはならない」というのが、われわれ戦後日本人の基本倫理ですから、これだけは死守したい。破りたくない。ゆえに、できるだけ低農薬で行く。そんな園主の考え方に従わざるを得ないのではないかと頷きました。

 また、どんな野菜を作るのか、そのあたりも気になるところです。トマトの甘く、しかも酸っぱさの強いトマトをいっぱい食べたい。ジュースにして保存しておけるし、毎時毎食トマトを食べても飽きないから、そんなトマトを作りたい。各人、様々なイメージを野菜に抱いていると思うのですが、なかなか要求しにくいものがあります。お伺いを立てるような物言いで、恐る恐る聞くこの質問者の心組みが分かります。

 質問者「どんな野菜ができるのでしょうか。野菜の種類は自分で選べるのですか」
 専門農家「栽培する作物の種類は利用者が自由に選ぶことはできません。春と秋の作付けは連作障害などを考慮して園主が決めます。利用者はこの決まりに従って参加者全員が同じ作物を栽培しなければなりません」

 そうか、どの時期にどんな野菜が店に並ぶのかすら分からないボクには、初夏の時期が巡ってきてはじめて、「お、枝豆か、ビールだな」とニンマリするのが精一杯で、その3カ月以上も前にこの日を空想しながら、枝豆を植える算段をするのは到底思いもよらないこと。まして何を収穫したいかなどと強面の顔で問われれば、言葉に詰まってしまいます。せいぜいトマト、キュウリ、ナス、カボチャ程度でしょうか。結局、園主が決めたものを言われるままに黙々と作業するのだなと、そのときは考えていました。そもそも農作業は寡黙なイメージですもの。

 でも、このQ&AのA、すこし味気ないと言うか、ツッケンドンというか、親しみも愛情も感じられないアンサーはどうしたことでしょう。農業のことをまったく知らない人に回答しているハズなのに。「連作障害を考慮して」なんて、ほとんどその意味すら理解できない人に向かって、専門用語を噛み砕いて説明せずに使うのは、思いやりに欠けている証拠でもあるし、また、多少僻っぽい見方をすると、専門家のいう通りに作業をすれば立派な野菜はできるのだから、つべこべ理屈を付けずに素直にやりなさいよと、暗に脅かしで言っているような雰囲気も感じられます。

 前後しますが、「他人に迷惑をかけない」という考えに疑問を呈する方も増えてきています。大人も子どもも、さらにハンデを背負っている人も、健常者も、一律にこの基本理念に縛られているのではないかという指摘です。ハンデを背負った人は健常者に対してもっともっと、「迷惑をかけてもいいのではないか」。自分が弱者だと思えば、強者に対してモノを言ってもいいのではないか。ちょっぴりイスラムの教えのような香りもしますが、そんな心を軽くする考えを持ってもいいのではないか。

 つまり、自分の行為を正当化するに際して、時代の理念なり通念なりをもってきて、有無を言わせず自説に従わせる。頷かざるを得ない論理で終始するのは、はやし少しおかしいと思います。

 まったくの初心者は専門家に迷惑をかけてもいいのではないか、初心者なりにオドオドしながらでも、先輩の農業者に迷惑をかけてもいいのではないか。具体的には、病害虫の発生に、即、農薬散布で対処する以外に、ほんとうに対処の方法がないのか。このあたり、けっこう専門的な話になってきますので、別な機会に飯島さんに教えてもらいながら、その経過をおしゃべりすることにします。

 でも、引っかかるなあ、この押し付けがましいQ&AのA。[hasegawa tomoaki]
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↑ナスの3本立て作業。支柱を3本、写真のように立て、それぞれの支柱に沿わせるように茎をヒモで縛っていく。どの芽を残すのか。何遍聞いても、どの芽を残してどの芽を欠いたらいいのか、わからない。そのうち、ナスの茎は柔らかいので、一番本命の茎を折ってしまう。うなだれていると、飯島さんがきて、「大丈夫、すぐに新しい芽が出てきますから」と勇気づけてくれる。2週間後、新しい芽が出てきて、花を付け、かわいらしい実を付けてくれた。
by 2006AWASAYA | 2006-06-17 20:00 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[1=不安からのエクソダス]

