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【真剣!野良仕事】[194=3年目でどうやらまともな干し芋、できましたよ]

2012.12.22(日)
まともな干し芋、できましたよ

 今は亡きボクの母が、なにゆえに、あんなにも干し芋が好きだったのだろう。その訳がわからないままに、ボクはその好みを知らぬ間に受け継いでしまったようです。
 寒さがきつくなるこの時期、スーパーなどに行って夕飯のお買い物をしている最中でも、目が干し芋に引き寄せられてしまう。買おうかなあ。食べたいなあ。買って仏前に供えようと手を伸ばし、カートに入れるのですが、最近の干し芋はけっこう高額の値札を付けていることが多く、すこし怯んでしまいます。落ち葉のような小さな干し芋が5枚ほど入って400円! 昔は朴葉のように大振りの大きな干し芋で、全体が白い粉で覆われていて、後年になってその白い粉がカビではなく干し芋の内部の糖分が吹き出してきたものと分かり、一安心したことを覚えていますが、子どもの頃はその白い粉はカビだと思い込んでいて、丹念にこそぎ落として食べていたような記憶があります。ああ、もったいないことをしたものです。

 それはそうと、値段のなんと高くなったことか。これでは干し芋という名前を付けて売ってはいけない値段です。なるほど、焼き芋に比べたらとんでもなく手間ひまがかかっていますから、この値段になるのは仕方ないとは思いますが、昔から馴染んだ干し芋とは到底思えません。

 そんな思いが記憶のいちばん深いところにあるものですから、数年前から干し芋を自作しようと考えていたんです。気兼ねなく、好きなだけ食べたい。柔らかからず、硬からず、ほのかに甘やかで、しなしなしていて、湿っているようでいて手触りはべたべたせず、まことに絶妙な食感。あるいはこのなんとも形容しがたい様を玄妙なんて言うのかしら。

 この玄妙なる仕上がりを求めて4年前の春先、鳴門金時の苗を畑に植え、秋の収穫を経て干し芋づくりに挑戦。そして見事失敗。2008.11.23の[真剣!野良仕事 94]にその失敗を報告しましたが、なんのことはないのです。干し芋にするには干し芋に適した品種を選ばなくてはいけなかっただけのことでした。茨城県の干し芋農家のホームページなどで調べたら、「イズミ13号」という白芋系のお芋を使っているというのです。このお芋は焼き芋にしてもぜんぜんおいしくないのですが、蒸して干し芋にした途端、糖度が増して、絶品の干し芋になるということが書いてありました。

 なるほど、干し芋専用のお芋ってものがあったんだ!

 次の年2009年の春、このイズミ13号を求めて干し芋の一大生産供給地である茨城県の土浦を中心に車で走り回ったのですが、入手できませんでした。しかたなく、この年はお芋をあきらめ、ダイコン各種を植え、期待以上の大豊作。その大半を切り干しダイコンにして、幸せ感いっぱいの新春を迎えました。次の年2010年もダイコン長者を夢見て再度挑戦しましたが、土の中の線虫類に真白きすべすべ肌をかじられ、無残にも失敗。

 昨年2011年の暮、種苗メーカーのネット通販ページで、「干し芋に最適のタマユタカ!予約注文受付中」というページに偶然にも入り込み、おお、そうか、世間ではこんな時期にすでに予約が開始されていたのか。さっそくに注文せねばなるまいと、注文ページに進んだはいいのですが、待てよ、きっと最小ロットがあるだろうし、数が少ないと予約も受け付けてくれない場合もあるに違いなく、電話をして確認したところ、「何本でもいいですよ」とのお返事。それではと、少し小さな声で、「では50本、お願いします。タマユタカ30本にベニアズマ20本、お願いします」と注文。翌年の春に苗が配達されてくることが分かり、近年まれに見る至福に包まれての年越しとなり、今春、ちょうど田植えが終わり、除草に忙しい5月下旬に、15センチ角、長さ40センチほどの段ボールが到着。開けてみると、確かにお芋の苗が新聞紙に包まれて入ってました。

 6月に入って早々、サツマイモ専用の堆肥を購入し、少し深く耕してから畝を作り、タマユタカとベニアズマを舟形に定植。夏に入ると芋蔓が旺盛に延び始め、専用の堆肥が効いていることにほくそ笑みながら下品な笑いをこらえる日々が続きました。そして稲刈りと脱穀を済ませた10月13日に芋掘りに取り掛かりましてね。

