【真剣!野良仕事】[235=ワカメ養殖の現場を見学]

2015.11.30(月)

ワカメ養殖の現場を見学
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↑海中に漂う養殖ワカメです。冬の光を受けながら、光合成を繰り返し、立派なワカメになっていくんですね。透明な海でした。

 越喜来湾の漁師・遠藤さんとfacebookで繋がっているので、仕事場としての三陸の海の様子がアップされると、ポーンという着信音の合図とともに、すぐに閲覧できる。全くありがたいことです。直線で大船渡と船橋は600km離れているのですが、クリックして開くと、なんて美しいんだろう、三陸の海。まったく便利な世の中になったものですね。

 で、11月7日の20:45に着信音がポーン!

 遠藤さんの三陸漁師リポートがfacebookに。
 開いてみると、そこには初めて見る写真がアップされていた。
 あれれ、なんだなんだ、この縄暖簾のようなものは。一体全体、何なのかしら。

 コメントを読む。ワカメの養殖がスタートしたらしい。縄暖簾のような縄の一本一本に、ワカメの胞子が埋め込まれていて、その縄暖簾が海中に仕掛けられ、やがて海中で成長を続け、あの絶品三陸ワカメとなっていくらしい。TBSのBSで放送されている情熱大陸という番組中に、「遠藤さんも写っていましたね」なんて書き込みもあり、今まで知らなかった世界に俄然、興味津々。「ボク、ワカメの養殖現場、初めて見ました。明後日伺いますので、ぜひ見せてください」なんて書き込みをしてしまったのです。

 Facebookにアップされていたその「縄暖簾」写真をここにピンナップします。
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↑これです。雨に濡れた縄暖簾って感じ、したんですが、他に喩えが見つからなくて。

 そうか、ワカメって、こんな縄暖簾(これを「ワカメの種糸」と呼んでいる)のようなロープにワカメの種というか、胞子を付けて養殖しているのかと、ぼんやりながら想像することができました。木材の製材で出るオガクズに椎茸の菌を植え付けて育てる「菌床椎茸の栽培法」にどこか似ているかも。

 ネットで「ワカメ養殖」を検索すると、作業のサイクルが分かる「ワカメの一生」というスケジュール図がありました。
 遠藤さんのところのワカメは11月からの「本養成」に差し掛かった時期でした。
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↑ワカメはこうしてできるの図(三陸ワカメ生産組合のホームページより)

 話は変わりますが、三陸の漁業者には、3.11 の震災を契機に、より正確に漁師の現況を発信している方が多く、そうしたブログを読むだけでも大変勉強になりますが、ボクはそんな幾つかの優れたブログの中でも「防波堤は壊れても〜たろうの海〜」を比較的よく覗きに行くのです。

 2014.01.29に「ワカメの種糸」とのタイトルでアップされた記事を読んで、一層、このブログを注視するようになりました。

 それは、3.11 で被災された漁業者に、ワカメの種糸を譲り受けに訪ね歩く一文なんです。とにかく、何もかもが津波でもっていかれてしまったわけですから、ワカメ養殖を再開しようにも、作業小屋にあった道具から網などの一切合財がなくなってしまったわけで、「一から出直す」というモノの喩えがありますが、三陸では「ゼロからのスタート」なわけです。

 津波の被害を等しく被りながらも、比較的高台にありながら、養殖漁業の継続をされないお宅は、当然のことながら重要な働き手を失ったわけで、漁業再開をしたいので、被災から免れていた養殖用具を譲ってくださいとは、なかなか言い出しにくいわけです。

 ブログにはその辺りの、頼みにくい状況と思い遣る心情が克明に描かれていて、さもありなんと頷くばかりです。

 例えばこんな具合です。
 漁業継続しようにも、ワカメの種糸がなければ始まらないわけで、ある漁業者のお宅に種糸があるかどうか、あるなら分けていただくことができるのかどうか、お願いに行くと、津波で行方不明になった漁業者のお母さんが出てきて、
「息子の形見のような気がして、本当は譲りたくはないんだけど、でも、養殖の皆さんが困ってるんだろうし、漁協のためなら譲りますよ。いいワカメを作ってください。でも、記念に2〜3枚、残しておいて頂けますか」と。
 よほど几帳面だったのか、綺麗にたたまれた種糸を見て、ただただ頭を下げてもらって帰ってきた。
 そのように書かれていました。

