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【真剣!野良仕事】[225=三陸通信6●三陸支援ツアー報告]

2014.11.9(日)

フォーラム「三陸漁業の展望を探る」

第3回 三陸支援ツアー報告
【パート1】
 2014.10.18(土)〜19(日)の1泊2日で、3回目となる「三陸支援ツアー」を実施しましたので、その報告です。
 時系列で、しゃべり言葉でいうところの『時の流れに従って』、まずはツアー内容が判る写真を並べますので、見てください。

【foto01】漁業フォーラムの会場
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↑山田町のフォーラム会場にて。「定住再生産が出来る産地の創生を目指して」との表題で発表する三陸漁業生産組合の組合長理事・瀧澤さん。上下スーツ姿の瀧澤さんもこれはこれでかっこいい!

【foto02】遠藤さんの釣果
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↑船尾から疑似餌を投げ入れて15分ほど。『どうです、かかりましたよ』と遠藤さん。

【foto03】ムール貝の養殖現場へ出航
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↑この日は波がほとんどない上天気。細谷さんだけは船に乗っただけで上機嫌。

【foto04】ムール貝の養殖現場
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↑遠藤さんが黒く太いロープを引き上げているが、この太いロープにムール貝が絡み合うようにしてくっ付いている。本来のロープは直径1センチほど。このロープに、ムール貝が鈴なりにくっ付いてこの太さになっている。動力に頼らないと重すぎて揚がらない。

【foto05】海から揚げたばかりのムール貝
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↑ムール貝の蝶番近くから絹糸のような強靭な糸を出して、お互い同士と絡み合い、グルーピングをして離脱を防いでいる。離脱防止ネットとでも呼べば良いのかな。

【foto06】ムール貝の養殖現場から港に戻ってきた視察団一行
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↑赤い靴が似合いますね、遠藤さん!

【foto07】神辺さん
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↑「焼きホタテを4つと焼きカキ3つ、サンマが2本。で、これが最後のホタテ」と豪快な神辺さん。

【foto08】大村さん
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↑「これで4つ目」とおっしゃる大村さん。

【foto09】飯島さん
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↑「うーん、ムール貝のワイン蒸しがこんなにいけるなんて」とうっとり顔の飯島さん。

【foto10】川口さん
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↑「焼きカキも焼きホタテもサンマもみんな美味しかった」と、川口さん。

【foto11】堰堤上の海鮮バーベキュー
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↑広田湾の最奥に吉田さんのカキ養殖現場はあった。堰堤のトップは海面から5メートル。津波はこの堰堤を軽く乗り越えて陸へと駆け上ったが、幸いなことに吉田さんの作業場と自宅は津波の本流から逸れたために助かった。そんなことをポツポツとしゃべりながら焼いてくれた。

【foto12】ムール貝のワイン蒸し
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↑遠藤さんの養殖場で揚がったムール貝。一つ8センチクラスのムール貝を約20個、フライパンへ投入。白ワインをじゃぶじゃぶ掛け回してから蓋をして10分。貝が開いてきたら、さあ試食。写真では調理のためにトングを使っているが、食べ終わったムール貝の殻は、次のムール貝を食べる際のトング、またはピンセット代わりに使うのが本場流なのだとか。

【foto13】陸前高田市の区長をされている伊藤さん
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↑こんな穏やかな表情が一番似合うお人柄です。でも、第一回目の三陸支援ツアーでお会いした時のお顔とは、当然のことながら別人の隔たりがあります。毎回、われわれが訪問するたびに、水先案内をしてくれるのですが、現役時代は大手水産会社の大型漁船で世界を駆け回ったパイロットでもあった方です。

【foto14】牡蠣漁師の吉田さんご夫妻
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↑なんだかとても仲が良いのです。このご夫婦が育てた牡蠣なら、毎シーズン、食べていたいです。何カットか写真に撮らせていただいたのですが、このカットが一番自然な表情でしたので、ラベルに転用しました。今後とも末永くお付き合いくだされば幸いです。

【foto15】松の木にかかった浮き球
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↑神辺さんも触れていましたが、護岸脇に斜めに生えた背の高い松。海面から20メーター付近の松の枝に丸いボール状の浮き球と網が絡まっています。見えますでしょうか。その黒いシルエットから松の幹に沿って視線を下に移していくと、もう一つ、ボール状の球が見えます。この球で海面から15メーターくらいでしょうか。

【foto16】陸前高田の地盤嵩上げ風景
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↑本四橋や大鳴門橋の写真と見まがうばかりの吊り橋ですが、これは写真背後の山を切り崩した土石をベルトコンベアで運ぶための橋なのです。ダンプカーで今までは運んでいたのですが、途方もない時間がかかるため、この方式を選んだそうです。写真中央に、奇跡の一本松が見えます。

