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【真剣!野良仕事】[80=アイガモ農法☆管見記=2]

2008.6.11(水)
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↑昨年2007.5.12に飯島農園の田植えに参加されていた松丸さん。
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↑2008.6.9にお会いした松丸さん。
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↑松丸さんの田んぼの畦道で毛繕いに熱中するアイガモたち。山田農場で放鳥したアイガモたちが幼稚園の年少さんだとすると、こちらのアイガモたちは仲間内でしか通用しない言語を駆使しておしゃべりに熱中する高校生って感じ。鳥の世界の成長曲線はドッグイヤーどころか、もっともっと急カーブの成長曲線を記録しているかも。

遊び心でアイガモ農法に取り組む

 アイガモ連鎖とでも言ったらいいのか、アイガモがアイガモを呼ぶと言ったらいいのか、アイガモが頭から離れないと言うのか、アイガモがついて回っているようです。

 この近辺ではアイガモは山田勇一郎さんだけだと思っていたら、飯島さんがうすうす笑いしながら近寄って来て、声を潜めて耳元でこう言うんです。

「いやあ、偶然としか言いようがないんですが、アイガモ農法にチャレンジしている仲間がもう一人いたんですわ。山田青年は初めての田んぼで初めてのアイガモですが、これから紹介する方はもう3年も田んぼをやっていて、しかも休耕田を積極的に引き受けて再生している方なんです。何かの折に今年はアイガモでやるってことを聞いて、なんだか今年はアイガモ元年のような、嬉しい年になりそうですわ」と、表情を崩す。

 そしてです。山田さんの放鳥会が滞りなく済んだその晩、飯島さんから電話があり、「明日、アイガモの方に会いに行くんですが、長谷川さん、ご一緒しない?」と。
 聞くと、印旛沼の近くらしい。印旛村岩戸。アイガモ農法の方は松丸秀一さんとおっしゃるとか。
「え、同行させていただけるんですか。スケジュールならどうにでも調整しますから、ぜひ連れてってください」と二つ返事。

 そして、6月9日(月)の朝9時に好人舍で待ち合わせ、飯島さんの車で印旛村の松丸さんの田んぼに向かったのです。好人舍のある船橋市豊富から車で約30分。松丸さんの田んぼがある印旛村は、ボクの先入観では平坦で見晴るかす限り沃野の田んぼ。田んぼの一枚が異様の大きく、ちまちまクネクネした区画はおよそない大規模水田。ところが、実際に助手席からの風景は起伏にとんだ谷地の連続する地形で、目指す松丸さんのアイガモ田んぼは農道の脇の、周囲を森に抱かれるような里山にありました。ぐるりをネットで囲んでいるのと、カラス除けのテグスが田の上に張っているので、アイガモ農法の田んぼだとすぐに分かります。

 農道から脇によれ、車を止めて田に近づくと、アイガモたちは6、7羽が一塊となって畦道で丸くなって毛繕い中。人の気配はありません。すると、はるか先を指差して、「あのこんもりとした森が見えますか。人家が2、3軒固まって見えるあたりですが、あの森の上に松丸さんの家があって、あそこからは眼下一望、羨ましいほどの眺望をほしいままにできるんです。われわれがここにきたことは向こうからは丸見えで、もう少しすると松丸さんは降りてくると思いますよ」

 飯島さんの言う通り、5分もしないうちに車で降りて来た。

 ボク、どこかでお会いしたことがあるなあと、そんな気がしたんですが、なにせ生まれて初めての印旛村です。人違いだろうと、迂闊にも「はじめまして」なんて挨拶をしてしまった。

 実は昨年の5月12日(土)に飯島農園の田植え会で初めて田植機を操縦し、数条の苗を植えたには植えたのですが、どうにもこのフローティング一輪車の田植機がうまく操作できず、結局、手で植えた方が早く、このときボク、落胆して畦道に敷かれたブルーシートに崩れ込み、自分のふがいなさを恥じていたのですが、このブルーシートには田植えを終えた先客が体を休めていて、その座り方というか、腰のおろし方がなんとも様になっていて、見るからにその姿が素敵で、それで初対面の方の前で濃いため息をついてしまった照れ隠しで「田植えを済ませた後は気分もいいですね。ボクは初めての経験で、満足に田植機がまっすぐに進まず、疲労困憊してリタイアさせていただいたんですが、早苗をバックに、写真を撮らせていただけますか」なんてしゃべりかけると、実に気さくに「ああ、どうぞどうぞ」。それでここに紹介した写真となったのですが、その方がこの松丸さんだったのです。でも、そうと分かったのは、これを書いている今。1年前の写真ストックを見返していたら、ああ、やはり松丸さんだった。お恥ずかしい。