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↑ボクの野良仕事の先生です。飯島さんです。この先生の指導で、これから野良仕事に精を出し、野菜づくりの面白さを探っていこうと思います。どうかよろしくお願いします。「ま、そうリキまずに、のんびりコツコツとやることにしましょう。野良仕事というと、やはり『仕事』になってしまいますから、『野良遊び』のつもりで」と、農業未経験のボクを励ましてくれる優しい方でした。


はじめの一歩

 農家の方と知り合いになって……と、最近はじめた『DISCOVER CHIBA』というブログhttp://awasaya.exblog.jp/ に、「隠された世界」3/15と「極論に走る」3/29とを書きましたが、その方の畑で手取り足取りの農業指導を受けながら、農業まったく未経験のボクが無農薬の野菜づくりに挑戦できそうな気配なのです。

 実は憧れていたんです、農業に。

 さらに実はお恥ずかしいことながら、ボク、トイレが我慢できないんです。

 一年前は人工肛門をつけていました。左下腹部に大腸を出し、そこに収納袋を取り付けて、便を溜める。直腸や肛門に問題がある場合、排泄するための仕組みを人工肛門と言います。特に大腸ガンなど、肛門から数センチの直腸に発症している場合など、その周辺まで切除対象になり、肛門までその対象エリアに含まれている場合はガン再発を防止する意味から肛門及び直腸を切除し、人工肛門で対処するのですが、ボクの場合は直腸狭窄と言って、直腸の弾力が失われてしまって、それで直腸を休養させる必要があるという理由で、人工肛門を付けたのです。直腸と肛門はその手術直後から休養休業に入りました。

 人工肛門って、こう言っては叱られそうですが、便意がないのでラクなんです。収納袋に溜まったら処理をすればいいだけ。もちろん各人によって不具合もいろいろですが、ボクの場合、本屋さんにいくと、途端にトイレに行きたくなる条件反射を持っていたので、人工肛門をしていたときはトイレのことを気にせずに、本屋さんの店内でのんびりと本選びができ、それはそれは「天国の本屋さん」状態でした。

 幸い、直腸狭窄に若干の改善が見られましたので、人工肛門を閉鎖し、休業していた自分の直腸と肛門を使う「もとの暮らし」に戻ったのはいいのですが、便意を催すと、待ったなしの暮らしが始まった訳です。

 これには正直、参りました。外出する際はあらかじめどんなコースで動くのか、その行程中のどこにトイレがありそうか、見当をつけた上でないと動き回れなくなりました。町中ではコンビニもデパートもホテルもあり、たいていは用を足せるので、それほど心配はいらないのですが、海や山など自然の濃い場所では少し困ってしまいます。実は少しどころではなく、心底不安になって、真っ先にトイレの場所が明確にならないと、なかなか落ち着いて自然を楽しむなんてことにはならないのです。

 それで、そのことを相談したら、「畑はいつでもトイレになりますので、何よりご心配なく。また、畑から約300mほど離れたところにトイレ、あります。万一の緊急の場合は草むらもありますから心配いりません。さあ、いっしょに楽しく農業しましょう。お待ちしております!」と、あたたかなお誘い。抱えている「不安からの脱出」、英語っぽく言うと不安からのエクソダス(exodus=出国、脱出)とでも言うのでしょうか、とりあえず最初の一歩を踏み出す障害の一つはクリアーできそうだということが分かりました。

 この励ましを追い風に、農業、始めようと思いました。[hasegawa tomoaki]
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↑はじめて畑に訪ねたとき、ニンジンが畑一面に繁っていました。デジカメを取り出して、地面すれすれから撮ったところ、なんだかニンジンが巨木の森に見えてきて、なんとも新鮮な風景でした。この地面にニンジン色の巨大な根菜たちが姿を隠していると思うと、ジュラシックパークの興奮を凌駕するワクワク感があります。ニンジンの林の向こう、写真の奥に見える濃い緑はホンモノの森です。
by 2006AWASAYA | 2006-06-10 20:00 | 真剣!野良仕事