<   2008年 07月 ( 5 )   > この月の画像一覧

【真剣!野良仕事】[85=シロートの時代?]

2008.7.25(金)
f0099060_2173643.jpg

↑これがピートンだ!大きさはこの時点で巨大なピーマンといったところ。

f0099060_218324.jpg

↑ピートンの花。コレだけ見れば花もトウガラシかピーマンそっくり。

シロート故に、我信ず

 2006年10月14日(土)。もう1年半も前のことです。「循環型有機農法」についての研修で飯島さんに連れられて我孫子市まで行きました。ボクは昼食時にたまたま相席した佐々木健人さんという白い山羊ヒゲのご老人とお話しする機会があり、その会話中にしきりと発音される「硝酸態窒素」という専門用語が理解できず、その硝酸態窒素ってどんなものでしょうかと問うたところ、佐々木さんから「キミ、ブルーベビーって知ってる?」と問われ、それでやっと、「ああ、血液中のヘモグロビンが阻害され、酸素交換ができずチアノーゼ状態で生まれて来る赤ちゃんのことか、残留農薬問題で出てくるキーワードだったか」と、自分のぼんやりを呪ったりしていたのです。その模様は【真剣!野良仕事16=ベロメーターを信じよう】でも報告済みですが、その同じ場所、同じ時に、研修にご一緒した松本さんは東京農工大の柳下登先生に魅せられていたんだそうです。
 つい先日、松本さんと立ち話をしていて、ああ、同じ時同じ場所にいながら、まったく別なロジックでそれぞれの時間が構成されていくんだなあと、人間の個性のバラエティの成熟過程をとても面白く思ったものです。

長谷川 え! あの研修会に柳下先生がいたんですか。まったく記憶にないなあ。
松 本 そうでしたか。研修会の冒頭で挨拶があったはずなんですが。
長谷川 いえ、まったく記憶にないんです。その柳下先生がピートン開発者、なんですか?
松 本 あの研修会のあとで、別な会合があり、その折に先生とおしゃべりしたんです。そのなかでピートンが出てきてね。もちろん、それまではピートンなんて、一体全体、皆目分からなかった。ピータン? ピーターパン? そんな程度ですよね。
長谷川 トマトとピーマンの掛け合わせでしたか、ピートンって?
松 本 ピーマンとトウガラシの接ぎ木による新種、なんだそうです。つい最近農業者の仲間入りを果たした私なんですが、そんな私にもピートン栽培ができるもんでしょうかと持ちかけましたら、嬉しいじゃないですか、先生はこうおっしゃるんです。プロの農業者より専門知識がまったくないシロートの方が、こうした新種の野菜を栽培するには優れているんだとおっしゃってくれて、意を強くした次第。プロはなまじ経験が豊富なだけに、その知識と実績が邪魔をするんだそうです。

 農業に対してはプロ以上の情熱を保持し、アマチュアであることに誇りを持って農業にチャレンジする松本さん。
 ほんの立ち話が、腰を据えた長話になり、さらに、ピートン栽培を見に来ませんかと言うお誘いとなり、お誘いには滅法弱いボクのこと、「ではこの足で見学させていただいてよろしいですか?」ということになり、飯島さん同道で松本さんの畑に行って、見てきました、ピートンを。「シロート故に我信ず」の猪突一直線振りには、我ながら惚れ惚れ!

 ところが、聞くと見るでは大違いとはよく言ったもので、小型パプリカというか、少し太めのピーマンってところです。いまは生育途中で、やがてこの鮮やかなグリーンが真っ赤に変わってピートンとなるんだそうですが、ボクには新種とはとても見えませんでした。「ひとつ食べてみませんか」と、もいでくれたピートンは、なるほどピーマンの辛みもなく、肉厚で、新しもの好きのシティーギャルには意外と言っては怒られそうですが、人気が出そう。
 色が真っ赤に変換したら、また紹介させていただくとして、肝心の柳下先生が寄稿した論文「辛くないピートン1世」がwebで読めるので、詳しいことはそちらをどうぞ。
by 2006awasaya | 2008-07-25 21:20 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[84=4日目の徹底]

2008.7.25(金)
f0099060_12284865.jpg

↑今年からオクラ収穫に採用されたハサミ。切れ味シャープで、切断面がとてもきれい。ハサミの切っ先から7センチのところにガイドラインが引いてあり、さらに8センチにもう一本。オクラ収穫用のすべてのハサミにブルーのガイドラインが2本引いてあるので、カットする前にこのスケールを添わせれば、だれが収穫しても規格寸法に達しない寸足らずのオクラを収穫することがない。しかも、この3日間で、取りこぼしと言うか、見逃されて大きくなったオクラもなくなり、いよいよきちんとした寸法のオクラを収穫する条件は整ってきた。こんな簡単な道理にいたるのに3日掛かった。写真中央のスケールの右となりのオクラは先っちょから肩までが8センチ弱あり、寸法規格に合格品。ただし、肩から伸びた蔕(へた)が少し長過ぎ。ゆえに、収穫時にこの肩から蔕を1センチに切り詰めて化粧バサミを入れる必要がある。右端のオクラは先っちょから肩まで9センチあり、十分に合格品。化粧バサミもきれいに決まっている。

スケールと規格

 今朝も5:30の時点ですでに30度を超している。好人舍に車を置いて、豊富墓苑の脇から梨園を巻き、山口の畑へ。途中、雑木の森をくぐると、足音に驚いて蝉が何匹も飛び立っていった。梨園のあたりからウグイスの声。啼き上手がずいぶんと増えてきた。
 オクラの畑ではすでに飯島さんが畝に身を潜めるようにして収穫作業中。作業を始める前に、飯島さんに疑問を解決してもらおう。わずか3分で済む話。