【パート2】
 第3回目となる三陸支援ツアー、今回の参加者は6名。ワンボックスカーでの移動中、絶えず誰かが誰かとおしゃべりしていて、それを聞き流しながら、車窓の風景に見入る方もいれば、流れる紅葉の山々を眺めながらも、交わされている話題に耳そばだてる方もいて、こうした勝手気儘な時間の過ごし方が報告者の長谷川にはとてつもなくステキなツアーでした。おしゃべりに飽きればそっぽを向き、面白そうな話題が聞こえてくれば、その話題に割り込む。こうした気儘はなかなか味わえなくなってきているだけに、余計に貴重な時間だったと思います。

 当初の予定通り、初日は岩手県山田町の大沢ふるさとセンターで開催される漁業フォーラム「復興と漁業の展望を探る」という集会に出席し、終了後、碁石海岸にある民宿に宿泊。地元の漁業関係者との夕食懇談。懇親を深めるにはとてもよい機会でした。翌2日目は、遠藤さんの漁船に乗船し、越喜来湾口にあるムール貝の養殖現場に出かけ、ムール貝の生育視察、船上作業手伝いをし、一旦、港に戻って後、広田湾のカキ漁師・吉田さん宅にて昼食懇親。その後、陸前高田の土地嵩上げ工事現場などを区長の伊藤さんの案内で視察。道の駅にてショッピング後、一関インターから東北道に上がり、飯島さん、細谷さんの運転で一路南下、ひたすら船橋を目指しました。船橋までは時速110kmの高速走行で6時間もあります。途中途中のトイレ休憩の度に、改めて参加者一人一人に今回の旅の印象を聞き取っておこうと、同じ質問を各人に投げかけ、返ってくる答えをそのままみなさまに報告する方式でこの報告書にまとめようと思いました。

 お聞きした話を報告者の責任で公表しても良いと言う承諾も、話しを聞き終わるごとにいただいておりましたので、多少の勘違いや思い違いは報告者が責を負えばいい訳で、こうした勝手気儘が許されるということがこれほどまでにステキなことだとは。

 それでは、第3回目となる三陸支援ツアーの聞き取り式報告、始めましょうか。旅のおわりに発した質問は以下の通りです。

今回の三陸行きにテーマはありましたか。
そのテーマは実現できましたか?

 参加者は飯島さん、細谷さん、川口さん、大村さん、神辺さん、報告者の長谷川の6名でした。
 いずれの方にも、同じ質問を投げかけ、返ってきた答えだけを紹介することにします。
「今回の三陸行きにテーマはありましたか。そのテーマは実現できましたか?」
 この、多少こわばった質問に、シートベルトで固定された腰を伸ばしながらも、みなさま、気持ちよく伸び伸びと答えてくださいました。

【細谷さんのコメント】
 いままで付き合いのあった漁師さんたちの顔を見に行くことにあったのかな、主たる目的は。山田町で開かれる漁業フォーラム「復興と漁業の展望を探る」。漁業者がこの集会でどんなことをおしゃべりするのか、聞いてみたかった。紅葉狩りの行楽シーズンということもあって、往路の東北道と常磐道が合流する当たりで想定外の渋滞。それで会場には遅れて到着したので、基調報告は聞けなかったけど、福島県相馬市の遠藤さんと言ったかな、「原発事故と漁業について」の発表をしているところから聞いた、のかな。次の発表者は三陸漁業生産組合の瀧澤さんで、ひな壇に並んだそれぞれの漁師たちの顔はみんないい顔だったな。
 目的の二番目は、長距離の車の運転。もともと車の運転は嫌いじゃない。むしろ好きなんだ。今回も、もう飽きるほど運転できたよ。
 三番目は漁船に乗って海に出られると聞いていたので、本当は三番目じゃなく、これが一番かな。海に出て、漁師の仕事をちょっとだけでも見られて、しかもちょっとだけお手伝いが出来た。これはこれで楽しいことだよね。ムール貝のワイン蒸しが美味かったね。

【川口さんのコメント】
 前回の三陸訪問では、ホタテの殻掃除を体験することでちょっとした漁師体験が出来たし、そうか、ホタテが商品として出荷されるまでのバックヤード作業にはこんな手間がかかっているのかとか、現場を見せていただいて漁師への理解が深まりました。結局は農家のバックヤード作業と変わらない手間ひまを掛けて海産物は消費地に運ばれてくるんだと言う当たり前のことが確認できて、そのことが収穫でした。

