【真剣!野良仕事】[58=五輪久保のリンゴ]

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↑五輪久保のリンゴ農家、柳沢隆さんご夫妻。
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↑接ぎ木部分です。台木はマルバカイドウですが、ミツバカイドウも台木には使っているとか。

本気でおいしかった五輪久保のリンゴ

 うらうらとした小春日和の日曜日(2007.12.9)。1カ月前のリンゴ狩りについて書き込んでおきます。忙しさにめげて、ついつい書き込みが遅れましたが、これ以上放っておくと、リンゴ狩りに行ったことすら忘れてしまいますので。

 さて、今シーズンは2回もリンゴ狩りに行ってしまいました!
 1回目は11月11日(日)。群馬県川場村の宮田リンゴ園には、もうかれこれ10年になりますが、家族で行ったり、友人といっしょに行ったりと、リンゴ狩りは我が家の秋の定例行事。川場村のリンゴは群馬県が誇る品種「陽光」で、香りも味も、甘みも素晴らしく、研究熱心な宮田さんの管理が行き届いているせいか、はずれ年がないのがむしろ不思議なくらい。

 生憎の雨の中、妻のご両親、妻の妹一家と前夜から合流し、総勢9人で刈り取り作業にかかり、なれた作業ですからわずか30分で約250個をもぎ取り、現地で半数を知り合いに発送、半数を両家で分けて、意気揚々と引き上げてきました。

 宮田リンゴ園のご近所に昨年、おいしいおそば屋さん「たかはし」ができたので、今年も立ち寄って、腰のある細打ちそばを味わい、道の駅かわばでヨーグルトや野菜類をショッピング。途中、鶴ヶ島で食事をとり、関越で帰ってきましたが、なんとその2週間後にもう一度リンゴ狩りに行くことになるとは! ま、リンゴを食べていれば風邪も引かないと言われていることだし、家の中にリンゴがごろごろ転がっている幸せはなにものにも代え難い!

 さて、2回目は11月24日(土)。朝6時30分に船橋駅北口に集合し、車3台に分乗し、京葉道路、首都高、外環、関越、藤岡ジャンクション、長野道を走り、途中、小諸の「そば七」でお昼をとり、飯島さんの乗る車を先導に、長野県立科町五輪久保へ、柳沢隆さんが経営するリンゴ農家へ。

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↑参加メンバーはリンゴ狩りがはじめてなので、リンゴのもぎ方を柳沢さん(中央こちら向き)に教えてもらっているシーン。「リンゴをこうして持って、軽くリンゴのお尻を上の方に持っていくとパキッと実が離れます。無理にねじったり、回転させたり、引っ張ったりしなくても、容易にもげます。やってみてください」

 飯島さんに案内されるままに柳沢リンゴ園に入っていく。リンゴ園は平坦地ではなく、斜面になっており、結構大きな樹形のリンゴが多い。リンゴの収穫期としては最終期で、周辺の各リンゴ農家では、電柱工事など高所に作業員をリフティングできる油圧式昇降ステージを持つパワービークルを使って、この背の高い樹高もものともせずに収穫作業をしているが、案内された柳沢リンゴ園では木製の脚立を使っての人手作業。たとえ便利な道具が開発されようとも、連綿と使ってきた道具は使えなくなるまでしっかりと使い切る、そんな頑固な意思を感じた。それにしても五輪久保のリンゴ農家が栽培するリンゴの樹形は大きい。先々週、群馬県の川場村でリンゴ狩りをしてきた目には、余計に大きく見える。
 そのことを含め、いいチャンスなので、かねて疑問に思っていたことなどを柳沢隆さんに聞いてみました。