 さて、アイガモ農法。現場にて松丸さんから聞いた話をまとめると、ここのアイガモは5月2日産まれの100羽を放鳥。6月8日に放鳥した山田さんのアイガモよりおよそ1カ月先輩。もうすでに立派な一人前の姿形をしている。

「今年は異常に寒かったりで、苗の生育が思わしくなく、予定では、アイガモのヒナが到着する1週間前には田植えが完了していて、しっかり根付いたところで孵ったばかりのヒナを放つ計画を立てていたんです。ところが、アイガモが予定通りの日に到着しても、肝心の田んぼができていない。なんと、田植えを済ませたのが5月20日でした。その間、家の中でアイガモを育てていまして、なかなかかわいいもんだなあと見とれて過ごしたもんです。やっと田んぼができたので、一斉に放したら、あっという間に除草はしてくれるは、虫取りはやってのけるは、とにかく元気な100羽なんです。稲の苗は食べないって話でしたが、食べるものがなくなると、風で倒れたり、自分たちが倒してしまった苗は食べるし、物の本などに載っているアイガモの生態とはやはり違う。これは生まれてすぐのアイガモだったら苗は食べないんでしょうけど、うちの場合は産まれてから20日も経ってのアイガモなので、倒れた苗は食べちゃう。でも、見ていて飽きないですね」と表情を緩めっ放し。

長谷川 ふつうは田植えを済ませた後は、しばらくの間は休養時間で、田んぼ農家は何する訳でもなく、のんびりとしばしの時間を楽しむと聞いていたんですが、アイガモ農家はどんな具合でしょうか。すべてをアイガモがやってくれるので、もっともっとヒマをしてられるんでしょうか。
松丸 正直、こんなにアイガモが気になるとは思っても見ませんでしたよ。田んぼの見回りをかねて、朝昼晩とアイガモはどうしてるかな、雨が降ってくると、濡れて寒がっていないかな、しっかり毛繕いができてるかな、そんなことが気になって、田んぼまで降りて行くんです。去年までと比べると、結構田んぼにいる時間も多いですね。
長谷川 ところで、なんでアイガモ農法に取り組んだんでしょうか。
松丸 この辺りではまだ誰もやっていないから。だれもやってないことに挑戦してみたかったんでしょうね。休耕田の復活に挑戦し、一株あたりの本数を極端に少なく植える「疎植」も試してみたし。今年はアイガモに挑戦したという訳です。近所ではきっと、何やってんだとか、どうせ巧くはいかんべえ、なんて思って見ていると思いますよ。でも、全くその通りで、アイガモ農法は所詮アソビですよね。遊び心がなくちゃ、できやしません。採算一辺倒だったら、こんな手間のかかる農法、やりゃあしません。でもね、考えてみれば、除草剤は必要ないし、安全な米はできるだろうし、田んぼにだって負担を強いることはなく、水も汚すことはない。しかも秋、大きくなったアイガモが専門業者に売れたら、それはそれで嬉しいことだし、今年これで巧くいったら、きっと近所にもやる人間は出て来るんじゃないかなあ。ゆくゆくは地域の村おこしに繋がればいいなあと、そんな風に考えているんです。
長谷川 さっき苗も食べちゃうって言ってましたが、どれが食べられた苗ですか。
松丸 苗の先っちょが尖ってない苗、分かります? あれがアイガモにつままれた苗です。でも、これから気温が上がって来て、苗の分蘗が盛んになれば、そんなこともたいしたことじゃなくなると思いますよ。それより、帰りがけにアイガモ農法じゃない田んぼを見て行ってください。苗の葉っぱが白っぽくなっている苗がいっぱいあると思います。泥負い虫の仕業なんですが、アイガモの田んぼの苗はそんな白っぽい苗は1本も見当たりません。泥負い虫は深刻なダメージを与えるって話は聞いてませんが、稲にはよい訳がない。うちのはアイガモがつまんで食べてくれているから実に健康的な苗になっているんです。
長谷川 アイガモにはエサは必要ないんでしょうか。
松丸 うちじゃあ、屑米をやってるよ。今はその他に飼料用のエサもやってる。あいつら、エサを啄んではすぐに田んぼに降りて行って水を飲み、またあがって来てエサをついばんでまた水を飲みに行く。物の本にはそんなエサは食べないというか、食べられないって書いてあったけど、食べるものが田んぼになくなれば、やはりエサは必要だわな。
長谷川 昨日、山田農場のアイガモ放鳥を見に行ったんですが、そこで、山田さんが参加者に「人が顔を見せる田んぼにはカラスもイタチも寄り付かない」って言ってましたが、そんなものでしょうか。
松丸 全くその通りです。うちの田んぼはご覧の通り、ネットをまわし、テグスを張ってあるだけですが、いまのところ外敵からの被害はありません。ただし、ネットを田んぼの内側の水の中に張ったんで、なかには水に潜ってネットをかいくぐり、脱走する元気者もいて、団体行動をする律義者というイメージがありますが、多分、一匹一匹個性があるんでしょうね。

