【真剣!野良仕事】[201=真球の大玉タマネギ]

2013.6.5(水)
タマネギの原産地は中央アジアでした

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↑2013年6月3日に収穫した大玉タマネギ。直径9.5センチ、高さ9センチ。これが230球!

 どこを調べても原産地は「中央アジア」でした。タマネギ苗を定植した時点での調べでは、原産地は「ペルシャ」とあり、その乾燥した原産地を思い起こしてもらうには、生まれ育った土地に響き渡る音楽を聞いてもらうのが一番と、イランのイスラム教会で流されているコーランをネットで入手し、これをiPhoneに入れ、タマネギ畝で流し聞かせていたんです。

 昨年の11月中旬に定植し、活着した下旬にコーランを聞かせ、お陰様で天を突くようにすくすくと育ち始め、イスラム教会の尖塔にも似た天を突く尖りぶりに、ああ、ふるさとを思い出したにちがいないと、畑に出向くたびにコーランを聞かせてきました。

 今年に入って1月28日に降った大雪で、天を突く剣先が雪の重みで圧し折れ、なかには凍ってしまっている苗もあり、このまま放置しては過酷な環境に心も折れかねないと、慌ててトンネル掛けをしたのでした。

 トンネル掛けをした翌週、またふるさとの音楽でも聞かせて元気付けをしようかと思いましたが、でも待てよ、コーランばかりでは規範規律に厳しく、妙に背筋ばかりを伸ばした辛みが鼻腔を突き、肝心の甘味が欠如したタマネギになってしまうかもしれぬし、さらには八百万の神々が住まうこの日本の多神教世界への興味を失ってしまうかも知れず、第一、感情を抑え込んだ旋律のコーランそのものに飽きているかも知れず、さらにまた、田んぼの仲間に「コーランタマネギ栽培中」についておしゃべりした折り、「長谷川さん、もし、もしですよ、タマネギの原産地がペルシャだとしても、イスラムが興るずっと以前の記憶しか持っていなかったとしたら、コーランはその後に入ってきた異教徒の音楽として、案外迷惑顔で耳を塞いでいるかもしれませんし、もう一度原産地の確認をしておいたほうが懸命かもしれませんね」と、そんな根源を揺るがすようなアドバイスをいただいたこともあり、ボクの中では疑いなき定説となっている「タマネギ=ペルシャ原産」説をもう一度改めて見直してみようと思い至ったのでした。

 こうした調べものをするには、いまはネット検索でずいぶん、便利になったものです。ひと昔前でしたら、まずは大型書店に駆け込み、次に図書館の書棚を歩き、ついには目的の書籍に出会えぬまま、肩を落として帰宅するのが常でしたが、パソコンで検索ワードをキーボードで打つだけで、だいたいのことは調べることが可能なんですから、まったくありがたいものです。

 さて、ネット上で公開されているページを検索した結果、なんとしたことか、タマネギの原産は「中央アジア」が大多数だったのです。まことに浅学薄学で申し訳ありませんでした。でも、中央アジアというエリアにはいま、どんな国家があるのか、もう一度ネット検索してみると、「広義には、東・西トルキスタンのほかに、カザフ草原、ジュンガル草原、チベット、モンゴリア、アフガニスタン北部、イラン東部、南ロシア草原を含み、〈内陸アジア〉とほぼ一致する。これに対して狭義では、東・西トルキスタンのオアシス定住地帯のみを指す」とあります。

 うーん、オアシス定住地帯かあ。そうか、シルクロードの音楽を聞かせてあげれば、結球しつつあるいま、ふるさとを思い起こしつつ、さらに大きく成長してくれるに違いないと、手持ちのCDから「喜多郎」「草原のチェロ/モンゴルの馬頭琴」「オスマンの響き」からそれぞれオアシスっぽい音源をiPhoneに移し、畑に行って小一時間、聞かせてから帰宅。さらに「シルクロードのオアシス」「東トルキスタン」を検索ワードで、東・西トルキスタンとはどのあたりなのだろうと、さらにネット検索をつづけると、「新疆ウイグル自治区」と名前を変えて出てきた。