 飯島さんから「今回はムール貝の養殖をやっている船に乗る」って聞いたような覚えがあるので、それは面白いと。去年も漁船に乗って、ホタテの引き上げから殻掃除までひと通りの作業を見せてもらい、作業をさせてもらいましたが、その折、ホタテの殻にムール貝が付いているのを見て、ムール貝の養殖はどのような方法でやっているのか気にかかっていたのです。今回はそのムール貝の養殖現場に連れて行ってもらえると聞いて、それで参加したような訳です。

 ムール貝って、もともとは値段も高くない貝なんです。日本ではカラス貝って呼んでいる貝なんです。その貝がどんな風に養殖されているんだろうというのが最大の興味で、その実際を養殖現場に連れて行ってもらい、引き上げてからロープにしがみついているムール貝を引きはがす作業も実際にやらせてもらい、ああ、こうやって貝同士がくっついているんだということが判り、新鮮な発見でしたよ。売り場では「我こそはムール貝」って顔して一つ一つが烏の濡れ羽色に光って並べられているけど、養殖現場ではもちろんスッピン。汚れ放題。ゼリー状のクラゲみたいなベトベトにまといつかれたり、フジツボに寄生されたようにくっ付かれたりしていて、ムール貝の素顔が見られて面白かったわよ。

 これが私の主目的でした。今回の三陸行きはもっぱら個人的な興味で終始しましたが、私の歳になるとあと何回、こうしたことが続けられるか、頭のどこかに絶えずカウントダウンしている意識があってね。とにかく続けられるうちは続けていこうと思っているんです。三陸行きは初回、2回に引き続き3回目でしたけど、毎回、印象が異なっていて、それはそれで面白いわよね。せめてあと10回は続けたいわよね。幸三郎さんに頑張ってもらわなくちゃ。

【神辺さんのコメント】
 自分自身の考え方にこだわる訳ではありませんが、継続することに意味があると思っていますので、参加したのです。去年は仕事の都合で参加できなかったのですが、1回目、3回目と参加して、来年もこの催しがあれば、ぜひ参加しようと思っています。

 継続すること。これが目的の第一義です。第二義は、現地でお金を使うこと。たとえわずかな額でも、現地でお金を落してきたいという思いでしょうか。現地の物産をお土産として購入してきたいということでしょうかね。サブテーマですが、お土産を持ち帰ることは家族にも喜ばれますしね。

 一昨年のことです。おいしい野菜公園の総会の折、尾上さんから議事進行役を仰せつかり、全方位の意見を聞く立場でメンバーの皆様からの意見をさまざま耳にしました。そのなかで、この三陸行きが本来のおいしい野菜公園の方向とズレているのではないか、という指摘があり、賛同する方も何人かいらっしゃいました。

 そのとき、議事進行役という立場上、個人の意見として発言は控えましたが、私自身は野菜公園の催しに、むしろいろいろな方向があってしかるべきで、一方向に集約したり、制限したりするのは窮屈だし、選択肢がいくつもある方がむしろ健全な集まりだと、そのように思っていますので、賛成できる催しには参加する、気の進まない催しには無理をして参加する必要はないが、その催しそのものの芽を摘むことに組しない、という立場でおりますので、今回も、このツアーのご連絡をメールでいただいた折あ、自分のスケジュールも空いていましたので参加したのです。

 参加すると、やはり面白い経験が出来ますよね。ムール貝でみなさま、盛り上がっていましたが、ムール貝を仕掛けたポイントに向かう遠藤さんの船の船尾から、疑似餌を付けただけの糸を投げて、あとは知らん顔。あんなので釣れるのだろうかと、しばらく注視していたんです。すると数分後には30センチクラスの、あれはなんという魚でしょうか、ずいぶん立派な魚がかかって、そうか、漁師はこうやっておかずを手に入れるんだと、漁師のナマの暮らしの一端を見たような面白さがありました。

 吉田さんの仕事場が広田湾の岸辺近くにあって、その蒼く澄んだ海際に大きな松の木があったんですが、その松の木の上の方に、オレンジ色の大きな浮き球がひっかかっていて、一瞬、なんであんなところに浮き球がと、いぶかしく思ったんです。そうか、津波だったかと思ったものの、やはり確認しないではいられませんでした。それで吉田さんの奥様に『あの浮き球、津波で?』と聞いたら、「ええ、あれだけはあのままにしてあるんです」と。大切なことだと思いました。今日みたいに風もなく、気持ちのいい秋の日に、海辺の堤防の上で焼きカキや焼きホタテのご馳走をいただき、すっかり寛いでいる。その限りでは平和そのもので、あの日の津波のことなんて思い出しようもなく、それでもふと空を仰ぐと、高い高い松の枝にオレンジの浮き球。そうだったか、と。東京からこの広田湾の吉田さんの作業場に来てよかった。心底そう思いました。三陸ツアーに参加してよかったです。ありがとうございました。

