【真剣!野良仕事】[242=50センチ超クラスの肉厚ホウレンソウ]

2017.3.23(木)

肉厚で巨大!だから美味い!
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↑水洗いしてから正確に測ってみたら、ほとんどが50センチ超!

 船橋農産物供給センターが発行する「おいしい野菜通信」の42号(冬号)に、葉物野菜の生産者が集まって、ホウレンソウと小松菜について情報交換をする座談会があり、生産者ならではの目からウロコの情報が詰まっているんだけど、その中で、ホウレンソウ農家の渡邊さんがこんなことを言っているんです。
「ふつうは大きくなったホウレンソウは加工用に回るから、一般のお客さんの手に渡ることはないんだけど、あれ、本当に美味いのよ。なんとか一般のお客さんにも回るように工夫したいね」
 こんな一文に出会って、ああ、大きなホウレンソウを食べてみたいと思ったのです。

 流通過程で大きさ制限というものがあり、背丈が30センチを超えると取り扱ってくれないということ、フツウのお客さんは知らないだろうな。大きさについては、流通業界も生産者もこんな規格を厳密に定めているんです。それは、スーパーの陳列棚に並べた際の見栄えとか、流通の際のダンボール箱の大きさとか、透明な袋に詰められて出荷されるんだけど、その袋に入らないとか、様々な条件をクリアーするためには、畑で25〜30センチで収穫しないと、売り物にならない。
 だから茎がまだ細くて、少しの風にも折れたりしそうな子供っぽいホウレンソウしか店頭に並ばないことになる。栄養価とか、美味しさを云々する前に、まず大きさで選択され、大きいホウレンソウは畑で廃棄されるか、冷凍加工品として処理されるか。
 そんなこと、フツウの人は知らないだろうな。

 でも、本当に美味しいホウレンソウは、葉も分厚く、緑濃く、表面がピカピカ光っていて、茎もがっしり太く、根っこにあたりも紅色。背丈を測ってみると、40〜50セント。大きく育ったホウレンソウこそが美味い。農家の方々は知っているんです。大きなホウレンソウの方が断然美味いことを。
 でも、八百屋さんやスーパーには並ばない。決して入手できない幻のホウレンソウ。
 でも、何年かに一度、生産者もその年の天候具合を読み切れず、収穫時期に手当てしていた人の手配が上手くいかず、泣く泣く収穫を断念するとかいうことがあるんです。「自然相手の仕事ですから、そうなったらそうなったで致し方ありません」と、平然とした表情で言うんです。「すべては自己責任ですから」と。そしてすぐに平然とした表情を天に向けて顔を歪める。なかなか見られない数瞬の真実です。

 そしてあろうことか、収穫時期をオーバーし、背丈が50センチに巨大化した幻のホウレンソウがこの春先、一畝、ありがたいことに、ありえないことに残されていたんです。
 さらに幸運にも、その一畝を収穫して良いという許可が下り、本日、袋いっぱい、いただいてきました。

 ああ、美味い!
 本当に美味いホウレンソウだった。


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↑広い畑に一畝、残されていた!
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↑茎が太い、葉っぱが分厚い、緑が濃い!
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↑スパゲティに入れて食べたら、いやあ、美味いのなんの!
# by 2006awasaya | 2017-03-23 22:05 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[241= 絶品でした、枇杷ジュース]

2016.6.12(日)

我が家の枇杷はアジサイが咲く時期に収穫

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↑枝から実を外し、軽く水洗いを済ませ、さて、ジューサーに入れる下ごしらえ。右のボウルの実の皮を剥いたのが真ん中の鉢の枇杷。さらにタネを抜いたのがそのお隣。皮むきもタネ外しも、これが結構面倒でした。
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↑ジューサーに入れる前の枇杷とレモンとミカン。
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↑ゴリゴリゴリ、ウーンウンウンと、いかにも懸命に働いていますよとアピールしているみたいな、多少うるさく作業するジューサー。右のメジャーカップにジュースが、左のメジャーカップに絞りカス。絞りカスがたくさん出るのが玉に瑕。
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↑流通ビールではなく、コクのある地ビールのような濁り具合のフレッシュ枇杷ジュースの完成です。意外と言ってはなんですが、素直な甘さでした。ただし、枇杷独特の香りはなし。枇杷の香りを楽しむなら、絞らずに実のまま食べなくてはダメなんですね。