 現場の漁師さんは、ワカメの種糸を探し回ってあの震災の年以降、漁業再開したのですね。

 ところでその種糸がどんなものなのか、遠藤さんの船でワカメ養殖の現場に案内していただき見てきましたら、やはり縄暖簾そのものでした。縄の材質はシュロで、一定の長さに切り揃えて暖簾状にし、その暖簾をワカメの胞子をとったプールに漬け、胞子が発芽してやがて若葉のような幼葉を確認したら実際の海へとセットするのですが、遠藤さんが「ワカメは3ヶ月から4ヶ月でお金になるから、全くありがたいんです」とおっしゃっていました。主力であるホタテもカキも仕込んでから出荷できるまで2年から3年はかかることを考えれば、ありがたいという呟きは真実そのもの。
 
 では、以下に、越喜来湾の崎浜港を出航してからワカメの養殖現場までをカット割りで見ていただきましょうか。
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↑出航準備中の第五崎浜栄丸です。
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↑積み上げられたテトラの奥に、新たに建設中の堤防です。
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↑遠藤さんのワカメ養殖の区画に到着して、目印の浮き玉下のロープを引き上げるところです。
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↑ワカメは結構浅いところで漂うようにセットされています。海面下1メートルくらいだったでしょうか。あまり深いと太陽光が弱くなり、いいワカメになりません。
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↑ロープには、こんな具合に、ワカメの種糸が縄暖簾状態で吊り下げられていて、人の力では到底引き上げられませんので、ウインチで引き上げていきます。
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↑生育の具合をチェックする遠藤さんです。「うーん、種がいいと、いいワカメになる。今年も楽しみだ」と遠藤さん。

 この後、間引きをして、来年春には収穫が始まるので、美味しいワカメが味菜畑で買えるだろうし、また楽しみだ。

 ワカメの見学を終えたところで、遠藤さんから、「最近導入した新兵器、見ていきますか。今、瀧澤が近くでその作業中なんです。見ていきませんか」と提案してくれる。ワカメの現場同様、見たかった現場でした。

 確か11月早々に、遠藤さんのfacebookに新兵器の「洋上ホタテクリーナーを船上に取り付けた」とアップされた記事があり、機会があれば是非とも見てみたい作業だったのです。真剣!野良仕事の過去の号、[212=三陸通信5●第2回三陸懇親会報告]でも説明したしたが、養殖現場の海から引き上げたホタテは、フジツボやクラゲなどで貝殻が覆われていて、鉈のような専用の包丁でそれらの付着物をこそげ落とすのです。農家のバックヤード仕事同様、消費者の目に触れないところで、農産物も魚介類も、大変な作業を経て売り場に出回るんだと、感慨一入だったことを思い出しますが、その大変厄介な作業を洋上で済ませることができるというのです。
 遠藤さんの説明によると、6月に耳吊りしたホタテを一本一本、船上に取り付けたこのクリーナーに通すことで、ホタテの貝殻に付着しているフジツボなどをクリーニングしてくれる機械なんだそうです。ブラシや鉈などでこそげ落とすのではなく、汲み上げた海水を高圧で噴射してクリーニングするんだとか。しかも、このマシーンを通して貝殻をキレイにしておくと、ホタテ自身の成長にもいい効果があるということが書かれていました。
 その現場に案内してくれるというのです。

 洋上を移動すること10分。瀧澤さんの船が見えてきました。
 では、その洋上クリーナーの稼働ぶりを写真で紹介しましょう。

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↑瀧澤さんの船です。クレーンでホタテの釣り下がっているロープを引き上げて、何やら作業をしています。基本は操船から洋上作業まで全部一人の作業なんだそうです。
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↑船縁に付いているのがこの洗浄クリーナーです。ホタテが吊り下げられたロープを円形の回転ドラムで巻き上げ、その円形ドラムの奥にある洗浄ルームで高圧の水流を噴射しホタテ貝を洗浄。斜め下向きの樋を伝って、キレイになったホタテ貝がまた海中へ戻っていく。その作業全体がよく見えました。
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↑遠藤さんのfacebookに紹介されていたクリーナー写真を転載します。円形の回転ドラムはこんな具合になっています。貝殻にはフジツボなどが付着しているのが見えます。円形の回転ドラムの左にある四角い洗浄ルームで高圧の海水を吹きかけられ、反対側から海へと戻っていきます。
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↑洗浄されて出てきたホタテ貝です。なるほど、キレイに付着物が除去されていますね。手作業ではこんなにキレイにするのは時間も技も大変。「出費ばかりですが、随分と体が楽になりました」と遠藤さんが言っていましたが、体あっての仕事です。
by 2006awasaya | 2015-12-02 17:45 | 真剣!野良仕事


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