 松丸さんの田んぼがある「印旛村岩戸」をグーグルで検索し、地図で確認した。印旛沼の西側、新川と呼んでもいいくらいに細くなった印旛沼が確認できた。いつもは「地図」で見ているだけが、「航空写真」で見てみたら、近くにゴルフ場が見える。それがまるで緑の大地が害虫に食い荒らされ、蚕食されているように見えた。

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↑田んぼの畦道の左右ともにアイガモが自由に行き来できる。写真の奥に見えるのがアイガモ舍で、雨の日はこの小屋の中で羽を休めている。
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↑一番手前の苗が、先っちょをアイガモにつままれた苗。この写真は左方向にアイガモの一団が泳いで移動した後。すると、ご覧のように水がにごっている。「毎日毎日、アイガモたちの水掻きでかき回されてれば、雑草の種が根つかない訳だよね」と松丸さん。
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↑「さあ、エサの時間だよ」とアイガモ小屋に向かう松丸さん。毛繕いをしていたアイガモたちは一斉に田んぼの中へ移動し、再び泳ぎ回ってアイガモ小屋に集まってくる。
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↑田の畦で屑米をまく。
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↑エサはこんな感じ。
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↑これが泥負い虫の被害にあった苗。葉の先に小さな泥のかたまりが見えるが、これが泥負い虫。
by 2006awasaya | 2008-06-14 22:53 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[79=アイガモ農法☆管見記=1]

2008.6.11(水)
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↑6月1日(日)に産まれ、1週間後のこの日、6月8日(日)に放鳥される山田農場のアイガモたち36羽。
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↑放鳥会には約30名の参加者が集合。1人1羽を田んぼに放つ。
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↑お尻を小刻みに振りながら、田んぼを健気に動き回るアイガモたちを見て、思わず知れず「ガンバレ!」と声援を送り人生の門出を祝う面持ちの参加者。
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↑大海に放たれたのに、なぜか、てんでんバラバラに泳ぎ回らず、一団となって移動するアイガモたち。集団で行動するのが安心なのか、福島県いわき市のアクアマリンの大水槽を泳ぐイワシの群れを見るようだった。


いやあ、可愛い

 6月8日(日)、10:00。ちょっぴり緊張気味に味菜畑の駐車場で佇立している山田勇一郎さんに一言ご挨拶。

長谷川 お疲れさま、やっと今日という日を迎えましたね。
山田 ええ、どうにか。

 言葉が少ない。表情もちょっぴり硬い。曇り空で薄ら寒い天気の具合に心が同調しているのか、参集した数が予想より少ないことを気に掛けてか、あるいは見も知らぬ人を前に演説めいたことをするのが億劫なのか、その辺りは判然とはしない。ただし、いつもの山田さんの穏やかな表情でないことだけは確かだった。
 さて、時間だ。味菜畑の駐車場に集まった「アイガモ放鳥会」参加者約30名を前に、山田さんから挨拶。つづいて、放鳥する田んぼ目指して徒歩で出発。その距離約2キロ。時間にして約30分。参加者は集合場所にて「山田農場のお米ができるまで」というA4チラシを受け取っているので、その内容を読みながらウオーキング。
 A4チラシの内容は[田起こし][塩水選][温湯消毒][育苗][代掻き][田植え][アイガモ][収穫」について150字前後で説明されていて、ここでは[田植え][アイガモ][収穫]の説明を採録しておきます。