 なるほどそうか、中国人民解放軍による周辺諸国への侵略だったのか。ダライラマが亡命政権を点々と遷す「チベット自治区」についてはかつて若干ながら調べたことがあり、その非道は天安門事件の比ではないが、ローマに通じたシルクロードの中継都市国家であった楼蘭か。東トルキスタンが領土拡張の犠牲となっていたこと、迂闊にも無知のままでした。まったく、タマネギの原産地捜しどころの話では済まされず、丸一日を費やして調べまくっていましたら、とんでもないページに突き当たってしまったのでした。

 日本への原爆投下以前の核開発段階から東西冷戦が終結するまでの各国の核実験・核爆発が地球のあちこちで頻繁に実施されていて、核実験核爆発が行なわれるたびに、全地球マップにパッと発光する不気味な世界地図に突き当たったのでした。1年ごとの時間軸で1945年から1998年まで、地球各地で発光をつづける世界地図。イギリスはオーストラリアの砂漠地帯で、フランスはアフリカのサハラ砂漠で核爆発を実行していました。自国の領土ではなく、ともに帝国主義的な拡張手法で手に入れた領土で。核爆発の実行回数はアメリカ、ソビエトが最も多いですが、なかでも中国が行なっていた核実験が、新たに獲得した東トルキスタンのロプノール周辺で行なわれていたこと、また、中国政府公式発表ではこのロプノール周辺で46回の実験と発表しているが、この数字は実際には50回以上に及ぶと推定されていることなどが説明されていて、恐ろしいばかりの健康被害をこのエリアに暮らす人々に及ぼしていることなどの情報があふれ出してきた。
 ここまでお付き合いくださったのなら、この(「1945年から1998年までの核実験」)のブルー文字をクリックしてみてください。
 暢気にタマネギの原産地捜しをしている場合ではないことがご納得いただけると思いますし、ああ、この日本が天安門事件の国でなかったことに安堵するばかりですが、そんなこんなで、5月中旬は「モンゴルの馬頭琴」をメインに、「喜多郎」と「オスマンの響き」をたっぷり聞かせ、下旬になってシマさんのタマネギの成長具合をチェックしながら、草取りに励んだのでした。

 5月の最終週になると、シマさんのネギは地上の葉っぱが圧し折られています。あれれ、どうしたんだろう。
 畑のビニールハウスにシマさんがいらしたので、さっそく確認です。ありがたいですね、わからないこと、疑問に思ったことがすぐに聞ける環境って。

長谷川 お忙しいところ、申し訳ありません。ちょっと教えてください。タマネギの地上部が折られていますが、どうしたんでしょうか。
シ マ 肝心の玉に栄養が溜まるように、葉っぱは折っておくんです。
長谷川 ボクのタマネギなんですが、玉を見ると、大小があり、成長の具合もまちまちなんです。それでも折ったほうがいいんでしょうか。
シ マ 極端に小さな玉は別ですが、この時期、一斉に折っておけば、玉も大きさが揃ってくるんです。葉っぱが茶色く枯れてきたら、収穫してもいいっていう目安ですから、日陰の風通しのいいところに吊るします。半年はもちますよ。ずいぶん昔のことですが、子どもと北海道旅行に出掛けた折りに、一面のネギ畑のヨコを走っていたんです。そのネギがみんな、葉っぱが折れていてね。なんてかわいそうなと、車を止めてもらって、よく見たら、タマネギだったんです。その時、そうか、タマネギはこの時期に葉っぱを折って玉を太らせるのかと。
長谷川 さっそくボクの畝のタマネギ、葉っぱを折っておきます。
 
 6月3日(月)、葉っぱを折って1週間が経ちました。うーん、いい感じ。地球と同じ真球のタマネギが並んでいます。地球は戦後、核爆発やら人口爆発から海洋汚染などでずいぶん苛められたけど、どれどれ、とりいそぎふるさとの音楽を聞いてここまで健やかに育ったタマネギよ、おいしくなったかな。
by 2006awasaya | 2013-06-05 15:04 | 真剣!野良仕事


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