 樹になっている状態で完熟するまで待つと、香りも、味も美味しいのですが、熟れすぎて隣家に落ちたりするとご迷惑をかけますので、今日は梅雨空を見上げながらの収穫です。
 肥料もやっていないのに、毎年毎年実をつける我が家の枇杷です。植えてから20年以上経つのかな。ここ数年は白い花をつけると2カ月くらいで枇杷色も濃くなり、先日、ひとつ摘んで味見をしてみましたら、これが意外と甘かったんです。ちょうど南房総市のカメラマンさんから頂いた市販の枇杷に比べたら、適度にイジケた大きさですが、実の全身を覆う産毛もいい感じで、一気に収穫してしまいました。
 まあ大変。大変でした。収穫作業も大変でしたが、その収穫量。大きめのボウルに山盛り5つ。ジャムにするにしても、使う砂糖の量を考えるとぞっとします。
 そうだ、リンゴの季節にはあれほど頑張ったジューサーを思い出しました。最近はほとんど出番がなく、台所の片隅に置いてかれたまま。そうだ、ジューサーでジュースにすれば、ガンガン飲める。実は、例年は半分以上を、もったいないと思いつつ、生ゴミとして処分していたんです。そうだったか、ジュースにすれば、1週間は保ちそう。
 早速、実を枝から外し、皮をむいて種を取り除き、ミカンとレモンも一緒にジューサーに投入。大き目のボウル2つで紙パック牛乳1本分はありそう。
 で、お味の方ですが、素直な甘さ。でも肝心の枇杷の香りはどこに行ったのかな、柑橘系を入れすぎたみたいです。でも、まだボウルに2つありますから、今週は梅雨入りしたこともあるし、枇杷ウイークって感じで楚々と過ごすことにしましょうか。
# by 2006awasaya | 2016-06-12 19:00 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[240= 「Jazz in 竹林」のポスターが出来上がりました]

2016.5.6(金)

第9回 薫風コンサート情報1

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↑これが第9回 薫風コンサートのポスターです。
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↑これが第9回 薫風コンサートの裏面案内です。
 第9回 薫風コンサートのポスターが出来上がりましたので、まずはお披露目。

 例年のポスターは、竹林を背景に、出演者などを写真で紹介してきましたが、今回はデザイナーの吉野貴博さんに、ビジュアルデザインソフトillustratorを使って原画を描いていただき、ポスターに仕上げました。

 もともと、吉野さんのお母様とは、飯島農園のハーブ園で顔見知りでしたが、何やかやのおしゃべりをしていました折り、「エ! 吉野さんの息子さんって、デザイナーさんだったんですか! まあ、一刻も早くお近づきになりたい。近々、畑に立ち寄ることはないんでしょうか」などというメッセージ交歓をした翌日、当の吉野さんからmailが着信して、即日、メル友になり、「竹林、jazz、コンサート」という三題噺でポスターを作ってみませんかと提案したら、「ええ、是非是非」ということになったのです。

「あのー、後出しジャンケンみたいなんですが、ギャラがないんです。いわゆるボランティア。その代わり、その代わりと言っちゃあなんですが、実はコンサート当日、ボクは生ビール販売の担当なので、吉野さんには多めに泡を注いだり、泡が嫌なら泡無しで目一杯ナマを注ぐことはできるんです。いやいや、待ってくださいよ。たとえビール販売担当とはいえ、チームで動いているので、ボクの身勝手で自分勝手な振る舞いを、快く思われない方もいらっしゃるかもしれませんので、コンサート関係者による連絡会議で、『ノーギャラでは制作意欲も湧いてこないでしょうから、生ビールの飲み放題ということでメンバーの皆さんに承認を受けたいと思いますので、そのような対応でよろしいでしょうか』とメンバー全員の承認を求めてきますので、そんな条件でいかがでしょうか」

 そして後日、畑の連絡会議にて、「ギャラに替えて『生ビールの飲み放題』という提案を吉野さんにしたのですが、この件、お許しいただけますでしょうか。取り急ぎ、この件、ご承認いただけますでしょうか」とメンバーの面々に申し上げ、「ま、既に約束をしてしまったこと、今更目くじらを立ててもなんだし、了承するしかないか」ということになり、その旨、吉野さんに連絡を入れたところ、電話口で「あはは」という言葉にならないお返事。