長谷川 群馬県川場村のリンゴ園に毎年行ってリンゴ狩りをしてくるんですが、そのリンゴの木に比べて、こちらの木はずいぶん大きいように見えるのですが、地域によって、樹形に違いはあるんでしょうか。
柳 沢 他所のことはあまり知らないんですが、確かにうちのリンゴの木は枝振りが大きいですね。
長谷川 この木でだいたいいくつくらい、実をつけているんですか。
柳 沢 さあ、どれくらいでしょうかね。700から800くらいかな。
長谷川 うわあ、そんなにつけているんですか。ボク、群馬県川場村のリンゴ園に1本だけオーナー制度で持っているんです。リンゴの実の直径も大体同じくらいの大きさですが、300手前ってところです。樹形もこの木に比べたらずっと小さいですし。ところで、根っこのところが膨らんでいるのはなんですか。
柳 沢 木を接いだところです。台木はマルバカイドウ、リンゴは津軽です。リンゴの木は本来は背が高い樹形になるので、管理しやすいように背の低い樹形、専門用語で「矮化栽培」というのですが、栽培しやすいように背を低くしたり、品種を改良したり、恐ろしく手間がかかる。
長谷川 そうそう、さっき剥いて食べたんですが、おそろしくうまかった。味が濃いって感じがしたんですが、それは葉を摘まないで樹上で成熟を待ったからなんですか。
柳 沢 ええ。真っ赤なリンゴじゃないと売れないので、お日様がよく当たるように葉を摘むんです。それに葉を摘むと、リンゴに葉が当たらず、リンゴを傷つけないので、きれいなリンゴができるんですが、それがたいへんで。
長谷川 え! 真っ赤なリンゴが甘いリンゴじゃないんですか?
柳 沢 ええ。色と味はあまり関係ないんじゃないかなあ。葉っぱから栄養が行くので、葉の数が少ないとうまいリンゴにはなりません。でも、見ての通り、この木は葉摘まずリンゴなので、冴えない色をしてますが、うまいです。
長谷川 さっきいただきましたが、確かにうまかったです。しかも蜜入りで。
柳 沢 あはは。みなさん、蜜入りリンゴと言いますが、本当はあの部分は蜜じゃないんですよ。芯に近いミツの部分よりも皮に近い部分の方が甘いんです。
長谷川 ええ、そうなんですか。それじゃあ、根拠のないことにとらわれていて、頓珍漢な品定めをしていたって訳ですか。そういうことでいうと、一度聞いてみたかったんですが、「甘いリンゴですね」といわれるのと、「おいしいリンゴですね」といわれるのと、作り手としてどちらが嬉しいものなんでしょうか。
柳 沢 そりゃあ「おいしいリンゴですね」といわれるほうが格段に嬉しいですね。甘みだけじゃなく、香りも酸味もしっかり残っているリンゴの方がうまいですから。

 いやあ、そういうもんだよな。

 春先のリンゴ園は桜の開花より凄絶な美しさだったことを思い出し、30年ほど前に信州飯田のリンゴ農家で耳かきに似た綿毛に花粉をつけて受粉作業をしたことなどを柳沢さんにお話ししたら、「いまではそうした受粉作業はマルコバチに任せていますから」と、養蜂業者が大変な作業を請け負ってくれていることなど、最新の事情を教えていただきました。
 
 ただし、接ぎ木と蜜入りについては、家に帰ってからもまだ納得できていなくて、webでもう一度調べ直してみました。とかく浅い理解は誤解のもと。
 リンゴの接ぎ木に付いてはリンゴの台木がよく分かる説明をしてくれていましたので、チェックしてみてください。
 また、蜜入りリンゴについては蜜入りリンゴのページがボクにはよく納得できたので、覗いてみてください。

 それにしても、蜜入りだからうまいと思っていた自分の浅はかさ!
 でもですね、農家の方って、ボクら素人の思い込みをもっともっと糾してほしいな。

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↑リンゴ収穫後にお茶を呼ばれましたが、その席に出された焼き芋のおいしかったこと。飯島さんに持ってもらってワンカット、写真に撮りましたが、どうしたら、こんなにおいしい焼き芋ができるんだろう。それこそ、蜜入り焼き芋! 何遍も柳沢さんの奥さんに聞いたんですが、理解ができなかった。分かっていることだけをここにメモしておくと、芋は金時で、それをアルミホイールにくるんで信州名物のオヤキを作る要領で囲炉裏の灰の中に投げ込んでおく。ただそれだけと言われたんですが。大きな声じゃいえませんが、本当は五輪久保の「葉摘まずリンゴ」よりもこの焼き芋に感動! 別の機会にもう一度作り方を教えてもらいにいこう。
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↑このメンバーでリンゴを収穫してきました。総勢12名。ただし、この写真には撮影者門脇さんが写っていません。門脇さんごめんなさい。
by 2006awasaya | 2007-12-09 15:30 | 真剣!野良仕事


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