長谷川 おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。ところで、飯島さんに質問があるんです、追肥のことで。昨日、このオクラの品種のことでタキイのホームページを見ていたら、このアーリーファイブってオクラは、第一回の収穫を終えた時点で追肥をしなさいって書いてあったんです。去年、8月に入ってガクって収量が減りましたが、その理由は追肥をしなかったからと竜平さんが言ってたのを思い出したんです。でも、追肥ってどんな肥料なんだか、分からなくて。それと、どんな風に追肥をするんでしょうか。
飯 島 長谷川さん、ここ数日の作業で、なにか気がついたこと、ありますか。
長谷川 去年に比べて畝の間が10センチ増えたとはいえ、収穫作業で葉が折れているのが結構多く、来年はもう5センチ増やして115センチにしたらいいなあと、そんなことをぼんやり考えながら収穫していたんですが、それ以外、べつに気がついたこと、あったかなあ。
飯 島 新芽が少ないってこと、それに花数が少ないってことが私には気になるんです。追肥が必要かなと。それにお湿りと言うか、今晩くらい、たっぷりの雨が欲しいですね。ここ数日、まともな雨がないですから。ええと、追肥についてですが、魚カスや堆肥などをもう準備しています。今日にもやろうと思っていたんです。やり方はこの畝の間に蒔くだけです。それはさておくとして、いま、生長の記録を取ってるんです。コレを見てくれますか。

 東から10畝目の手前の株に油性ペンで24.5と書いてある。いまの陽気で、どれくらいのスピードでオクラは生長するのか。記録して、収穫の目安にしようというのだ。

飯 島 24.5とは7月24日の朝の時点で5センチという意味なんです。いま、丸一日経って7センチあります。ということは1日2センチの割で大きくなる勘定です。ということはですよ、規格の上限の10センチまでまだ1日あるってことになるのかな。それと、ハサミのスケールを添えてもなかなか判断がつかない7センチ弱のオクラが結構ありますが、無理して今日中に収穫しなくても、あと1日か2日は待てるってことが分かる。この待てるってことが分かるって、凄いことだと思いません?

 なるほど。多人数でオクラ収穫をすると、どうしても収穫量を競う心理に陥り、無理して寸足らずを収穫し、数を増やしがち。結果として規格外のオクラを出荷整理後に残すことになる。
 ウーン、4日も同じ作業をすると、当たり前のことがよく理解できてくる。
f0099060_12291414.jpg

↑農業者にとって記録は本当に大切、というか知的財産。5センチのオクラが1日で2センチ生長したからと言って、2日で4センチとバイバイゲームで大きくなるかどうかは、やはり実験してみないことには分からない。生長曲線がどうなるかはまた明日、ご報告します。
by 2006awasaya | 2008-07-25 12:36 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[83=オクラ収穫の3日間]

2008.7.24(木)
f0099060_192789.jpg

↑本日のお昼は一人前オクラ5本使用の豪華ランチ。右はダンナさま、左は奥さま仕様。

オクラ収穫の3日間報告

 暑中お見舞い申し上げます。

 7月21日、海の日の祝日。家でのんびりweb散歩をしていたら、ポーンとmail着信音。なんだろ?誰かのお誘いかしら。ブラウザーはサファリを使っている。迷惑メールの大半はストレートに迷惑メールボックスに収納され、まったくの新規mailか登録済みmailしか着信しないので、最近はなんとも静か。この機能は実に助かります。
 で、ポーンと着信音が鳴ったので、開けてみました。

 鷹島さんからの一斉mailで、内容は以下のようなもの。

本日、今年のオクラの初収穫がありました。
あす7月22日(火)より、毎朝6時頃から「山口の畑」で収穫します。
収穫作業のお手伝いできる方は、ご協力お願いします。
手袋、ハサミのある方はご持参お願いいたします。


 う〜ん、いよいよ収穫時期が来たか。今年もがんばろう! ついでに、生活のスタイルを夜型から朝型に変えるチャンス! いやいや、ついでにと言ったのは誤りで、本当は生活改善が真の目的で、早朝収穫がついで、なんです。
f0099060_19275425.jpg

↑山口の畑にて5月24日に種を播いたオクラの畝。畝の奥に新興住宅地が見える。一年前は更地だったが、いまは若い夫婦が多く住んでいるようだ。朝、7:30前後に保育園の送迎バスが停車して、子どもたちをピックアップしている。
f0099060_19282682.jpg

↑6月14日のオクラ生育状況。ぐんぐんと葉を広げている。
f0099060_19285891.jpg

↑7月12日のオクラ生育状況。花芽の勢いが素晴らしく、今にも花が咲きそう。順調な発育状況だ。
f0099060_19295677.jpg

↑7月22日。朝日を浴びながら収穫作業を開始。葉の色も実にいい。
f0099060_19303970.jpg

↑7月22日のオクラの畝。ハイビスカスに似たオクラの花があちこちに見える。茎も実も似たようなグリーンをしているので、オクラを探し出すだけで一仕事。

■7月22日(火)

 で、翌朝5時に起床し、新聞に眼を通し、大きめのコップで水を一杯飲み干し、小夏に見送られて家を出る。小夏と言うのは本年1月5日に生まれた豆柴のことで、人間はまだ就寝中。「気をつけていってらしてください」なんて小夏が言えるようになればいいのになあと、そんな希望を胸に、いつもの道を法定速度で運転して20分。がらがら道は走っていて気持ちがいい。フーガの技法をヴァルヒャのチェンバロで聞きながら5時40分に好人舍着。
 すると、ちょうど上原さんがチャリで到着。

上 原 あれれ、どしたの? こんなに朝早くに姿を見せるなんて。雨でも降るんじゃない?
長谷川 あはは。そろそろ雨が欲しい時期だろうと、それで少し早く来たんですが、見つかっちゃったら雨もダメか。本当はうずうずしてたの、今年も早くオクラ収穫がやりたくて。

 山口のオクラ畑は5月24日の時点で30畝に種をまき、翌翌週の6月7日に17畝を追加し、さらに道路側に沿って長い2畝を追加し、全部で47畝+ロング2畝。夏本番になると、収穫に追われるだろうな、という予感をみな持っていたけど、ついにその夏本番が到来!

