【真剣!野良仕事】[2=味菜畑へ]

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↑カボチャの花。この鮮やかな色を葉の陰に見る愉しさったら、さて、いったい何に喩えようか。花に見とれていたら、すぐ脇に直径8センチと10センチと12センチのカボチャが3つ。大きいもの2つをさっそく収穫して、うち一つはご近所にお裾分け。お裾分けができるなんて、なんて幸せ。甘いといいな。


いざ、味菜畑の中へ

 飯島幸三郎さんと言います。農事組合法人「船橋農産物供給センター」http://www.oishii-yasai.comの代表理事さん。『毎日食べる野菜だけに、美味しさと安心を!』とのキャッチフレーズで、農家と消費者を結ぶ仕事をされている方です。そのセンターで農業体験ができるプランを作ったのだそうです。題して「味菜畑オーナー制度」。農家の方の指導で野菜づくりができる仕組み。畑を貸してくれて、農機具や野菜のタネ、苗を農家で用意してくれる。手取り足取り。こんな素敵な仕組みを利用しない手はありません。

 もう少し「味菜畑オーナー制度」について、すこし説明します。

《取り組み主体》飯島農園 船橋市豊富町1482
《所在地》船橋市豊富町 味菜畑周辺田圃
《オーナーへ》野菜づくりを楽しみながら、農と食と環境を知りましょう。
《条件》農業の研修者もしくは作業者です。農薬を使用しない栽培を行ないます。味菜畑クラブに入会します。
《特典》新鮮・安心・安全な野菜を手にできます。栽培技術を取得します。就農の可能性があります。
《オーナー料金》1年間2万円
《募集・応募》『味菜畑』にて
《オーナーの作業》コース別にあります

 以上が味菜畑オーナー制度の説明チラシに書かれている内容です。

 それまで、農業体験をしたいと思ってwebでもいろいろチェックしていたんです。
 東京の練馬とか、地元千葉県の千葉市とか成田市の貸し農園のページなど、しばしば覗きにいっていたんです。

 で、そこには農業体験をしたい方々へのメッセージが説明されています。専門家からアドバイスという形でQ&Aのスタイルで疑問に思ったことに答えているんです。そんなQ&Aにいつもいつも目を通していました。

 世の中全体が無農薬野菜に関心がある時期ですし、できれば新鮮な無農薬野菜を食べていたい。でも、無農薬野菜は値段も高い。値段との折り合いをつけ、仕方なしにといってはなんですが、ま、無農薬と謳えない低農薬野菜でも我慢しようか、残留農薬などはスーパーなどで買えば大丈夫だろうと、そのように思っていました。

 いつもチェックしていた練馬区の農業体験農園のwebページに紹介されているQ&Aからちょっと引いてみます。
 例えばこんな問答。
 質問者「無農薬栽培で野菜づくり、できますか?」 
 専門農家「無農薬野菜の栽培はできません。なぜなら一人の方が無農薬栽培されると、その区画で発生した害虫が飛散し、他の区画の利用者に迷惑をかけます。故に、園主より農薬散布の指示があったときには必ず従ってもらいます。農薬の使用法を学ぶことも農業体験の一環だと考えてください」
 そんな意味のことが説明されています。
 なるほどと思いました。病害虫のことはまったく知識がないながらも、自分の区画でそういう病害虫が発生したら、自分の作物がやられてしまうのは致し方ないとして、隣接する区画の作物に影響します。「他人に迷惑をかけてはならない」というのが、われわれ戦後日本人の基本倫理ですから、これだけは死守したい。破りたくない。ゆえに、できるだけ低農薬で行く。そんな園主の考え方に従わざるを得ないのではないかと頷きました。

 また、どんな野菜を作るのか、そのあたりも気になるところです。トマトの甘く、しかも酸っぱさの強いトマトをいっぱい食べたい。ジュースにして保存しておけるし、毎時毎食トマトを食べても飽きないから、そんなトマトを作りたい。各人、様々なイメージを野菜に抱いていると思うのですが、なかなか要求しにくいものがあります。お伺いを立てるような物言いで、恐る恐る聞くこの質問者の心組みが分かります。

 質問者「どんな野菜ができるのでしょうか。野菜の種類は自分で選べるのですか」
 専門農家「栽培する作物の種類は利用者が自由に選ぶことはできません。春と秋の作付けは連作障害などを考慮して園主が決めます。利用者はこの決まりに従って参加者全員が同じ作物を栽培しなければなりません」

 そうか、どの時期にどんな野菜が店に並ぶのかすら分からないボクには、初夏の時期が巡ってきてはじめて、「お、枝豆か、ビールだな」とニンマリするのが精一杯で、その3カ月以上も前にこの日を空想しながら、枝豆を植える算段をするのは到底思いもよらないこと。まして何を収穫したいかなどと強面の顔で問われれば、言葉に詰まってしまいます。せいぜいトマト、キュウリ、ナス、カボチャ程度でしょうか。結局、園主が決めたものを言われるままに黙々と作業するのだなと、そのときは考えていました。そもそも農作業は寡黙なイメージですもの。

 でも、このQ&AのA、すこし味気ないと言うか、ツッケンドンというか、親しみも愛情も感じられないアンサーはどうしたことでしょう。農業のことをまったく知らない人に回答しているハズなのに。「連作障害を考慮して」なんて、ほとんどその意味すら理解できない人に向かって、専門用語を噛み砕いて説明せずに使うのは、思いやりに欠けている証拠でもあるし、また、多少僻っぽい見方をすると、専門家のいう通りに作業をすれば立派な野菜はできるのだから、つべこべ理屈を付けずに素直にやりなさいよと、暗に脅かしで言っているような雰囲気も感じられます。

 前後しますが、「他人に迷惑をかけない」という考えに疑問を呈する方も増えてきています。大人も子どもも、さらにハンデを背負っている人も、健常者も、一律にこの基本理念に縛られているのではないかという指摘です。ハンデを背負った人は健常者に対してもっともっと、「迷惑をかけてもいいのではないか」。自分が弱者だと思えば、強者に対してモノを言ってもいいのではないか。ちょっぴりイスラムの教えのような香りもしますが、そんな心を軽くする考えを持ってもいいのではないか。

 つまり、自分の行為を正当化するに際して、時代の理念なり通念なりをもってきて、有無を言わせず自説に従わせる。頷かざるを得ない論理で終始するのは、はやし少しおかしいと思います。

 まったくの初心者は専門家に迷惑をかけてもいいのではないか、初心者なりにオドオドしながらでも、先輩の農業者に迷惑をかけてもいいのではないか。具体的には、病害虫の発生に、即、農薬散布で対処する以外に、ほんとうに対処の方法がないのか。このあたり、けっこう専門的な話になってきますので、別な機会に飯島さんに教えてもらいながら、その経過をおしゃべりすることにします。

 でも、引っかかるなあ、この押し付けがましいQ&AのA。[hasegawa tomoaki]
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↑ナスの3本立て作業。支柱を3本、写真のように立て、それぞれの支柱に沿わせるように茎をヒモで縛っていく。どの芽を残すのか。何遍聞いても、どの芽を残してどの芽を欠いたらいいのか、わからない。そのうち、ナスの茎は柔らかいので、一番本命の茎を折ってしまう。うなだれていると、飯島さんがきて、「大丈夫、すぐに新しい芽が出てきますから」と勇気づけてくれる。2週間後、新しい芽が出てきて、花を付け、かわいらしい実を付けてくれた。
by 2006AWASAYA | 2006-06-17 20:00 | 真剣!野良仕事


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