【大村さんのコメント】
 今回で3回目の三陸ツアーでした。回を重ねるごとに参加者が減ってきているので、そのことが気がかりでした。出発前に、三陸に持っていくサツマ芋を掘りましたでしょ。あの日、天気の具合も良くなくて、連絡を受けたみなさまも、きっと、空を仰ぎながら、今日のような天気じゃ無理だわよねと、そう思っていた方も多いと思います。事実、私自身もあれこれと様子見ばかりに気を取られて、集合時間に遅れてしまったのですが、やはり小雨が降ってきていて、泥んこになっての作業になるなあと好人舎に着いたら、もうすでに芋掘りは終わっていて、鷹島さんや是永さんをはじめ、野菜公園のメンバーのみなさま、ほんとうにご苦労様でした。この感謝の気持ちを飯島農園の方や野菜公園のメンバーのみなさまに伝えられないまま、三陸に来てしまったので、このツアーの新しい魅力付け、工夫はないものかと考えながら、この2日間を過ごしていたんです。

 ここはもう最後のトイレ休憩サービスエリアですけど、今に至るも、三陸ツアー魅力アップのための具体的な工夫は見つかっていないんです。なにかヒントがあったはずなんですけど、言葉にしてお話しできないことをお許しくださいね。考える切っ掛けは確かにありましたから。

 これだけは言わせてください。今回は参加人数が少なかったので、良いことがなかったかと言うと、それは大違い。現地で私たちを持て成してくだすった伊藤さんや船に乗せてくれた遠藤さん、堤防の上でホタテとカキと、長谷川さんが『おお、尾頭付きの立派なサンマだ』と絶叫していた大きなサンマ、それに海から揚げたばかりのムール貝など、新鮮な海の幸バーベキューで歓待してくれた吉田さんご夫妻。こうした現地のみなさまとたっぷりおしゃべりすることが出来たこと。これが大収穫でした。

 参加人数が少ないと、一人当たりのおしゃべり時間が増えて、却って楽しいツアーでした。

 そうそう、一番最後になってしまいましたが、実はこれが一番大切なことかもしれません。三年が経って、伊藤さん、遠藤さんの表情が明るくなってると思ったのです。もちろん、カキ漁師の吉田さんもそうでした。私たちを歓待してくれて、こちらは恐縮するばかりでしたが、皆さんとても嬉しそうでしたね。人間って、気遣われているばかりでなく、自分が元気になって、まわりに何かしてあげられるということが、嬉しいんだと思うんです。元気の基本を見た思いがします。仕事が出来る、仕事がある、という状況をお手伝いするのは、私たちには彼らとつながり、彼らの生産したものを消費すること、なのかと思いました。この冬も三陸のカキとホタテを味わえる喜び。ああ、愉しい。

【飯島さんのコメント】
 だれがなんと言おうと、続けることが大切だと思っています。三陸支援で3年が経ちましたが、この先何年も続けられるよう、頑張ろうと。今回、一番印象に残っているのは、吉田さんご夫妻の作業場でいただいた海鮮バーベキューでしょうか。参加していただいた方々はもちろん、三陸のみなさまも、みんなステキな笑顔でかぶりついていましたよね。あの笑顔はなかなか見られるものではありませんし、それだけでもう十分。ごくふつうの笑顔が見られたということがなによりでした。そんなことを思い返しながら、長距離運転を細谷と交代交代で走ってこられました。遠藤さんも伊藤さんも瀧澤さんも、いままでどおり頑張っていて、明日からまた頑張って働こうと、そんなことを考えながら運転していました。一つだけ残念なのは、みなさんに掘っていただいたサツマイモ、内々の手違いで発送が遅れ、われわれが現地にいるうちに届く予定でいたのですが、届かなかったこと、かな。さあ、次が柏です。安全運転で行きましょうか。