 この日は大村さん夫妻、上原さん、山田勇一郎さん、飯島さん、ボクの6名。昼日中の強烈な太陽光とは違い、朝日を浴びての収穫作業。朝のさわやかな斜光を浴びての作業は気持ちがいいな。と言葉にした途端、眼鏡が曇り、顔も背中も汗みずく。
 ほぼ一年ぶりのオクラ収穫。たった一回、経験しただけだから偉そうなことは言えませんが、ウーン、なんだか今年のオクラは出来がよさそう。それはそうとボクは6畝やってヘトヘト状態。全身汗でぐっしょり。

 収穫後、好人舍に持ち帰って選別と袋詰めをしなくてはいけないのですが、収穫だけでボク、タイムアップ。
 後刻、飯島さんからの報告mail。
[6時前からの収穫、御苦労さま。初出荷は10本入り200袋でした。順調なスタートです。お日様のもとでオクラは懸命に働き出した模様です。飯島幸三郎]

 オクラの出荷規格寸法は70〜110mm。規格外の巨大なオクラをお土産にいただいてお先に失礼!

■7月23日(水)

 とにかく暑い! 道路はすいていて、正確に20分走って、朝5時30分に好人舍着。すでに気温は30度を越している。
 オクラ畑に行くと、すでに大村さんが収穫の手を休め、畝から顔を出して汗を拭っている。

大 村 なんだか昨日よりも暑いねえ。
長谷川 でもこうして畝の間から顔を出すだけで、ほんの少しの風があるから気持ちがいいですね。でも、しゃがんで作業をするから結局は暑さは同じですか。
大 村 上原さんが全身、かぶれたって言ってたよ、このオクラの産毛で。
長谷川 ボクも左手が痒くて痒くて。でも、今日も長袖シャツを着て来るの、忘れちゃって、Tシャツできちゃった。ああ、どうしよう。

 オクラの葉っぱって、意外なほど強張っていて、威張っている感じ。先っちょにトゲもはやしていて、コレが顔を撫でたり、振り向き様に眼元に触れたりして、結構痛い。しかも、茎と言わず葉と言わず、オクラの実と言わず、びっしりと産毛を鎧っていて、カユミの原因にもなる。
 手袋も必需品で、素手で作業をすると、産毛が指先に刺さって、腫れてくる感じ。それでかどうか、指先がヌルヌル、すべすべで指紋が無くなっている。

 今朝も東の畝から収穫を進める。
 一畝分を収穫した頃、軽トラの荷台に麦茶タンクを載せて飯島さんがすぐに現れ、すぐに山田さん、竜平さんも顔を見せる。水分補給はこの時期、絶対条件。
 それはそうと、こんな連日の収穫で、オクラは無くならないんだろうか。収穫作業をしながら、そんなことを飯島さんとおしゃべり。話題はオクラのことばかりでなく、転々と飛び跳ねて、コレが結構面白いが、肝心のオクラ関連の部分だけをここに再録。

長谷川 mailでは200袋2000本のオクラとありましたから、規格を超えた大きなオクラも会わせると3000本弱のオクラを収穫したことになりますよね。それで今朝はもう収穫できるオクラはないかなと思ったんですが、結構あるもんですね。
飯 島 すごい成長力だと思いますね。昨日、規格に届かない7センチ弱のオクラは丸一日で規格の大きさを超えて大きくなっちゃう。それに見落としたオクラも結構あるから、出荷できない巨大オクラをこんな手間を掛けて収穫している。考えただけでもおかしいこと。これからお日様がどんどん強くなるので、ますますロスが多くなる。まだ出盛りだから多少不揃いでも出荷できているけど、今後は見落としを少なくして、収穫作業に励みましょう。
長谷川 実は昨日は初日だってこともあって、きちんと規格の寸法を守っていなかったと反省してるんです。なぜ規格をきちんと守らなかったのかというと、規格ギリギリのオクラも一緒に収穫しちゃうと、翌日に収穫するオクラが無くなっちゃうんじゃないか、そんな独りよがりの素人考えがあって、それで多少大きめのオクラだけを収穫していたような気がしているんです。
飯 島 それじゃあ、だめだなあ。

 なんだか長谷川が叱責されているようなニュアンスですが、いつものように飯島さんの語調は柔らかなので、ご安心を。

f0099060_1931897.jpg

↑大村さんとボクを呼び寄せて、「お二人の収穫を終えた畝を見て回ったんですが、規格に適合するオクラがこんなにあったんです。バケツ一杯の幸せというとこですか」と破顔する飯島さん。絶句して「とほほ」と苦笑しつつ誤魔化す我ら二人。

長谷川 今後はきちんと寸法を見て収穫するようにします。それと、昨日は収穫したオクラをカゴに入れて作業を続けていましたので、カゴの底から土が入り込んで、せっかくきれいな状態で収穫したオクラを汚してしまったんです。このことを帰りがけに飯島さんに伝え、「明日からはカゴの底には新聞紙を敷いて、土地が入り込まないようにしませんか」と言いましたら、今日は収穫用のカゴがバケツに変わっていて、それだけでも昨年に比べて収穫作業が改良されたんじゃないかと、そんな風に思います。
飯 島 去年との差異の最も大きな点は畝の間隔を10センチ広げたことですかね。それだけで風通しも良く、お日様にもよく当たるし、収穫作業もラクになっていませんか。
長谷川 ええ、わずか10センチの差は大きいですね。