[田植え]一般の農家の半分の密度で植えていきます。これを疎植といいます。疎植にすることによって太陽の光を全身で浴びてすくすくと育ち、病気にもかかりにくくなります。不思議なことに密に植えたものと収量は変わりません。ふつうは田植機を使いますが、今回は大部分を手で植えました。
[アイガモ]産まれてから一週間大事に育てたアイガモの雛を田に放ちます。雑草とその種、ウンカなどの害虫とその卵などを食べてくれますが、不思議なことに稲は食べません。昔の人は除草を手でやっていて、「株の周りを8回かき回せ」といいます。これは稲株を刺激してやることによって生長がよくなるからなのですが、アイガモは一日中刺激してくれるのです。糞は肥料となります。
[収穫]お米を刈り取ります。そしてアイガモも収獲します。今年活躍してくれたアイガモは来年は使いません。アイガモ農法とは稲作と畜産を同時に行なうものなのです。つまり「お米とおかずを同時につくる」ということです。

 こんな基礎知識を仕入れながら、田んぼへ。
 田んぼは1.5反(15a)で、2週間ほど前に田植えは済んでいます。
 田んぼの畦で山田さん、こんな説明をはじめます。
「これから田んぼにアイガモを放します。1人1羽ずつ持ってください。一斉に放つようにしましょう。これは6月1日に産まれたアイガモです。実は産まれた翌日に、もう一つの田んぼに24羽を放したんですが、今回のアイガモ農法ははじめての経験なので、いろいろなテストも兼ねているのです。ここに放つアイガモは生後1週間のアイガモなんです。それではお願いします」
 一斉に放たれたアイガモは、四散するかと思ったら、団体行動で向こうの隅に移動。すると今度は反対側のコーナー目指して飛ぶように移動。場所によっては土が見えているところもピチャピチャと足音を立てながら横切っていく。リーダーの指示のもとに一糸乱れぬ団体行動のようであっても、さて、誰がリーダーなのか、皆目見当がつかない。個体差はこれから徐々について来るのだろうが、なにせ生後1週間では見分けようもない。
 山田さんに質問する。

長谷川 アイガモのエサになる草や水中の虫が田んぼには見当たらないようですね。
山田 まだこれからですね、あと数週間して、陽射しも強くなってくると、嫌になるほど草が生えてきます。
長谷川 でも、なんでアイガモは稲は食べないんでしょうか。
山田 フラミンゴって知ってます? くちばしの裏にこし器のようなものがあって、水といっしょに吸い込んで、くちばしのこし器で漉しながらエサを食べてるんですって。アイガモの場合は口の構造上の問題でイネ科の草は食べられないんだそうです。
長谷川 そういえば、くちばしの形はアヒルですね。それから、説明書きにあった「疎植」なんですが、苗の数が3〜4本で大丈夫なんですか。向かいの田んぼは少なくとも1株7〜8本はあり、しっかりしてるんですけど。
山田 いまは田植えが済んだばかりで、なんだか頼りないですが、すぐに分蘗(ぶんけつ=根に近い茎の関節から枝分かれすること/広辞苑)を繰り返して、すぐに追い越しますよ。への字曲線って言うんです、その生長の進み具合を。しかも、アイガモが株と株の間を泳ぎ回ることで苗を擦っていきます。そうやって苗は刺激を受けながら、太陽の光もふんだんに浴びて、密植された稲株に比べ、ますます逞しく成長していくんです。[アイガモ]の説明でも書きましたが、「株の周りを8回かき回せ」と昔の人は言ったそうなんですが、それ以上のことをアイガモがしてくれますから、いまに見ていてください、追い越しますから。

 それにしてもなんて可愛いんだ。羽毛の色は、『色の手帖』を引いてみると「鳥の子色」と「淡紅色」の中間くらいの色味に、頭頂と尻尾に薄墨を掃いたシンプルなデザインのボディペインティング。遠い昔、生まれたてのヒヨコを、縁日でせがんで買ってもらったことを思い出した。迂闊にも我が家には猫もいて、ピヨピヨと鳴くそのヒヨコは翌日、学校から帰ってくる前に食べられてしまったが、この近所の猫や犬の餌食にならないんだろうか。

長谷川 外敵からどうやってアイガモを守るんですか。この近所に犬や猫を飼ってるお宅はないんでしょうか。
山田 まず、田んぼの周囲を高さ1メートルのネットで囲います。その外側に触れると感電する電気柵を張ります。3000ボルトですから、間違っても触ったりしないでください。感電すると相当な痛みです。2秒間隔のパルスで通電したり、非通電になったりする仕組みなんです。牛の放牧場などで使われている電気柵ですが、これで犬やイタチやキツネなどは防げます。猫は水が恐いのか、そもそも田んぼには近づきません。犬やイタチはこの電気柵に一度でも触ったら、もう二度と近寄らないでしょうね。それから田んぼ全体に細いテグスを張り巡らして、カラス除けにしています。
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↑黒いネットの外側、水平に張ってあるこの銀色の2本のコードが電気柵とバッテリー。絶対に触れないように!

