【真剣!野良仕事】[192=1000粒、カウントしました!]

2012.10.24(水)
千粒重、ジャスト20gでした
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↑10粒の列が100列。左はカップ1の玄米。
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↑1000粒を数え終わり、計量しましょうか。
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↑計量計にお皿を載せて、目盛りを0に合わせます。
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↑1000粒の玄米。

 畑には、ほんとうにタイプの違ういろんな人がいましてね。そのなかで、何事も自分でデータをとって確かめずにはいられない方がいるんです。坂本さんと言いましてね。
 その坂本さんが独り言のように言うんです。昨年のことです。

「一等米の評価について聞かれたことがありますか。私、以前魚沼の専業農家を訪れた時、ブランドの信用保持のため、ここまでやっているのかって驚いたことがあるんです。玄米の形、たとえば長さと巾と厚さなど粒厚の出荷規格は確か1.8〜1.85mm、千粒重22g程度、チッソは確か1.2%以下などなど、このほかにまだまだ細かな規格があったと思います。5年ほどまえのことです。産地間の競争力、信用力を維持するのは米づくりの世界でも大変なことになってきたなあと実感しました」

 昨年の秋、ボクの米づくり3回目の収穫が終わった時期でしたが、米づくりもいよいよ産地間競争が激しくなって、専業の米農家にはさらなる探求心と研究心と創意工夫が求められるんだなあと。それに比べて、ボクのような遊び感覚でお米を作っているものはこれでいいのだろうか、もっとシャンとしなくてはいけないのではないかと、襟を糺したものです。
 糺したはいいのですが、その独白のなかに「千粒重」という、まったく聞いたこともない言葉が挟まっていて、忘れないようにメモして自宅に戻ってから調べてみました。

【世界大百科事典第2版】
せんりゅうじゅう【千粒重 thousand‐kernel weight】 穀類や豆類の種実1000粒の重量。種実の登熟の良否を判定するのに用いる。イネの場合玄米で19〜23g、コムギの場合玄麦で30〜40gの範囲であることが多い。千粒重は作物の諸形質の中では,比較的環境条件による変動が少ないもので、品種固有の特徴を強く表すといわれるが、登熟時の条件によっても変動する。例えば、登熟の適温より高温の場合には、登熟の速度は早まるが、登熟の終了する時期も早まり、結果的には小粒になる。

【大辞泉】
千粒重(せんりゅうじゅう)とは、農学、農業、あるいは流通において、子実を用いる農産物などの品質を決める指標の一つで、文字通り、子実千粒の重量を示したもの。通常グラム表記にする。
米の場合、玄米の状態で測定する。
例えば、
酒造用でも、とくに大粒になる品種(山田錦など)で28g前後
通常の酒造用(五百万石や美山錦など)で26g前後
精米用(コシヒカリやササニシキ)で22g前後
となる。

 さらにネットで調べると、産地間でこんなにも千粒重が違っていることに気がつきました。

 農水省農蚕園芸局「県別水稲奨励品特性表」から各産地の千粒重をピックアップすると、
  新潟コシヒカリ20.5g
  茨木コシヒカリ21.5g
  栃木コシヒカリ21.1g
  福島コシヒカリ21.4g
  置賜コシヒカリ22.5g
  千葉コシヒカリ20.4g

 さらに、ネットで千葉県の農業試験場ページに入り、「千粒重」のワードで検索すると、坂本さんが言っていたとおり、温暖な千葉県が国内の産地間競争を生き抜くために、さまざまな試行が報告されていたのです。
 そのなかで千葉県農業試験場研究報告(斉藤研二氏と深山政治氏の共同論文)がボクのような素人にも理解しやすい報告書でまとめられていて、大いに参考になりました。
「『千葉県産米の千粒重と粒厚分布の実態およびその向上対策』」)という表題のレポートですが、結論はつぎのような4点を実証しながら、5のように集約していました。ぜひ読んでみてください。

1=千葉県産米は千粒重が軽く、粒厚の厚い米の割合が少なかった。玄米水分は全国平均を下回っており、
過乾燥気味であった。
2=千粒重は気象条件によって変動したが、最も影響が大きかった条件は幼穂形成期〜出穂期の平均気温にあった。
3=面積当たりの籾数が同じ場合、穂肥施用は穂肥無施用より千粒重は0.5〜1g重かった。
4=過乾燥によって千粒重と収量が低下した。
5=1から4の結果から、肥培管理と乾燥調整作業を中心とした千粒重と粒厚の向上対策を明らかにした。

 うーん、いろいろな研究が米づくりをサポートしているってことが判ってきて、さて、ではヒマに飽かせて、正確な千粒重をカウントしてみることも意味があることではないかと、今年5回目の成果を米袋から炊飯器の1カップ分、すくって机の上に。

 ひい、ふう、みい、ひい、ふう、みい、ひいふうみいよ、で10粒。
 ひい、ふう、みい、ひい、ふう、みい、ひいふうみいよ、で10粒。

 ピンセットで選り分けていて、この作業って、とんでもなく退屈であることが判ってきたが、10回繰り返して、100粒をカウントするのに1分30秒かかることが判った。ということはその10倍の10分で決着がつくのならありがたいことだと思いながら、ひいふうみい、とカウンターマシーンになったつもりで、頭の中ではもっと別なこと、例えばいま学習中の韓国語の単語を一つでも多く覚えたほうが有益なのだがと迷っている、なんとも不思議な10分間。
 A4ペーパーに10粒の列を100列並べおわった。
 カウントを始めてから正確に9分30秒。半分に割れたお米が多いのに驚いた。
 それから、いま食べている山形産つや姫が大きいことに改めて驚いたのでした。

 1000粒をカウントし、計量計に乗せ、さて、何グラムか!
 3回量り、3回とも20gでした。
 うーん、千葉県の米農家が出荷するコシヒカリの千粒重20.4gに0.4g足りません。やはり。

 この結果をふまえ、12月の田んぼ総会にて、来期の課題を明確にしたいと思います。
課題1=無肥料無農薬で作っているにもかかわらず、病害虫などに弱いコシヒカリを作り続けていいのか。背丈の低い、倒伏に強いおいしい品種は何か。
課題2=いままでは無肥料で作ってきたが、幼穂形成期〜出穂期に肥料を施し、せめて粒厚がしっかりとあり千粒重22g超のお米を収穫。
 この2点を満足する米づくりに励もうと思います。
by 2006awasaya | 2012-10-24 16:41 | 真剣!野良仕事


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