 よほどに嬉しかったのか、呆れたのか。確認できぬまま今日に至っていますが、そんなこんなの顛末で出来上がった今回のポスターです。

 畑の仲間の阿部さん曰く、「吉野さんには、飲み放題ワッペンとか、飲み放題チケットみたいなものを作ってさしあげた方がいいんじゃないでしょうかね」という私的なヒソヒソ話があり、この件は今後コンサート当日までに解決するとして、まずは第9回薫風コンサートの途中経過でした。

 コンサートは6月5日(日)13:00から、飯島農園竹林にて開催です。
# by 2006awasaya | 2016-05-06 19:12 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[239=元禄当時のネギ、うまし]

2016.3.6(日)
果報は寝て待て

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大半は収穫済みのネギ畑。写真奥に未収穫の畝が見えます。あれれ、こんなちょっと!
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ところが、近づいて見てみると、いやあ、もの凄い量のネギです。スコップが立っているところからネギが植わっているところまで、約2メートル弱を抜いてきましたが、それだけでも凄い量です。重量を量るの、忘れてしまいましたが、約2メートル弱のネギは、30kgのお米を入れる紙製の袋に一杯でした。

「果報は寝て待て」と言いますが、本気で寝入ってしまい、ああ、よく寝たと、寝ぼけ眼をこすりながら、さて、肝心の果報ってなんだったっけ?ということも、最近は結構あるんです。「焦らずに、静かに時機が来るのをじっと待つ」というのが本意にもかかわらず、うつらうつらと寝入ってしまっては、いやはや情けない。
 およそ半年前の炎天下に、ネギの草取りをして、[231=ネギの草取り]として2015年8月3日にアップしたのです。そのご褒美をじっと静かに、立派なネギになるまで、とにかくじっと待っていたにもかかわらず、スコンと忘れてしまって。
 先日、飯島農園の檜山さんから、「早くしないと、あのネギ、無くなっちゃうよ」と言われ、「そうそう、そうでした、忘れたわけではないのですが」と、少し強がりの返事をしたのですが、内実は忘れていたのです。寝ている間に忘れていたのでした。
 そこで、急ぎいただきに上がらなくちゃと、昨日の土曜日に畑に行ってきたんです。
 なるほど、畑にはわずか1畝を残してキレイに収穫済みでした。
 でも、しっかりご褒美は残しておいていただいていたのです。
 嬉しいですね。心ほろほろしてきます。
 あの暑い夏の日、2リットル入りのボトルをゴクゴク飲み干して、全身汗水漬くで働いたご褒美は、畝の長さに換算するとおよそ5メートルくらいでしょうか。とりあえず2メートル弱分を掘ってきました。
 そして一日置いた今日日曜日の夕飯は、ネギをたっぷりいただくお鍋にします。外を見ると、小雨も降り出し、寒さも帰ってきています。夕飯の準備の前に、葱が大好きな芭蕉さんはどんな味わいを句に詠んでいるのでしょうか。
 さっそく加藤楸邨先生の『芭蕉全句』を開いてみたら、ありますね。

葱白く洗ひたてたる寒さかな

 元禄四年の冬の句会でとあります。葱と書いてネブカと読むそうです。水で洗っての白さではなく、寒さゆえの白さだというところにこの句の味わいがあると楸邨先生はおっしゃっていますが、今夜のネギは元禄当時と全く同じ無農薬のネギです。雑草を生やさないために、苗の植え付け時点ですでに畝の底部に農薬を散布するのが当たり前となっている現代農家産の極普通のネギと比べたら、全くの無農薬で作る飯島農園のネギは貴重で、それゆえに高価な農薬がなかった江戸期と同じだと言ったので、手がかじかむ寒い外の水場でネギを洗わずに済むだけありがたい。さあ、存分にいただきましょうか。
# by 2006awasaya | 2016-03-06 18:48 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[238=終わり善ければすべて佳し]

2016.3.1(火)
ニンジンとダイコンのマゼコゼ切干し

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↑畑のお仲間というか先輩の坂本さんから頂いたニンジン、ダイコン入り混じり切干し。乾燥が効いていて、ふんわり軽く、ダイコンとニンジンの香りも豊か。さっと水で戻してそのまま調理できる。ああ、嬉しい頂きもの。
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↑頂いた切干しを水で戻し、房総に行った折、道の駅ふらりで買ってきたヒジキも水で戻して小さな鍋に混ぜ、冷蔵庫の奥の方に隠れるようにあったさつま揚げを細かく刻んで煮込んでみました。常備菜としてはなんともご機嫌な出来上がり。翌日は味もしっかり滲みていて、レンジで30秒チンするだけで、ビールの肴にも極上でした。坂本さん、お礼が遅れましたが、今後ともよろしくご贔屓ください。


