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【真剣!野良仕事】[140=切り干しダイコンづくり]

2011.1.29(土)
無駄なくダイコン、使い切る

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↑この1枚(畳1畳分くらい)で大根3本くらい。

 実に久しぶりにシマさんと立ち話。シャイで明晰な人とのおしゃべりは楽しいものだ。
 実はこの冬、ダイコン長者になるという近未来を実現し、年末から年始にかけて1本2本3本と引き抜いては自家で煮物にしたり、卸していただき、さんざっぱら食べ飽きると、ご近所に配ったりしてもなお、畝には20本前後が残っている。まことに嬉しい風景。良品が食べても食べても残っているという状況は美しい夢を見続けているようで福々しいものだが、限られたスペースで作っている手前、そろそろ春野菜の支度も始めなくてはいけないし、いつまでも夢見心地のダイコンに頼り切っているのはどうしたものか。そんなこんなの紆余曲折する思考の挙げ句、仕事で一段落した明日あたり、畝の整理を兼ねてすべてのダイコンを引き抜かなくちゃ、そんな思いで自分の区画に顔を出したのでした。

 車を止めてハッチバックを開けて長グツに履き替え、麦わら帽子をかむり、自分の区画に移動。
 飯島農園のエントランス左には、生物多様性の先生、是永さんが作った人工の池が2面あり、今の季節は冬枯れて生き物の気配は感じられないが、「生き物の姿が目に入らないからといって、あの池に生き物がいなくなった訳ではなく、夏から秋にかけて生い茂った水草の水中部分が分解し、植物プランクトンの栄養となり、その植物プランクトンを動物プランクトンが食料とし、そうした生態系の頂点にオニヤンマのヤゴが君臨しているのです。たとえ冬枯れして生命の活動が見当たらないような池でも、弱肉強食の世界は維持されているのです」と是永さんから説明を受けたことがある。そのエントランスの池の先の左手にカマボコ型のビニールハウスがあり、その中でなにか作業をしている人影が見える。誰が何をやっているのだろう。春野菜の支度なら、教えを乞わずばなるまいと中を覗くと、シマさんが大根を千切りにしている。シマさんとは年末にご挨拶して以来だから、まるまる1カ月ぶり。
 

ボク すっかりご無沙汰してしまって。いつもお元気そうで何よりですが、切り干し作りですか。
シマ 最近は天気もよくて、おまけにこのカラカラ天気でしょ。切り干し日和ですよね。
ボク 実はこの冬、ダイコンしか作らなかったので、大いにダイコンを食べて食べて、でも食べても食べても食べきれなくて。ご近所に分けても、「この前いただいたし」と、最近ではあまり喜ばれなくて。今日は春野菜の準備もしなくちゃならないし、今残っているダイコン、どう始末しようかと悩んでここに来たんですが、そうか、切り干しにすれば、無駄にならない。
シマ ダイコンは無駄になるところがないんです。しっぽの先くらいでしょうか、捨てるところって。むかしはこうして切り干しにして船橋の町なかに売りに行ったもんですよ。
ボク そんなこと、なさってたんですか。ところで、今、切り干しにしてますけど、どれくらいで完成品になるんでしょうか。
シマ そうね、毎日、天地返しをして、この天気が続くとして、4日でできるんじゃないでしょうか。
ボク 天地返しって言うのは。
シマ まんべんなく乾かさないといい切り干しにならないので、上下というか、短冊に切った大根の天地をひっくり返すんですよ。日に何度もこうしてかき混ぜながら、全体が均等に乾くように。
ボク 今日、少なくとも20本くらいは持ち帰ることになると思うんですが、その半分は切り干しに加工すれば保存が利くって訳ですね。
シマ そうです、無駄にしちゃいけませんよね。それはそうと、最近のダイコンはどうして辛くないんでしょうかね。むかしはもっともっと辛かった。いま、辛いダイコンを探しても、なかなか手に入らないんです。ダイコンが辛いと、切り干しにした時、おいしい切り干しになるんです。
ボク そういうものですか。ボクは辛くないダイコンが素晴らしいダイコンだと思い込んでいたんです。でも、そんな辛くないダイコンって、シマさんから見るとダイコンらしくない、軟弱な、つかみ所のない、もっとシャンとしなさいって叱りつけたくなる感じなんでしょうか。
シマ 人それぞれでしょうが、私はそう思います。

 ご自分の感じたこと、考えてきたことをはっきりと。きっぱりとおっしゃる。分からないことは分かりませんと即断。明晰にして明快そのもの。そんなシマさんとのおしゃべりをしながら、3ミリ角の短冊に切ったダイコンを干す様子を記憶にとどめ、自分の区画に行き、ダイコンを引き抜き、マルチシートをはがし、雑草を引き抜き、次の週に耕耘しなおす予定なので、とりあえず畝はそのままにして、畑の脇の水道でダイコンをきれいに洗い、一輪車に乗せて車に戻る。

ボク 家に帰ってから切り干し作りに精を出します。それではお先に。
シマ 夜になったら取り込まなくちゃいけませんよ。
ボク え? 取り込むって、どしてですか?
シマ 取り込まないと凍っちゃいます。凍らせると翌日、溶けてべちゃべちゃになって、せっかく乾かしたのが無駄になってしまいます。凍らせないように、家のなかに取り込まなくちゃいけないんです。
ボク なるほど、そういうことだったんですか。わかりました。夜は取り込むようにします。ありがとうございました。

 素敵ですね、勘ドコロを噛んで含めるようにアドバイスしてくれるこのひと言。これからはできる限り時間を割いて、シマさんとおしゃべりを重ね、博覧強記を少しずつ引き出しに行こう。元気とはいえシマさん、今年92歳。野菜作りを中心に、生活全般を視野に入れた「無駄をしない生き方」について、今度、教えてもらうことにしよう。
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↑シマさんの明晰は、いくつになっても鈍らない。とはいえ、間近で切り干しの一本一本を見ると、結構太い。3mm角とおっしゃっていたけど、5mm角でもいいのかな。売り物の切り干しは、細身の括り紐みたいな太さが多いようだけど、5mm角だと仕上がりはどんな感じになるのかな。自作の切り干しでこの点は後日、報告することにする。
by 2006awasaya | 2011-01-30 00:34 | 真剣!野良仕事