【長谷川のコメント】
 帰路、トイレ休憩で車を止めたサービスエリアに入るたび、参加の5氏と立ち話をし、それぞれコメントをいただきました。これは大村さんも印象深くおしゃべりしていましたが、三陸訪問時の土産として、サツマイモを野菜公園のメンバーで掘ることになっていたにもかかわらず、集まりが悪かったのは、ひとえに広報担当の長谷川に責があります。今後は重々注意して参りますので、お許しください。その芋掘り当日は生憎の空模様にもかかわらず、飯島農園からはTさん、Kさん、野菜公園からは尾上さん、Tさん、金子さん、小林さん、川口さん、それに長谷川が参加して、約1時間ほどで作業を切り上げました。参加いただいたみなさま、お疲れさまでした。後日、飯島さんに確認しましたが、無事に陸前高田の区長・伊藤さんにサツマイモは届き、今まで通り仮設住宅にお住まいの方々に配られたと言うことです。毎回毎回の農産品ご提供、飯島さん、ありがとうございました。

 ところで、みなさまからのコメントを整理していて、5氏からいただいたコメントと重複していない一点だけを報告させていただきます。

 細谷さんも指摘していましたが、漁業フォーラム『復興と漁業の展望を探る』の会場に、時間に遅れて到着したものですから、主催者挨拶に続き「岩手県漁民組合の意義と小型船漁業者の全国的な組織をめざして」という二平章さん(北日本漁業経済学会会長)の基調報告、続いて、各地からの報告として、「地域をつなぐ千葉県沿岸小型漁船漁業組合の歩み」という鈴木正雄さん(千葉県沿岸小型漁業協同組合組合長)の報告が聞けず仕舞いでした。「原発事故と漁業について」という福島県相馬市の岩子漁業生産組合長の遠藤友幸さんの報告からわれわれは着席して聴講できたのです。

 着席時にいただいたフォーラム資料を見直していましたら、この聞き漏らした鈴木さんの報告資料がすばらしい内容でしたので、フォーラム終了後に、内容の確認を兼ねて鈴木さんにごあいさつに伺いました。

長谷川 鈴木さんの報告資料を拝見していて、冷静な自己分析に感動を覚えました。
鈴 木 とんでもありません。いつも冷静ではいられないんです。
長谷川 時間に遅れて、鈴木さんの報告は聞けなかったのですが、鈴木さんの報告資料を読みながら、房総半島の外海で大中型まき網漁業との紛争を避けるために、さまざまな操業調整がなされてきたこと、さらに、今の生活も大切だが、次の時代のことを考えて協議することなどの展望に加え、海の様子の変化や魚の資源減少など、小型沿岸業者が敏感に感じていたのだから、本来は真っ先に強く国へ意見具申しなくてはいけなかったという反省を添えていた点、ああ、真摯だなあと思った次第です。
鈴 木 この会に賛同した漁業者はきっと皆、同じ思いでいると思います。全国の沿岸漁業者は漁獲が減ってきていたことは敏感に感じていたし、なにかしなくてはいかんなあと感じていたはずなのです。そうしたときに、この呼びかけがあって、ここに来たのです。まずは全国の沿岸の漁師がお互いに連絡を取り合って、古く疲弊した国の制度そのものを替えなくてはいけないと思っているはずなのです。
長谷川 鈴木さんのフォーラム資料にありました「沿岸小型船団長会議」の図の説明で、これは確認しておかなくてはいけないと思い、帰りがけのお忙しいところ申し訳ないのですが、組合内で規約を決める基本として、『多数決だけで規約は決めない、その例として全体が16船団あった場合の船団長会議で、14船団が賛成で2船団が反対の場合、どうしても反対して納得してもらえない場合は、沿岸小型組合の役員が全員でその反対する船団に出向き、再度協議。お互いの意見交換をして理解してもらう努力をする』とありますが、そのとおりの段取りで物事を実行されているのでしょうか。
鈴 木 ええ、そのとおりでやっています。多数決は採用していないのです。「14対2なので、賛成多数でこの案は決定されました」とはしないということです。
長谷川 昔からですか。
鈴 木 はい。みなで決めたことはみなで守る。ですから、この約束に違反した組合員がいた場合、船団長が組合全員に対してこれこれの違反があったと申告し、その組合員は翌日、漁を休む。そうやって漁をしています。

 鈴木さんの話はもっと聞いていたかったのですが、この後、山田から陸前高田に移動しなければなりません。次の機会に鈴木さんの本拠地・千葉県勝浦漁港に出かけて改めてお話を伺うというお願いをして引き上げてきました。それにしても、むかし学校で習った「直接民主主義の基本」を見る思いでした。

 数に頼らない。
 多数決で物事を決めない。
 多数決の結果は議論している途中の理解確認に過ぎず、総意決定としてはならない。

 目の覚めるような集団規範が房総の沿岸小型船団で機能していたんです。このことを知っただけでも、ボクには大収穫でした。
by 2006awasaya | 2014-11-16 13:13 | 真剣!野良仕事