 こんなことをおしゃべりして、前日同様、収穫だけのお手伝いでリタイア。この日の収穫は前日より少なめ。夕方、飯島さんに電話で収量を確認したら、140袋とのことでした。

■7月24日(木)

 前日同様、車を好人舍に置いて畑へ。大村さんはいつも早いなあ。ひとしきり、朝のご挨拶を交わして作業に掛かる。夜中に大きな地震があって、結構長い時間揺れていたんだけど、家を出る時間に、なぜか新聞が届いていない。昨夜の地震がどこであったのか、気にかかる。

大 村 今朝も暑いですね。昨夜の地震、また岩手県だったということです。岩手もたいへんですね。
長谷川 内陸だったのですか。
大 村 いま、ラジオで聞いてるんだけど、三陸の方だって、震源は。

 そんな情報交換をしていると、飯島さん登場。松本さんも、山田さんも、竜平さんも顔を見せる。収穫作業は頭数が多いとはかどる。

 ここで、この3日間のお浚いをしておきましょう。

 昨年と今年で、どこがどれくらい改良されたのか。

 その一
 畝間を100センチから110センチに拡張したこと。この10センチの違いが畝の間を這って収穫しながら移動するのにラクになった。作業もラクになったけど、オクラにとっても風通しが良くなり、日が十分にさすようになり、生育に好都合。
 その二
 タネの植え付け方が丁寧。「丁寧と言うと去年はザツだったかと思われるといけないので、正確に言うと去年は浅播きだったという点。マルチの穴にアーリーファイブという品種のタネを2粒播きましたが、埋める深さは種の直径の3倍、だいたい1センチくらいにして、上から土を軽く押さえたと思います。コレを全員で確認しながら植えたのがよかった」と飯島さん。
 その三
 肥料が効いていること。畝を作る前に、肥やしをやったんだけど、それが効いてるようです。使った肥料はシチケンPK(ペレット)。この肥料の説明書には「リン酸と有機物を醗酵させることで、リン酸の吸収が良くなります。各種アミノ酸、ビタミン、核酸成長ホルモン等が多量に活性化し、多収のみでなく、味・品質・鮮度・栄養価・安全面を向上させます」とあり、それがいい結果に結びついてくれるといい。
 その四
 よく切れるハサミを使用。去年は各自持参のハサミでオクラ収穫をやったと思うんですが、誰かさんは茎の向こうに回した自分の指をハサミで切っちゃうなんてことがありました。今年のハサミは切れますから、誰かさん、十分に気をつけてください。*なんと、誰かさんて、ボクのことなんです。まったく迂闊でした。手袋をしていたから軽症で済んだんですが、今年のハサミはよく切れるから要注意!
 その五
 収穫用のカゴをバケツに代え、泥汚れを防いだこと。畝と畝の間に這いつくばって、イザリながら進んでいくので、腰がすぐに痛くなる。疲れてくる。すると、どうしても収穫用のカゴを地面に押し付けながら進むことになり、カゴの底から土が入り込み、たとえカゴの底に新聞紙を敷き詰めても、土が入り込み、せっかくきれいな状態で収穫しても汚してしまう。コレを避けるため、収穫用のカゴをバケツに変更。もっと背丈が高くなれば這いつくばらずに腰を伸ばした状態で収穫作業ができるので、再びカゴに持ち替えてもいいかもしれないが、ここ数週間はバケツの勝ち!
 その六
 収穫オクラの寸法を規格の70mm以上で統一。オクラの先っちょから蔕(へた)の片部分までの長さが70mm以上のものはすべて収穫する。ハサミには先端から70mmのところにガイドラインが引いてあり、ハサミを当てれば、規格品か、規格外かがすぐに分かる。
 その七
 収穫現場で化粧バサミを入れ、切り口をきれいにした。昨年は出荷調整作業の最中に切り直しをしていましたが、山田さんから「昨年、坂本さんと二人で収穫をした際、改めて切り直すのはふた手間になるので、それなら収穫する際に蔕(へた)の肩から10ミリにカットし、きれいに切り落とすようにすればいいんじゃないでしょうか」との発言があり、それで作業を徹底することにしましょうと意見一致。

 以上を収穫メンバー全員で厳守すれば、昨年以上の収穫が望めるはず。

 さて、本日も収穫だけのお手伝いで引き上げてきたのですが、なんと嬉しいことに、帰りがけにバケツ一杯の巨大オクラをお土産にいただいて、知り合いに配って回りました。
 そうこうするうちにお昼タイム。さっそく太めのソーメンに一人2本分のオクラを輪切りにスライスして散らし、甘辛に煮込んだ姿煮状態のオクラを3本載せ、缶詰のイワシの姿煮を載せ、さらに納豆を載せ、収穫を感謝しつつ、おいしくいただきました。バケツ一杯の幸せ感は夕方にいたるもまだあとを引いています。
 なお、オクラをスライスしながら気がついた。
 切り口が☆の形で、強烈な酸味が清々しいスターフルーツに似ているので、オクラも日本名を「真夏の星」あるいは「真夏のスターベジタブル」とでも改名したらもっと売れるかな。さあ、明日もがんばって早起きしよう。早起きはバケツ一杯のトク!
f0099060_19323897.jpg

↑上はわずかに寸法規格に撥ねられたオクラ。下は18センチはある巨大オクラ。でも、このままムシャムシャしても硬くない。
f0099060_20531730.jpg

↑オクラの寸法規格。
f0099060_19403213.jpg

↑これぞ日本名「真夏のスターベジタブル」。
by 2006awasaya | 2008-07-24 19:43 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[82=飼料用稲の栽培実験]

2008.7.8(火)
f0099060_0184388.jpg

↑6月15日、実験田に筋播き用のラインを引く。写真手前は休耕田で、草ぼうぼう。とても田んぼには見えない。ことし、このまま放置しておくと、さらに草まみれになって、どこが田んぼかまったく分からなくなる。
f0099060_0191456.jpg

↑これが飼料用米の芽だし籾。
f0099060_0194083.jpg

↑5アールを12区画に分け、小袋一つを1区画に播く勘定。
f0099060_020721.jpg

↑「はい、こんな感じで筋播きにしてください」と、抜き足差し足で播種する飯島さん。
f0099060_021753.jpg

↑播種を完了した田んぼ。
f0099060_23115048.jpg

↑全員で記念撮影。この方々がアイガモ米3kgを手にされる方々。全員の顔の辺りがピンぼけのような、きらきらと光る筋状のノイズが見えるかと思いますが、それがテグスです。どうか、鳥さん、この田んぼは危険だから降りて来ないで!