 実は、こんな説明を受けていながら、ボクはアイガモに近寄って写真を撮ろうとして、電気柵に触ってしまった。左手でカメラを持っていたが、その左手に接触して感電した瞬間、ビシッと激しい痛みがして、掌が自動的にかぱっと開き、手にしていたカメラを落としてしまった。落とした場所が幸いにも田んぼの水が干上がった部分だったので事なきを得たが、それにしても、もの凄い痛みだった。心停止した人に電気ショックを与えて心臓を再起動させる除細動器(AED=Automated External Defibrillator)も凄いパワーだが、基本的にはAEDと同じ。余談ですが、睡眠時間が不足すると出てくるボクの不整脈が、不思議にもあの電気ショックを受けて以降、まるでパソコンを強制終了して初期化したみたいに、調子がいい。

山田 よーく見ててください。アイガモの水掻きがついた足で水を掻いて水面を進んでいますが、泥もいっしょに掻き混ざって草の種も根付く暇もなく、それで草が生えて来ないって訳です。水草が水面を覆うと、太陽の光が田んぼの底まで届かず、田んぼの土の温度も上がりません。農家にとって水草は見るのも嫌な存在なんです。忌み嫌われているその水草はアイガモのエサでもあるので、ある程度ないと行けない。アゾラという浮き草がいいってアイガモ農法の先人が言うんですが、きっとこの辺りにもありますよ。

 放鳥も予定通り終わり、各自の写真撮影も済んだ頃合いを見計らって、山田さんが必要事項を伝える。
「さて、みなさん、アイガモ放鳥に参加くださいましてありがとうございました。今日放鳥してもらったこの田んぼですが、1.5反ですから約9俵のお米ができます。この9俵というお米はおおざっぱな計算で9人の人間を一年間賄える量です。日本人全体ではどれだけの田んぼが必要になるか、あとで計算してみてください。それと、多分10月頃に、大きくなったアイガモを解体する『アイガモ解体教室』を計画していますから、ぜひ参加してください。以上で今日のアイガモ放鳥会を終了したいと思います。みなさま、ご参加ありがとうございました。このあと、よろしければ、一週間前の6月2日(月)に放鳥した田んぼにご案内します」

 そんなこんなのアイガモ放鳥会でしたが、さて、これから秋まで、飯島農園に出掛ける途中のチェックポイントが二つ増えた。一つは鷹島さんの挑戦している田んぼの見回り。もう一つが山田農場のアイガモ農法の田んぼ。幸い、二つの田んぼはほぼ同じ場所にある。

山田さんからのメッセージ
 よろしければ、たびたびアイガモたちの様子を見に来てください。そうすると、アイガモたちも人になれて呼べば近寄って来るようになります。また反対に、カラスやキツネなどは人の気配があると近寄って来なくなります。そんな意味もあって、どうかアイガモの成長する姿を見に来てください。
by 2006awasaya | 2008-06-12 12:19 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[78=オクラ入りリポート1]

2008.6.5(木)
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↑昨年2007年8月4日(土)、早朝のオクラ畑で元気な顔で活躍する竜平さん。
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↑オクラの花。この花がしぼんで、その根元が膨らんでボクらが食べるオクラとなる。
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↑昨年2007年8月4日(土)のオクラの畝。間隔は100センチ。株ががっしりとして木質化するようになると、この間隔で収穫作業には少し狭い。
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↑10センチ前後で揃えて袋詰め。オクラには産毛が生えていて、この産毛が指先に刺さってとても痛い。ゆえに収穫と袋詰めは外科手術に使うような薄手のゴム手袋をする。


二度目のオクラ栽培

 昨年2007年8月1日(水)に放送されたNHK「ためしてガッテン」。テーマはネバネバ。「あのネバネバが凄いパワーを秘めている。そのパワーの謎に迫る!」とかいう番組予告に惹かれて、ボクは録画までして見た。なんで録画? 畑ではちょうどオクラの収穫時期に当たっていて、毎週のようにオクラの収穫を手伝っていた時期だった。袋詰め作業の合間に仲間とおしゃべりしている最中に披露できればと、そんな下心から。
 でも、仲間はみんな見ていた。
 8月4日(土)、ふだんは9時集合だったが、この日は道もすいていて、8時30分に好人舍に着いてしまった。ゴム長に履き替え、麦わら帽子をかぶって、オクラの畑に向かおうとしていたら、小関さんが現れた。

