【極論に走る】

 最近、船橋の農家の方と知り合いになった。
 農家の方は季節の先を読みながら、収穫時期から逆算するように野菜の種をまき、植え付けをし、除草をし、イメージどおりの収穫を迎えられればいい笑顔。そんな『冬は春を思い、春は夏を思い描きながら」仕事をしているということも、ほんのり分かって来て、ますます農業へ関心が増して来た。
 本屋さんに行っても、webで流していても、視線はたえず農業方面に行く。
 で、気になった点をすぐに聞く。
 たとえば、1101新聞で糸井さんが感激的にすすめている「永田農法」について、果たして本当のことなのかを聞いてみた。
「水も肥料もやらない方がおいしい野菜ができるって、ほんとうですか?」
 質問した途端に否定されると思っていたんですが、あっさりうなずかれてしまった。
「ええ、見なりは良くないし、収量も落ちるけど、おいしい野菜ができますよ」ですって。
「じゃあ、なんで農家の方はおいしい野菜ができると分かっていて、永田農法でやらないんですか?」
「永田農法のこと、ほんとうに知らないの?」
「ええ、なにも。だって、農家の仕事って何も知らないんだもん。畑に植わっている葉っぱを見て、ああ、これはジャガイモ、これはサツマイモ、これはニンジンでこれは小松菜なんて言えるヒトに憧れいるだけで、地面の中で何が育っているか、チンプンカンプン」
「そうなんだ、ほんとに知らないんだ。農家のことも永田農法のことも」
「ええ。で、どうして永田農法を採用しないんですか?」
「簡単なことなんだ。一回こっきりで終わらせるわけにはいかないからね、農家は」
「え、どういうこと?」
「スパルタ式って言われているでしょ、永田農法は。水も肥料も与えない方が、野菜自身の力で、自分の根をしっかり延ばして、自分の延ばした根で栄養を吸収して、例えばトマトなんかは小振りながら、美味しいトマトができる。でも、土がどんどん痩せていって、すぐに行き詰まる。一回こっきりで終わらせるわけにはいかないと言ったのは、そういうことなんです。安定的に供給すると言う使命みたいなものが今の農家には課せられているので、一回こっきりの野菜作りはできないし、ぼくら農家は、そんなことしないの。分かる?」
「なるほど。英才教育かスパルタ教育かと極論に走りたがるのがシロートなんですね」
(Hasegawa)
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by 2006awasaya | 2006-03-29 19:25 | 船橋


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