報酬確定型飼料用米実験

 6月12日に飯島さんからメンバー全員への連絡mail。

地球規模で穀物が不足しています。
日本の家畜のえさはほとんど輸入に頼っている状況です。
そこで、飯島農園の八千代の田の近くの休耕田を借りて、飼料用の稲を播種栽培で実験します。

まずは、芽だしをした長粒米の種まきです。面積は5aです。
今度の日曜日6月15日、9時30分に好人舎集合です。
近くには山田農場のアイガモ農法の田がありますので、
かわいいアイガモの働きぶり見学もします。
秋には収穫することになりますが、参加者の皆さんには実験が成功しましたら、
アイガモ栽培のお米を5kg、失敗したら3kgを差し上げます。


 まるで詩のような数行。ふつう、実利から最も遠い地点でしか結実しない詩精神。それがなんということか、実験に失敗しても3キロのアイガモ米がいただけるという報酬がスタンピングされている! これぞ詩を超えた至福!

 さて、当日、10時に田んぼに到着してから行なった作業は、区画の整理と芽だし長粒米を筋播きにするためのライン引き。苗で植えるのではなく、芽だし籾をパラパラと筋に播くだけ。
「どんな分量で、どの程度の深さに播けばいいんでしょうか?」と質問が飛ぶ。
 飯島さん答えて曰く、「すべては実験なんですわ。自分にもよく分かっていません。ですから、私がいいと思うようにやってみますから、とりあえずはその通りにやってみてください」
 そうか、これはこの辺りでは前例のない飼料用米づくりだったんだと、参加者全員が納得。ビニール袋に小分けにされた飼料用米の芽だし籾を持って、区画に入っていく。
 田んぼは水が多めで、播いたそばから水面に浮かび上がる。その状況を見て、畦を切り、水を抜く。この田んぼは今年は休耕田で、空いてる田んぼを手間をかけず有効に使ってみようと言うのが飯島さんの目論見。
 抜き足差し足で楽しむこと約1時間。一応、区画ごとの筋播きが終了し、鳥たちに啄まれないように釣り糸のテグスを1メートル高で張り巡らし、作業は完了。全員で記念写真を撮る。
 その播種が終わってから3週間後、経過を見るために、7月5日(土)、この実験田に行ったところ、手前はほとんど根付いていない。水が深かったからか。ただし、奥に行くに従ってしっかり生育していた。
 推定原因その1。
 田んぼの手前は水が深く、しかも流入口からたえず水が流れ込んでいて、播かれた籾が定着できずに流されてしまったから。しかも、播かれた量が少なかったのではないか。
 推定原因その2。
 田んぼの中央から奥に掛けては水抜きが早く効き、播いた時点で流れずに定着したのではないか。しかも、区画毎に筋状に播いたはずが、播種作業中、区画の区分が曖昧になり、すでに播いた区画に隣り合う担当者が入ってもう一度播種し、結果として手前の区画に比べ、倍の量を播いたのではないか。
 7月5日、そんなことを、観察に行った4人で話し合った。
「どうやら、そんなことぐらいしか思い当たらないわね」
「鳥害はまったく見られなかったので、テグスを張ったのは正解でしたね」
「畑の感覚で筋播きにした方がよかったような気がしますね。水を完全に抜いてから筋播きにして、芽がもっとしっかり出た時点で水を入れた方がいいんじゃないかしら」
「苗で植える感覚でいたのがいけなかったかも」
 こんな感想を持ちました。

 農林水産省のホームページで飼料用米を調べていたら、今回のような5アールなんて狭い田んぼでの例は掲載されておらず、どんな資料を見ても20アール以下は報告されてはいない。しかも、大型機械が入る田んぼばかりが報告されていた。船橋のような都市近郊農家の休耕田再利用のための実際例はほとんど報告されておらず、それ故に今回の実験は大いに参考になるに違いない。農林水産省の
品種登録済み多収性品種というページを見ると、耐倒伏性の強い「べこごのみ」が10アールあたり686kg、「北陸193号」が780kgという収量報告があり、今回のテストは5アールだから、はたしてこれらの数字の半分が収穫できるかどうかが、今回のポイントか。目標値は300kg!この数字が成功失敗の分水嶺か。

 また、飼料用米の消費者である畜産業者との関係をまとめた「稲の家畜飼料としての生産・利用について」というページも、ボクのような初心者にも分かりやすく説明されていた。いままでの輸入配合飼料に比べ、飼料用の米は特定の病気を誘発するという報告もあり、ここでも生産の現場と消費の現場の情報共有が大切なんだと、しみじみと考えさせられた。畜産農家の声を前提に作らないと、だれも引き取り手のない米を作ってしまうことになりかねない。ぜひ参照されたい。

f0099060_0213928.jpg

↑7月5日(土)の飼料用米生育状況。手前がほとんど根付いていない。
f0099060_022729.jpg

↑4人の呆然とした姿が水面に映る。なかなか詩的なフォトジェニック。

【飯島さんからのメッセージ】
 籾を播いたが発芽しなかったのは、酸欠に原因があると思います。あのあと、水ヌキをしたんですが、どうしても手前と一番奥は水が抜けきれず、結果として酸欠状態になってしまい、籾は腐ってしまったんですね。発芽する時には酸素がたっぷりと必要なんですが、水に浸かったままで、酸素補給が著しく低下。酸欠となってしまったんですね。あの田んぼはもともと水ヌキができない条件の良くない田んぼだったのですが、いままでは苗を植えていたので、なんとかお米を収穫できていたんです。ところが今回は苗ではなくその前段階の籾ですから、ダメだったんですね。コレが真相です。
by 2006awasaya | 2008-07-09 00:27 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[81=エダマメの選別作業中に考えたこと]