小関 おはようございます。今日も暑くなりそうですね。
長谷川 この時間でこんなに暑いんですから、熱中症には気をつけないとヤバいですね。
小関 ええ、注意するに越したことはないですね。それはそうと、「ためしてガッテン」、見ましたか。あの中でいろんな調理法が紹介されていましたが、ミキサーに入れてふわふわにしてから冷凍保存しておくとか、結構面白かったですね。

 小関さんは物静かな人柄で、いつも穏やかな過ごし方を楽しまれている方。問い掛けられれば口を開くが、自らが口火を切って話すことは滅多にない。そんな小関さんが朝の挨拶も早々に話しかけてくるなんて、あの番組内容が現在作業中のオクラ収穫と余程に親和していたに違いない。

長谷川 ええ、ボクも見ました。調理の実際例を紹介するくだり、特に冷凍保存ができるなんて、嬉しいですね。傷物などをお土産にいただいて帰りますが、急いで食べなくても、あんな工夫で保存が効くなんて、全くありがたいアイデアですね。
小関 なかなかためになりましたね。それじゃあ、みなさんがくる前に、一足お先に畑に行ってましょうか。
長谷川 ええ。

 そんなこんなのおしゃべりをしながら、歩いて15分ほどのところにあるオクラ畑に行くと、すでに竜平さんがムッとする熱気を溜めた畝の間から顔をのぞかせ、汗を拭きながら「おはようございます!」と元気な挨拶。

 これが昨年の夏のこと。
 今年はいくつかの改良点がある。
 飯島さんがいう。
「昨年のオクラ栽培の反省点の一つ、畝と畝の間が狭くて、収穫するのに窮屈だったけど、その畝間を100センチから110センチに拡張した。これでぐっと楽になると思う。この畝にオクラの種を植えてもらいます。マルチの穴に種2粒。埋める深さは種の直径の3倍、だいたい1センチくらい。上から土を軽く押さえていきます」
 そんな説明を受け、5月24日(土)に一畝一人が担当して播種作業を進める。穴と穴の間隔は30センチ。一畝でだいたい100穴。この畝が30畝あり、昨年より多少多め。
 翌週には芽を出し、発芽していなかった穴に追加で種を播いて来た。
 さあ、今夏も忙しくなるぞ。
 
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↑本年2008年5月24日(土)、オクラの播種。種は殺菌消毒してあるので、ゴム手袋をして作業する。
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↑種の埋め方について説明する飯島さん。
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↑その手元のアップ。
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↑中央が長谷川が担当した畝。左隣の畝は阿部さん、右隣は鷹島さんの担当畝。
by 2006awasaya | 2008-06-05 19:30 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[77=主食のお米自給計画]

2008.6.4(水)
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↑メンバーの中でははじめて米作りに踏み出した鷹島さん。黙々と草取りに励む。「ボクの田んぼが一番下にあるので、先日の雨で水浸しになっているかとヒヤヒヤしていたんですが、来てみて安心しました。この先も台風に怯えたり、いろいろ大変だと思いますが、でもやっぱりおもしろそう。米作りの実際をとにかく経験してみます。食料自給計画? そんなつもりはないんです。やってみたかっただけ」。


お米の自給を目指す!