 切干しを頂いた坂本さんは、「あたりまえの自然の素晴らしさ、それを維持することの難しさ。町や世相の小さな変化、そんなセンサーを研きたい」という意志を持って「自然って ことは」というタイトルのブログを開いている学級派の農耕人です。昨年末になりますか、「今、切り干し大根と切干しニンジン作りに大忙しなんですわ。この寒さ、この北風の強さに世間様は縮こまっているでしょうが、むしろ感謝しているんです」と、多少強がりのコメントを書いていたことがありましてね。
 ちょうど、こちらは風邪で寝込んでいた時期でしたので、「歯の根も合わぬほどの寒風に晒された切干しなら、さぞや極品でしょう。出来上がったら、ほんの少しで構いませんからいただけませんか」とコメントをつけたのです。
 すると、「出来上がりを待つべし」とリターンがあり、それが先月下旬、ある会合でご一緒した折に、「いつか頂戴って言ってたあの切干し、持ってきたから」と、手渡されたのでした。大きなビニール袋いっぱいに、ニンジンとダイコンの切干しがほぼ半々割のミックス状態で、ごそっと入っている。

長谷川 いやあ、こんないっぱい頂いちゃって!ありがとうございます。これだと相当長期間、食べ続けられますね。いつも、切干しを作る量が少ないので、すぐになくなっちゃう。こんなに沢山頂くと、嬉しさもひとしお長続きしますね。
坂 本 ダイコンの切干しは畑の皆さんも自作しているでしょうが、ニンジンの切干しって、皆さん、そうそうは食べたことないでしょ。乾燥させると甘みが一層強くなるのか、我ながら旨いなあと思います。
長谷川 ええ、ニンジンの切干しって、実はボク、坂本さんに教えられるまで、全く知りませんでした。えっ、なにそれ!状態でしたもん。しかも、ダイコンとニンジンがマゼコゼ状態になってると、いちいち混ぜ合わせる手間も要らないし、いきなり調理というか、水に漬けてしばらく時間を置けばすぐ煮始めればいい。なるほどと思いますよ。一体全体、誰がこんな工夫をしたんですか。坂本さん、でしたか。
坂 本 あはは。全くの偶然なのよ。それまではダイコンはダイコン、ニンジンはニンジンと、別々に干していたの。それで、乾燥が終わって、取り込む段で風をもろに受けて混ざっちゃっただけなの。でも、結果はそれが正解だったんだけど、混ざっちゃった時は、正直、あれれ、どうしよう、元どおりに選り分けるのは大変だ、どうしよう、どうしようって、作業に当たっていた全員が途方に暮れて、でも、これはこれでいいんじゃないという慰めというか、優しい執り成しの意見もあり、その時はそのままマゼコゼの一部を各人が持って帰り、自宅で料理してみたってわけ。で、切干しの煮物をやってみると、手間いらずだってことが実感できた。
長谷川 結果オーライってわけですね。
坂 本 う〜ん、そう言っていいのか。
長谷川 失敗は成功のもと、でしょうか。
坂 本 う〜ん、かすっているけど、微妙にずれているような。
長谷川 失敗は成功の母、という言い方だと、何かの発明品かということにもなりそうで、単に混ぜて後々の工程を便利にしたにすぎなくもなく。
坂 本 やはり、終わり善ければってところでどうでしょう。風のいたずらなんですから。
長谷川 ということは、結果オーライってことで。

 そんなこんなの問答を交わし、ありがたくマゼコゼの切干しを頂いて、早速作ってみたんです。そしたら、ニンジンの甘いこと。来年あたりは、各地の農産物直売所でも流行りそうな気配がしてきました。
 これから、切干しの煮込み以外に、半生に戻してからかき揚の天ぷらがどんな具合になるのか、近々試して、美味いか不味いか食えないかの報告をすることにしましょう。
# by 2006awasaya | 2016-03-01 20:53 | 真剣!野良仕事