2008.7.7(月)

f0099060_21424090.jpg

↑今年春の4月26日(土)午前中、イオンの枝豆栽培ツアーの参加者用に畝の整理とカマボコ型のトンネルを掛けるための骨組み用ポールを立てている『おいしい野菜公園2006』のメンバー。
f0099060_214322100.jpg

↑イオンの枝豆栽培ツアーの参加者が4月26日(土)の昼前にマルチシートの1穴に2本ずつ定植をしトンネルで覆った畝。この写真は2週間後の5月3日(土)の生育状況。トンネルの天井高、約50センチ。
f0099060_21435862.jpg

↑5月10日(土)の生育状況。畝が違うと、生育状況もまちまち。
f0099060_21443087.jpg

↑5月24日(土)の生育状況。だいぶ本葉が大きくなっている。
f0099060_21461817.jpg

↑6月1日(日)、トンネルを覗くと、小さな白い花が咲いていた。畝が違うとまだまだ花が咲いていないものの方が多い。
f0099060_21471117.jpg

↑6月7日(土)、銀色に輝く産毛を全身にまとったエダマメの赤ちゃん発見。
f0099060_2148087.jpg

↑6月7日(土)、一斉にトンネルを剥がす。
f0099060_21484783.jpg

↑6月14日(土)、生育が遅いグループにも、エダマメの赤ちゃん発見。
f0099060_21492948.jpg

↑6月28日(土)、畝と畝の間に繁っていた草をきれいに抜き取る。
f0099060_21501658.jpg

↑6月28日(土)、実もしっかりと膨らみつつあるエダマメ。
f0099060_21523359.jpg

↑7月5日(土)、イオンのエダマメ栽培ツアー用の区画は、このまま放置しておくとグリーンからイエローに色が変わって、大豆になってしまうとの判断から、この日から収穫を済ませることになった。
f0099060_21505380.jpg

↑7月5日(土)、改めて根っこを観察すると、さすが豆類、根粒がきれいに見える。この粒の中には根粒菌という細菌がいて、宿主のマメ科植物から栄養をもらって生きている。一方、根粒菌は、植物がつくれない物質をつくることができ、その物質をマメ科植物に与えている。
f0099060_2245315.jpg

↑7月6日(日)、実もしっかりと入ったエダマメ。
f0099060_21541383.jpg

↑軽トラに積まれたエダマメ。これで約50メートルの畝一本分。
f0099060_2155289.jpg

↑畑からエダマメを運んで来た軽トラとはまた別の軽トラは、写真中央のオレンジ色のマシーン、エダマメ専用脱穀機の『マメモーグ』から吹き飛ばされた枝豆の葉と茎をこの荷台で受けるため、ここに留めてある。マメモーグの内部には硬質ゴム突起を櫛の歯状に植え込まれた回転ドラムがあり、その突起に当たってエダマメが枝から引き離される。エダマメはドラム下に落ち、そこからベルトコンベアで第一次選別工程へと移っていく。回転するドラムの起こす風で機械前方に葉と茎を吹き飛ばす。集められたエダマメの葉と茎は堆肥となる。
f0099060_2155481.jpg

↑エダマメの根っこ部分をしっかりと握り、マメモーグの挿入口に突っ込む。回転するドラムに持っていかれそうになるほど、結構力強い。
f0099060_21571180.jpg

↑ご覧の通り、枝だけになったエダマメの茎。きれいにエダマメが分離するように、持ち手を前後左右に動かす。交代時にちょっとしたコツを伝え合う。
f0099060_215819.jpg

↑ベルトコンベアに乗って第一次監視団のチェックを受けるエダマメ。写真では静止しているが、実際にはベルトが微細に振動していて、10分もすると目の焦点が合わなくなる。動体視力を鍛えるには実に優れたトレーニングかも。ここでの規格外のポイントは1=サヤに豆一つ、2=虫食い、3=マメが未成熟で、肉薄、4=色がグリーンからイエローに変色したエダマメの4点。このうちの1点でも該当するエダマメは規格外として弾かれる。
f0099060_21585499.jpg

↑第一次選別を経て、水洗いを済ませたエダマメ。ここでさらにエダマメの両サイドをチェックして、キズはないか、虫食いはないか、ひとつひとつ、検品する。大昔、三重県鳥羽のミキモト真珠島に遊びにいったおり、真珠の検品作業を見たことがあるが、今回のエダマメ検品の精度はなんら真珠島に劣るものではなかった。この検品に合格したエダマメが市場に出荷される。この段階で弾かれたエダマメがB級とうちうちで呼ばれたエダマメ。姿形が先に説明した4つの規格に引っかかり、作業者のお土産として配分された。若干A級に劣るだけで味は実にうまかった。
f0099060_21593994.jpg