 農水省の発表によると、昨年2007年6月分の国民一人当たりのお米の消費量は4.696kgとか。この数字は年平均ではなく6月1カ月の統計で、季節により夏場は少なく、12月から1月にかけての冬場が多くなるという変動パターンがあるそうです(農水省のホームページより)。そういえば夏場は我が家もソーメンとかヒヤムギの消費が多くなりますものね。
 別な統計データを見ると、ご飯1杯は約200gだそうです。個人差もありますが、我が家でもだいたい、そんなものでしょう。
 ところで、さらにwebで調べていたら、1杯のご飯茶碗にお米が何粒入っているでしょうかというクイズに出くわしました。webこめ知識というページです。
 それによると、ご飯茶碗1杯には平均4000粒のお米が入っているんだそうです。本気で数えたのでしょうかね、まったくご苦労様です。
 この数字を我が家に適用してみます。曜日によって差がありますが、月曜から金曜は朝と夜=和食、昼=パンか麺類というパターンです。土日曜は朝=パン、昼=スパゲティかソバ、夜=和食というパターンですが、1人1週でご飯茶碗12杯、うちは大人4人ですから週48杯。最大で月間192杯を消費しています。これに4000粒を掛けると76万8000粒! もう天文学的な数字に食欲もなにもなくなりそうな数字ですが、4000粒のお米は13粒の種籾から育つとかで、月間5万9000粒の種籾で我が家の主食は支えられていた計算になります。年間で70万8000粒の種籾! その重量は、単純計算で3.54kgです。庄内地方の米農家の方のホームページ種籾・育苗の準備を見ても、1反(10アール)あたり4kg程度の種籾を用意するとありましたので、この計算の数字も大きく間違えている訳ではなく、我が家の1年分のお米は田んぼ1反で穫れるお米なんだということが分かった次第。意外と少ないなというところです。逆にいうと、分株して意外に多くの実を結ぶんだなという印象です。
 なんでこんな回りくどい計算をしたのかというと、メンバーの鷹島さんが今年、0.5反の田んぼをはじめたのです。そして飯島さんから「収量? 全くはじめての方が米作りに挑戦するんですから、平均より若干少なめと見ておけばいいんじゃないですか。米農家の平均が1反で7〜8俵だとして、0.5反ですから3俵と踏んでおけばいいんじゃないですか」と言われたそうです。全くの初心者が0.5反(5アール)3俵のお米を収穫できる! 1俵は約60kgですから、順調に行って今年の秋に180kgの種籾が出来る勘定になります。どうか嬉しさにまぎれて、180kg全部を精米して食べたり配ったりせずに、3.5kg相当は種籾として来年用にとっておかれることをお進めします。
 専業の米農家は種籾は自家栽培の種籾を使わず、農協から仕入れているそうで、さて、来年の種籾は自家で賄いますか、それとも農協経由?
by 2006awasaya | 2008-06-04 17:37 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[76=6月8日(日)アイガモ放鳥会、迫る]

2008.6.4(水)
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↑飯島農園の好人舍前に貼り出されている「放鳥会」のお知らせポスター。
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↑2008.4.26に田んぼを訪ねた折りの山田さんの苗代。「最近はハウスで苗を作りますが、昔はこうして露地で苗を作っていたものです。こうすると、田んぼに植えた後も、根の張り方がぜんぜん違うんですよ。力強いんです」
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↑放鳥予定の田んぼ。1反の田んぼの周囲をネットで囲んであります。このネットは猫や犬やその他の野生動物からアイガモを守ると同時に、アイガモたちが他所の田んぼに遊びに行かないためのもの。写真だと見えにくいですが、猛禽類やカラスからアイガモを守るため、周囲のネット高でテグスが張り巡らせてあります。

アイガモ放鳥

 山田勇一郎さん。【真剣!野良仕事】[53=ロバとラバと山田青年]、【真剣!野良仕事】[67=サニーレタス報告]にも登場していただきましたが、その山田さんが3週間ほど前に田植えを済ませた田んぼでアイガモを放ちます。6月8日(日)10時に味菜畑集合。そこから歩いて15分ほどの田んぼで、いよいよアイガモ農法が始まります。その模様はまたこのページで紹介させていただくとして、ここでは「山田農場」のロゴマークが騾馬になっていることについて、思い出したことを書き留めておきます。
 ずいぶん以前に立ち話程度のおしゃべりで、あやふやな記憶しかないのですが、その折、農業に対する山田さんの取り組みについて聞いたときの返事が、表情とともに記憶に残っていて、それは終始一貫、無化学肥料・無農薬栽培であると。ボクの区画でカメムシや夜盗虫にナスやトウモロコシなどがヤラレてしまった直後だっただけに、「残留しない程度の農薬は必要悪で、使っても仕方がないか」との思いもあり、ずいぶん大きく重い課題を目標と据えてしまったんだなあと畏れ入った覚えがありました。
 その折、「収穫した野菜類を騾馬に積んでか引かせてか、おいしい野菜を売り歩けたらいいなあ。驢馬のパン屋さんって知ってますか。パン屋さんを野菜売りに置き換えられたら、それはそれで素敵なんじゃないか、そんなふうに考えているんです」。
 そんなことをボソッと言っていました。
 それがこの山田農場のロゴだったんですね。経営学で言うところのコーポレートアイデンティティ(Corporate Identity 略称:CI)。なかなかひと言では表現しにくく、理解されにくい理念や目標を分かりやすいマークやキャッチフレーズに表現することで、山田農場の特徴は?と問われたとき、粗食で辛抱強い騾馬は洞爺湖サミットの主要課題である循環型社会と通底した動物で、しかも農作物作りの基本は無化学肥料・無農薬栽培でと、信念というか職業倫理を鮮明にしている点など、実にすがすがしい青年なのです。当日は山田さんに、アイガモ農法に踏み切った理由、その展望などについて多弁に語ってもらおうと思っています。6月8日(日)10時に味菜畑集合、ですね。
by 2006awasaya | 2008-06-04 12:12 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[75=焼きソラマメ]

