↑文芸社刊『東京「農」23区』のカバー。表紙を飾る写真は、東京都西新宿の都庁舎を見上げる田んぼでの収穫風景。
立派に主役を張る農業
飯島さんから電話をいただきました。
飯島 高橋淳子さんというカメラマンさん、知ってます?
長谷川 いいえ、あいにく。
飯島 農業シーンを専門にしているカメラマンさんなんです。いつか、農業関連の会合があり、その折、紹介されて。で、新刊が出て送ってくれたんです。
長谷川 なんという本ですか。
飯島 ええと、『東京「農」23区』という書名です。
長谷川 その高橋淳子さんという方、おいくつくらいの方でしょうか。
飯島 長谷川さんと同じくらいじゃないですかね。
電話をいただいたとき、ちょうどweb検索をしていたところでしたので、グーグルで検索してみましたら、
高橋淳子さんのホームページがすぐにヒット。
長谷川 東京にも農業シーンがいろいろあるんですね。今度、その本、拝見させてください。
飯島 ええ、好人舎でお渡ししますよ。
そんなことがあり、読ませていただきました。
本の帯にも「こんなところに田んぼがあった!」と書いてあります。まさしくそんな驚きの本です。
ボクは昔、江戸川区小岩に住んでいました。駅から少し外れたところには畑や田んぼがたくさんありました。そんな農業現場がだんだん姿を消し、農業区であった江戸川区がすっかり様変わりし、稲作の田んぼは絶滅してしまったと思い込んで現在に至ります。でも、江戸川区の南部、鹿骨とか篠崎、一之江あたりでは健在だったことがこの本で確認できて、すこしほっとしています。
ところで、江戸川区は東京の辺境ですが、都心といわれるエリアでなお、農業に従事されている方がこんなに多いとは。東京の地名を冠にいただいた亀戸大根、練馬大根、小松菜なども調べてみれば、しっかり先祖の地で作られていたんですね。
でも、実際のところ、都心での農業シーンは農産物生産の現場というよりも、都会人の精神生活回復の現場という印象を強く持ちました。だって、そこで働いている人たちの表情が実にイキイキしてるんですもの。
それにしても、ああ、農業ってパワーがあるんだなあって感じ入りました。稲作が日本人の基礎部分を支えてきただけに、どんなロケーションであっても似合っているなあ、超高層のビルを背景にしても、都電の線路脇でも、立派に主役を張ってるなあと。
飯島さん、いい本を紹介してくだすってありがとうございました。
↑本文で紹介されている『農』の一こまのうち、昔、通っていた会社が都電沿線にあり、その近くで稲作が行なわれていたので懐かしく、ピックアップしてしまいました。何のためにこんなところで稲作をと写真説明を読んで納得。祭りで担ぐ神輿の屋根にとまる鳳凰がありますが、その鳳凰にくわえさせる稲穂をよその土地で調達するのではなく、地元で調達していることが分かり、なんとも新鮮でした。