↑きれいなA級エダマメをきっちり1袋に210グラム、計量して入れている。
f0099060_2202298.jpg

↑こちらは撥ねられたB級エダマメ。
f0099060_2205479.jpg

↑この期に及んでも、まだしがみついていた虫。この虫が無農薬栽培の証だと評価される日が近からんことを、したたる汗を拭きつつ作業者全員が希求。

エダマメの選別中に考えたこと

 7月5日(土)と6日(日)の2日間、エダマメの収穫、選別、水洗い、袋詰めの作業に追われ、大量の規格外品にわれら一同、惨憺たる三嘆を繰り返すばかり。

 モーター音が唸りを揚げるエダマメ専用脱穀機『マメモーグ』が接続不良からか、突然停止。途端に静かな農村のバックヤードに立ち返る。やがて脱穀機の調整が完了し、再び硬質ゴムの突起を回転ドラムの表面に鎧ったマメモーグが運転を再開し、若干ながら運転音が軽やかになったところで、修理調整を終えた坂本さんと立ち話。

長谷川 思えば4月上旬、坂本さんからアナウンスがあったんでしたね、今回のイオンのエダマメ栽培ツアーの話。『飯島さんからおいしい野菜公園の面々に対して、こんな提案があったので引き受けました』って。それで坂本さんが資料を作って全体会議に掛け、動き出したんでしたね。
坂本 そうそう、そうでした。唐突というか、突然に話を振られて、慌てるヒマもあらばこそ、さっそく、みなさんに目を通していただく資料を作ったんでしたね。あれは、ええと、ぼんやりした記憶で言うと、4月12日(土)でしたよ。なんで覚えてるかというと、ガムランの打ち合わせで、竹林会場の整備をどうするかという結構タイトなスケジュールを立てたところだったんです。ガムランコンサートは5月18日(日)で、その1カ月前までには、コンサートプランをビシッと仕上げておかなくちゃ、そんな慌ただしいときでしたね。
長谷川 そうでしたね。ボクもガムラン会場の見取り図づくりとか、コンサートチケットを作ったり、コンサート会場への案内図を作っていたんです。早いもんですね。まだ話半分以下のエダマメ栽培ツアーの企画段階から、はや3カ月が経つんですね。
坂本 まったくね。早いこと、早いこと。でも、エダマメの収穫と選別、出荷作業にメンバーがこんなに集まって協力してくれるなんて、そのことだけで嬉しい限りです。昨日も強い陽射しの下でエダマメの選別に汗だくだく。唯一、陽射しに焙られない屋根の下の脱穀作業と第一次選別はというと、まったく風が抜けない。どこもかしこも汗だくだく。水分補給にだけはみなさん、厳重注意してくださいね。
長谷川 ボクたちは出荷する品をA級、出荷できない品をB級って呼んでいますが、昨日はB級が多かったように思いますが、今日はどうなんでしょうか。
坂本 今日のエダマメは昨日ほどではないですね。昨日は虫食いも結構あったし、畑のちょっとした場所の違いでこんなに差が出るんでしょうね。
長谷川 それにしても、B級って呼んでいますが、今年のエダマメは、A級もB級も、味にはなんの違いもありませんね。ほんとうにおいしかった。品種は去年同様、「湯あがり娘」でしたよね。
坂本 昨日、長谷川さんが規格外のエダマメを強引に参加全員に「罰ゲームだ!」とかなんとか言いながらスーパーの袋一杯にメンバーに配ってたですけど、家に帰って、風呂に入って汚れを落としながら、「湯あがり娘か、ああ、いいネーミングだなあ」と、もう我慢もならずにビールをガンガンいただいて、旨いのなんの。むしろ、A級のふっくらしたエダマメに比べれば多少膨らみの足らない、ああ、お前はそのふくらみの足らなさで撥ねられたんだなと一目瞭然の姿形をしたエダマメが旨いのなんの。わずかなキズとか、一つのサヤに豆一つとか、マメのふくらみが足らないとか、撥ねられる理由が明白なだけに、その作業をやった当事者故に、余計に撥ねてしまって申し訳ないという後ろめたさと、流通の常識なので味にはなんの問題もないんだよ、なんて弁護をしながら、間違いなくゴミになっちゃうエダマメの身の上をおもんぱかってプチュッと摘む。もう、それだけでうるうるしちゃうのよね。でも、あんなにどっさり持ち帰っても、実際に食べるとなると相当な努力をしないとまたゴミにしちゃう。保存の方法も考えないとアカンですね。

 もう、話が止まらない。
 シャツが汗でグショグショになりながら、脱穀している阿部さんを見ていると、いつもは柔和な表情がいまはそれどころじゃないって切羽詰まったこわばった表情。

長谷川 阿部さん、交代しましょう。
阿部 いやあ、ココは暑いね。それじゃあ、監視団席に移動しましょう。
長谷川 監視団席って?
阿部 この脱穀機からエダマメがベルトコンベアで流れて、次なる工程の水洗に移りますが、このコンベアを両側から監視しながら傷物を撥ねる作業が、ま、言ってみれば第一次の選別工程。
長谷川 ああ、なるほど。公正な民主的選挙が実施されるかどうかの国際監視団が紛争地区へと送り込まれるのと同じく、騒音けたたましいベルトコンベア地帯で目を光らせるって訳ですね。さすが、疲れても言葉選びだけは疲れてない!