2008.6.3(火)
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↑2008.5.3のソラマメの花。このあと、鞘が出て、その鞘がずんずん大きくなって、太さといい長さといい、青いバナナのようなソラマメの鞘がたくさん出来た。
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↑2008.5.24の昼食会にて出された焼きソラマメ。バーベキューの要領で金網の上でこんがり焼くだけ。焼き具合の判定は実に簡単。鞘の両端からスチームアイロンのような蒸気がシューッと吹き出せば、ちょうど食べごろ。
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↑焼きたては相当熱いので、火傷に注意。ボクが手袋のまま鞘を破ろうとしていたら、上原さんが「ダメダメ、手袋なんかしたままで剥いちゃ。この筋の部分を先にとっておけば、ほら、こんなにきれいに剥けるのサ」と、素手で筋をスーッと。

絶品!焼きソラマメ

 ソラマメは飯島さんのお母様、今年91歳になるシマさんの大好物なんだとか。ボクがはじめて飯島農園にお邪魔した一昨年も昨年も、ソラマメを作っていたなあ。
 かく言うボクも子供時分からソラマメは好物の一つで、この季節になると八百屋さんの店頭に並ぶソラマメを見ては「買って買って!」とねだったものでした。
 母は一度ではなかなか承知してくれませんで、二度目も知らん顔。そこで根負けしたらそれっきり。三度頼んでやっと買ってくれたものです。すべてが三度目の正直と言うか、一度目二度目は無視されるか知らん顔をされるか、怖い顔をしてにらまれるか、どんな願いも最低三度、願い出ないと実現しませんでした。友達の家もみんなそうだと思っていて、大学生になるまで我が家だけの習慣ということに気づきませんでした。
 三度目にしてやっと小銭を握らされ、八百屋さんまで買いに走るのと鞘から豆を剥くのがボクの役目。ふっくらした大振りの鞘の中から大きなソラマメがはじかれるようにして飛び出してくるのが面白かった、楽しかった。やわらかめに茹でてくれて、満腹するまで食べ続けたものです。母は、子どもたちが食べ残した空豆をつぶして、翌日はスープになって出て来たなあ。甘皮というんでしょうか、食べずに捨ててしまう皮の部分だけを甘く煮てもらい、ボク専用のおやつにしてもらったなあ。食感はガムのようで、皮の中に甘い汁が溜まっているのもあり、そんな甘い皮が連続で見つかると、夢見るような幸運を覚え、幸せとはこんな瞬間なんだとまじめに思ったものでした。とにかくソラマメの皮の甘煮は、とんでもなくおいしいおやつでした。
 その子供の頃、「こんなふかふかした寝床で寝てみたいなあ、ソラマメってずいぶんと幸せな人生を送っているんだなあ」と、割合真剣に思っていた時期があり、「いつかはふかふかのベッドで寝られるような日が来るかしら」と、七夕の短冊に切なる願いを書いたことを思い出したのは、つい最近、本屋さんで『そらまめくんのベッド』(なかや みわ作・絵、福音館刊)という児童書を見つけたときでした。ああ、みんな同じ思いでこの鞘のふかふかに憧れていたんだな。
 さて、閑話休題。
 ガムランコンサートが行なわれた次の週の5月24日(土)、ステージなどの片付けやガムランの楽器類を返却するために竹林に集まった折、写真で紹介したソラマメの黒焼きにはじめて出会いました。塩や醤油などの調味料は一切不要。ソラマメの甘さだけがしっかりと味わえる絶妙な調理法! 気分としては、農耕の民・弥生人が狩猟の民・縄文人に出会い、「いつもいつも調理したり加工したりするのもいいけど、たまには採って焼いて食ってみな」なんて縄文人の挑発に乗って弥生人が試したところ、仰天するおいしさだった、そんなところかな。
 それゆえ、焼いてくれた上原さんにおいしさのお礼を申し上げたら、語尾あげ話法の沖縄訛りで、「ソラマメの皮もいっしょに食べなくちゃ、勿体無いヨウ!」と、おこられてしまったサア。上原さんが縄文人でボクが弥生人という図式で言っている訳ではないので、そのあたりくれぐれもお間違いなきよう。
by 2006awasaya | 2008-06-04 11:47 | 真剣!野良仕事