 まあ、なんと大きなお芋!
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↑あらかじめ調べたタマユタカはもっとスリムな、だれもが思い描いているお芋の形をしていましたが、掘り上げたタマユタカはなんとも奇妙というか、サトイモの巨大な母芋のような形でした。色も白芋系というだけに、淡いピンク。これで1kgほどの重さでしたが、こんなお芋が30個ほど収穫できました。ベニアズマも大小取り混ぜて40個ほど収穫。お芋専用の堆肥が効いていたのだろうと、周囲にだれもいないことを確認してから一人ほくそ笑んでみました。ぞっとするほど下品な笑い方だったに違いありません。桑原クワバラ。

 掘りたてのお芋はおいしくない、甘くないと言われていますので、一応、確認のために大振りのお芋を蒸かしてみました。なるほど、タマユタカは甘味がほとんど感じられません。正直な印象を申し上げると「まずい」の一言です。韓国語で言う「맛있 없어요! マシ オプソヨ!」。まさしく、味がないって感じ。そこで、じっと我慢の2カ月間、冷暗な場所に土付きのまま保存。ただし、ベニアズマはほくほくして、期待どおりの甘味なお芋でした。

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↑このタマユタカを蒸して干し芋に。重さはこれで300gほど。ふくらみに沿って、分割にし蒸篭に入れました。

さあ、干し芋に再チャレンジ
 そして約2カ月後の本日、満を持して干し芋への再チャレンジです。
 このときのために、いろいろプロの技を調べ、まとめてみました。

1=蒸し時間は1時間
2=まだ熱いうちに皮をむく
3=繊維に沿って薄く切る
4=陰干しではなく、しっかりとお日さまに当てながら乾燥させる
5=夜は室内に取り込み、翌朝、天地返しをしてさらに乾燥
6=乾燥は青天が続く日であること

 以上がプロたちの干し芋作りの要諦ですが、今回は以下のように変更してトライしてみました。
 1の蒸し時間は、2時間にしました。2の皮むきは、蒸した直後にやらないとうまく剥けないとありましたので、蒸す前に多少厚めに剥いてしまい、1つのお芋をふくらみに合わせてブロック分けにしました。うちの蒸篭が直径30センチほどの2段重ねで、分割にしないと収容できないので。3の繊維に沿って切ることも大切なポイントですが、肝心なのは薄く切ること。プロは極細のピアノ線を5mm幅に張り、その専用切断機の上から皮を剥いて湯気をたてているお芋を押しつけるようにカットしています。ゆで卵をスライスする専用カッターに似ていますが、今回は波形歯のパン切り包丁で、できるだけ薄く切りました。

 市販の干物作り用3段カゴに並べ、まる二日で干し芋の完成です。出来具合を確認しながら取り込みつつ、うーん、やはりプロが作るホンモノの干し芋にはさまざまなノウハウが隠されているんだろうと、この冬、さらにトライ&エラーを重ねて見ようと思っています。

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↑寒風とお日さまのチカラで、おお、しなやかで滋味ゆたかな干し芋の完成です。

 ほんとうのところ、調子に乗ってもっともっと大振りのタマユタカも蒸してしまい、干物作り用3段カゴに並べきらず、だいぶ余してしまったのです。

 どうするの、こんなに蒸しちゃって!という妻の声も聞こえてきそうです。
 そこで、蒸篭の陰に裏ごし器があったことを思い出し、そうか、まだ熱々で湯気をたてている今、裏ごししてお団子でも作ってみようかと。
 子どもの頃、お正月用に栗きんとんを、この裏ごし器で作っていたなあと、そんなことを思い出したものですから。

 そこでさっそくシャモジで大量に余ったタマユタカを裏ごしし、ボウルにとってから蜂蜜を加え、てのひらでピンポン玉ほどの大きさに丸めてみたんです。
 なんだか田舎っぽい見掛けながら、甘さ控えめの和菓子のようです。
 でも、この姿だと「なにこれ?」と言われそうで、少し身繕いでもしてあげようと、茹で小豆の缶詰めがありましたので、さっそく表面にコーティングしてみましたら、なんだか東京麻布って雰囲気、しません? ボクが大好きな和菓子「鹿の子」には及びませんが、けっこういい感じのあんこ玉!じゃありませんか。

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↑これが「鹿の子」もどきのお団子。球体全面に小豆をコーティングせず、南極部は小豆を着せなかったのは、焼き物で言うところの「土見せ」のつもりです。これが我が人生で初めて作った和菓子です。ボクが初めて作った豆本を「和菓子のようだ」と褒めてくれたカメラマン・飯田裕子さん、お元気に活躍されていますか。一報いただければ、食べられるホンモノの和菓子、作っておきます。お待ちしています。
by 2006awasaya | 2012-12-24 11:33 | 真剣!野良仕事