 みな、作業を順ぐりに交代しながら、習熟度を上げていく。この辺りが若年層とは年季の入り用が違うのだ。一つの作業を長時間続けていると、飽きもくるし、疲れも溜まり、作業能率も低下してくる。この年代の人間はその辺りのことを織り込み済みで、そこが若年とは一線を画しているところ。

 ところで、7月5日(土)に、規格外のB級をどっさりとお土産で持ち帰り、「コレコレこういう理由で規格外になったとはいえ、姿形が悪いだけで味や品質にはなんも問題もないエダマメです。自家消費だけでは処理できないので、処理に協力してくれますか」と、妙な口上付きでご近所に配っても、まだたくさん残っている。
 ちょうど、この日、親しくしていただいている薬円台のご一家との飲み会。お名前は伏せて、下の方の名前は勝さんと礼子さん、それに大学3年でつい先日、就職が決まったばかりの上のお嬢様、そしてまだ大学在学中の下のお嬢様の一家4人との飲み会でしたが、そのご一家のお土産にも、このB級エダマメをもらってもらったのでした。

 飲み会の席でも、いい気持ちで酔っぱらっているから、論理的にまったく脈絡のないエダマメ話で盛り上がる。果たして、こんなことを話したのかどうか、記憶あやふや。多分、こんなことを話したな、そんな架空のおしゃべりを手探りで再現すると、こんな感じかも。

長谷川 お金のことを第一に考えたら、少しでも多く規格品を出荷したいので、当然、農薬を使いたくなりますよね。選別で生き残る規格品とは、汚れがなく、キズもなく、虫に刺された跡もなく、実もしっかりと入っていて、グリーンの色も鮮やかなエダマメのことです。風味や味覚など、所詮は見た目の規格基準でしか選別できない。それゆえ無農薬で作ると、こんなに規格外が発生してしまう。防虫のための薬剤を使えば、規格外品はほとんど出ないので、無農薬でやってる農家って、まったく頭が狂ってるんじゃないかと錯覚するくらい純情なんです。
礼子 うちも、子供が小さい頃はきっちりと無農薬の野菜にこだわった時期があったなあ。
長谷川 うちはそんなこだわり、最近までほとんどなかった。無農薬の野菜って値段が高いし、お国がチェックしてるはずだから、大丈夫だろうと、そのあたりルーズだったように思う。ここ2年ほどです、畑で野菜を作り始めて、やっと無農薬で作るってシンドイことだなあ、値段が高くなるのもうなずけるなあと。少なくとも、カメムシが発生した時期だけは農薬を使えば、もっときれいなのができるのにと、しみじみ思うとき、あります。畝に苗を定植してからは、今年は思わぬ難敵の出現で、苗の芯をみんな食われちゃって、翌週、植え直したんです。植え直した畝にトンネルを張って覆い、日照不足になりがちの本葉の頃はそのトンネルをはずすのですが、はずした途端、蝶類の幼虫のえさ場になり、葉っぱは穴だらけ。
 ちょっと待って!ええと、その難敵ってだれだったの?
長谷川 ごめん、話が独り合点になっちゃって。なんと、ウサギだったの。多分、野生のウサギ。なんでウサギだって分かったかと言うと、足跡がしっかり残っていたから。とにかく畝をトンネル状に覆わないと、そうしたウサギとか、鳩とか、キジとか、カラスとか、鳥害が結構あるんです。かまぼこ型のトンネル、見たことあるでしょ。あれ、もっぱら風よけと鳥害対策なのね。
 ああ、あのカマボコをトンネルって言うの?
長谷川 そう、トンネルみたいだから。で、春から初夏になってくると、葉っぱがどんどん大きくなって、トンネルの天井につっかえるようになると、トンネルをはずすんです。光を存分に当てるために。でもそうすると、今度は蝶の幼虫の餌場になっちゃう。それでも青虫に葉っぱを食われても、なんとか生育を続け、葉をもっともっと茂らせて、そうなってくると白い小さな花をつけ、やがて花の跡に産毛に包まれたエダマメの赤ちゃんが顔を覗かせる頃、最も恐ろしい虫、カメムシが出て来るんです。こいつに刺されると、表面はポチッとしたカサブタでも、中身のマメには甚大な被害となって、まったく商品価値が失われてしまう。このカメムシに怯えながら、やっと収穫時期になったと思ったら、今度は収穫と選別作業の人手が不足。速やかに選別と出荷作業を完了しないと、みるみるうちに品質が低下しちゃう。さりとて、収穫をしないで畑にそのままにしておくと、実も葉も黄色くなって大豆になっちゃう。エダマメは未熟のうちに食べる贅沢な食習慣なの。ボクたちはアマチュアですから、「たいへんですね」なんて暢気なことを言ってればいいんですが、これが専業農家だったら、もう来年はエダマメはやらん、収穫時期が短いエダマメはたいへんだから、大豆にしようと暗い決意を固めている時期でしょうね。

 そんなこんなを、本人だけが理路整然たる論理に導かれていると錯覚しながら、止めどなくエダマメを食べ、おしゃべりに熱中した。

 その後、web散歩をしていたら、「湯あがり娘」を売り出している「カネコ種苗」のホームページに行き当たり、「湯あがり娘」の食味や栽培法など詳しく案内されているページ発見。湯あがり娘というページです。
 そのページから、その特長をコピーすると、以下のような案配。
1=茶豆特有の芳香を持ち、食味の良さに特に影響するショ糖含量の多い食味抜群の品種です。
2=茶豆風味を有しますが、エダマメ収穫時の子実色は鮮やかな緑色、完熟種子色は黄色です。
3=毛茸は白く、ゆであがった莢色は鮮やかな緑色で、市場性の高い品種です。
4=栽培日数85日タイプの中早生種で、幅広い作型に適します。
5=3粒莢が多く、クズが少ないため作業性に優れ、またワレやシイナが少なく、A品率の高い多収品種です。
 
 とくに1の指摘どおり、口に含んだときの香りがバツグンで、5の3粒莢が多いという説明も、選別作業中に感じたことでした。
 さらにweb散歩を続けていると、米出版社メリアム・ウェブスターが「ウェブスターズ・カレッジエイト英英辞典」の最新版におつまみの代表格「エダマメ(枝豆)」を新たに加えたとのニュース。おお、edamameが世界語になったかと、さらにB級をつまむ。でも、どんな風に紹介されているのか、その先がなかなか見当たらず、本日はコレにておやすみなさい。
by 2006awasaya | 2008-07-07 22:28 | 真剣!野良仕事