【真剣!野良仕事】[19=落花生の収穫]

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↑夜明け前と言った雰囲気の朝の畑。暗くてほとんど見えません。夜が長くなってきたんですね。
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↑しっかりと落花生が付いている株。黒いマルチシートを子房柄が貫いているのが見えます。
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↑これは殻がほとんど付いていない株。プツプツと子房柄が切れてしまって、こんなみすぼらしい姿。
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↑見よう見まねで掘り返した株を重ねたところ。「ああ、それじゃあ、だめだめ。ネットで覆わないと」と飯島さん。
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↑「ネットでくるまないと、みんなカラスに食われちゃうから。こんな具合にしっかりと覆っておきます。覚えておいてください」

プチプチとヒモが切れて

 今年は近年になく天候が不順だそうです。寒いときに寒くならず、陽が強く照らなくてはならない時期にぼんやりとした日射し。長雨だったり風が強かったり。後ろ手に手を組んでうなだれ気味に歩き回る宮沢賢治の姿を映した写真が思い出されますが、まさしく嘆きの詩の世界そのものです。

 とはいえ、収穫時期はやってきていて、きちんとその作業を終えないと次ぎの冬野菜の植え付けも出来なくなります。そこで、今朝は5時起きで落花生の収穫に行ってきました。まだ真っ暗な早朝、車を走らせて畑に行くと、一面の靄。土の温度が温かいんでしょうね。

 飯島さんから、「もうそろそろ落花生を収穫する時期ですよ」と指示されて1週間が過ぎようとしています。飯島さんのお母さんのシマさんも、1カ月ほど前に収穫作業を開始していました。その畑仕事の最中に聞いた話は【真剣!野良仕事】[14=アフタヌーンティー in 落花生畑]に書きましたが、なんでそんなに早く収穫していたのか、その理由は聞かずじまいだったのです。きっと生ラッカがおいしいので、それで早めに収穫していたんだろう、そんなふうに考えていたんです。時間を掛ければ、もっともっと美味しくなって実もたくさん付くだろう、とシロート考えでギリギリまで待っているつもりだったんです。

 でも、飯島さんから「シマが早めに落花生を収穫したのは、今年の天候不順に関係していて、例年だともっと待つんです。落花生の紐と呼んでいますが、そのヒモ状の子房柄が今年は例年になく弱く、収穫時に茎を抜くと、そのヒモがプツプツと切れてしまい、土中の落花生がついてきません。そうならないようにとシマは掘りあげたのです」なんて真実を聞き、なんだか不安になってきて、それで今朝、まだまだ真っ暗な時分に収穫に来たという訳です。

 落花生はかわいらしい黄色い花が咲いて、その花の付け根にある子房で受粉し、そこから蘭の根っこを細くしたような子房柄が伸びて、土の中に突き刺さり、その先に豆ができます。
 書いて字の通りの落花生ですが、畑に入り、落花生を植えた畝の端で両足を踏ん張り、軍手をした両手で茎を持ち、じわじわ、こわごわと引き抜いてみました。

 やはりプツプツと音がします。落花生に繋がっているヒモ状の子房柄が切れている音でしょうね。遠くで犬の吠える声が聞こえますが、あたりはまだまだ薄暗いままです。最初に引き抜いた根の周囲には10〜15個、落花生の殻が付いていました。ほんとうはもっともっと殻が付いているはずです。土の中に取り残された落花生が埋まったままです。隣りの茎を引き抜きましたら、あまり抵抗もなくスーッと引き抜けます。根のまわりを見ると、先ほどより小さな殻が5〜6個。黒いマルチシートを剥がしながら次の茎を引き抜きます。今度は20個以上が付いています。よしよし。

 全部で30株くらいですが、引き抜き終わってから、もう一度引き抜いたところに両手を突っ込んで土を返すと、やはり4つ5つと、白い殻が見つかります。ああ、勿体ない。
 植えた面積も少ないので、もう一度両手を熊手状にして土を掘り返すと、さらに白い殻が20個ほど。

 白々と朝が明けてきました。ニワトリの声。茜色に染まった空。日が差してきたら、急にあたりが温かく感じられて、靄も薄れてきました。さて、と一息ついたところに、飯島さんが顔を見せてくれました。

 まったく、こんな朝早くから、どうしたんでしょう。
「どうしたんです、こんな朝早くに!」
「そちらこそ、どうしたんです、こんな朝早くに。それはそうと、どうです、ヒモが切れちゃうでしょ。今年はどうしたことか、ヒモが弱くって、プツプツって切れちゃうんですよ。収穫がしずらいって、落花生の生産者も嘆いています。で、ひとわたり収穫が終ったようですが、畝の端っこなど一所に落花生部分を上に向けて、積み重ねておくんです。野積みと書いてボッチって言ってるんですが、そうやってしばらく乾燥させるんです。落花生生産のメッカの八街では、このボッチがあちこちに見られます。ブルーのシートで覆って、しばらく置いておくんですが、長谷川さんの収穫量は大した高さにはなりませんから、せめてネットでくるんでおきましょう」と、見本を見せてくれた。
「そのままにしておくとカラスにみんな食べらてしまいます。掘り返して拾った落花生も含めて、殻は泥を洗ってから天日で乾燥させます。乾燥を終えたら、フライパンなんかで煎ってから食べてください。一般の市場では白い殻の落花生が値段が高いんです。少し茶色がかった殻の落花生がありますが、あれは野積みの段階で雨に当たると色が濃くなってしまうんです。品質に変わりはないんですが、見た目で白い方が高く売れるんでしょうな」
 いやはや。見かけとはそれほど大変な要素なのか。

 ところで、いつか聞いておきたいと思っていた疑問。

長谷川「マルチシートを掛けない方が収穫がしやすいと思うんですが、マルチをする理由は何かあるんでしょうか」
飯島「えーと、マルチをした落花生の殻は薄いんですわ。マルチをしないで作った落花生の殻は厚いんだそうです。地面の温度が関係しているんでしょうね」
長谷川「でも、微妙な差なんでしょうね」
飯島「殻の白さといい、厚さといい、農家はまったく大変なんですわ。それはそうと、シマが作るピーナツ味噌、うまいんです。こんど、作り方、聞いておきましょう」
長谷川「いやあ、嬉しい!よろしくお伝えください。さて、もうひと働きしてから帰ることにしますから、飯島さん、お先に引けてください。朝早くからの畑の見回り、ご苦労様でした」
(hasegawa tomoaki)
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↑朝の日射しが射し始めて、ブロッコリーの畑からは水蒸気が立ち昇り始めた。さわやかな一日の始まり。
by 2006awasaya | 2006-11-10 00:51 | 真剣!野良仕事


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