【真剣!野良仕事】[82=飼料用稲の栽培実験]

2008.7.8(火)
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↑6月15日、実験田に筋播き用のラインを引く。写真手前は休耕田で、草ぼうぼう。とても田んぼには見えない。ことし、このまま放置しておくと、さらに草まみれになって、どこが田んぼかまったく分からなくなる。
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↑これが飼料用米の芽だし籾。
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↑5アールを12区画に分け、小袋一つを1区画に播く勘定。
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↑「はい、こんな感じで筋播きにしてください」と、抜き足差し足で播種する飯島さん。
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↑播種を完了した田んぼ。
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↑全員で記念撮影。この方々がアイガモ米3kgを手にされる方々。全員の顔の辺りがピンぼけのような、きらきらと光る筋状のノイズが見えるかと思いますが、それがテグスです。どうか、鳥さん、この田んぼは危険だから降りて来ないで!

報酬確定型飼料用米実験

 6月12日に飯島さんからメンバー全員への連絡mail。

地球規模で穀物が不足しています。
日本の家畜のえさはほとんど輸入に頼っている状況です。
そこで、飯島農園の八千代の田の近くの休耕田を借りて、飼料用の稲を播種栽培で実験します。

まずは、芽だしをした長粒米の種まきです。面積は5aです。
今度の日曜日6月15日、9時30分に好人舎集合です。
近くには山田農場のアイガモ農法の田がありますので、
かわいいアイガモの働きぶり見学もします。
秋には収穫することになりますが、参加者の皆さんには実験が成功しましたら、
アイガモ栽培のお米を5kg、失敗したら3kgを差し上げます。


 まるで詩のような数行。ふつう、実利から最も遠い地点でしか結実しない詩精神。それがなんということか、実験に失敗しても3キロのアイガモ米がいただけるという報酬がスタンピングされている! これぞ詩を超えた至福!

 さて、当日、10時に田んぼに到着してから行なった作業は、区画の整理と芽だし長粒米を筋播きにするためのライン引き。苗で植えるのではなく、芽だし籾をパラパラと筋に播くだけ。
「どんな分量で、どの程度の深さに播けばいいんでしょうか?」と質問が飛ぶ。
 飯島さん答えて曰く、「すべては実験なんですわ。自分にもよく分かっていません。ですから、私がいいと思うようにやってみますから、とりあえずはその通りにやってみてください」
 そうか、これはこの辺りでは前例のない飼料用米づくりだったんだと、参加者全員が納得。ビニール袋に小分けにされた飼料用米の芽だし籾を持って、区画に入っていく。
 田んぼは水が多めで、播いたそばから水面に浮かび上がる。その状況を見て、畦を切り、水を抜く。この田んぼは今年は休耕田で、空いてる田んぼを手間をかけず有効に使ってみようと言うのが飯島さんの目論見。
 抜き足差し足で楽しむこと約1時間。一応、区画ごとの筋播きが終了し、鳥たちに啄まれないように釣り糸のテグスを1メートル高で張り巡らし、作業は完了。全員で記念写真を撮る。
 その播種が終わってから3週間後、経過を見るために、7月5日(土)、この実験田に行ったところ、手前はほとんど根付いていない。水が深かったからか。ただし、奥に行くに従ってしっかり生育していた。
 推定原因その1。
 田んぼの手前は水が深く、しかも流入口からたえず水が流れ込んでいて、播かれた籾が定着できずに流されてしまったから。しかも、播かれた量が少なかったのではないか。
 推定原因その2。
 田んぼの中央から奥に掛けては水抜きが早く効き、播いた時点で流れずに定着したのではないか。しかも、区画毎に筋状に播いたはずが、播種作業中、区画の区分が曖昧になり、すでに播いた区画に隣り合う担当者が入ってもう一度播種し、結果として手前の区画に比べ、倍の量を播いたのではないか。
 7月5日、そんなことを、観察に行った4人で話し合った。
「どうやら、そんなことぐらいしか思い当たらないわね」
「鳥害はまったく見られなかったので、テグスを張ったのは正解でしたね」
「畑の感覚で筋播きにした方がよかったような気がしますね。水を完全に抜いてから筋播きにして、芽がもっとしっかり出た時点で水を入れた方がいいんじゃないかしら」
「苗で植える感覚でいたのがいけなかったかも」
 こんな感想を持ちました。

 農林水産省のホームページで飼料用米を調べていたら、今回のような5アールなんて狭い田んぼでの例は掲載されておらず、どんな資料を見ても20アール以下は報告されてはいない。しかも、大型機械が入る田んぼばかりが報告されていた。船橋のような都市近郊農家の休耕田再利用のための実際例はほとんど報告されておらず、それ故に今回の実験は大いに参考になるに違いない。農林水産省の
品種登録済み多収性品種というページを見ると、耐倒伏性の強い「べこごのみ」が10アールあたり686kg、「北陸193号」が780kgという収量報告があり、今回のテストは5アールだから、はたしてこれらの数字の半分が収穫できるかどうかが、今回のポイントか。目標値は300kg!この数字が成功失敗の分水嶺か。

 また、飼料用米の消費者である畜産業者との関係をまとめた「稲の家畜飼料としての生産・利用について」というページも、ボクのような初心者にも分かりやすく説明されていた。いままでの輸入配合飼料に比べ、飼料用の米は特定の病気を誘発するという報告もあり、ここでも生産の現場と消費の現場の情報共有が大切なんだと、しみじみと考えさせられた。畜産農家の声を前提に作らないと、だれも引き取り手のない米を作ってしまうことになりかねない。ぜひ参照されたい。

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↑7月5日(土)の飼料用米生育状況。手前がほとんど根付いていない。
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↑4人の呆然とした姿が水面に映る。なかなか詩的なフォトジェニック。

【飯島さんからのメッセージ】
 籾を播いたが発芽しなかったのは、酸欠に原因があると思います。あのあと、水ヌキをしたんですが、どうしても手前と一番奥は水が抜けきれず、結果として酸欠状態になってしまい、籾は腐ってしまったんですね。発芽する時には酸素がたっぷりと必要なんですが、水に浸かったままで、酸素補給が著しく低下。酸欠となってしまったんですね。あの田んぼはもともと水ヌキができない条件の良くない田んぼだったのですが、いままでは苗を植えていたので、なんとかお米を収穫できていたんです。ところが今回は苗ではなくその前段階の籾ですから、ダメだったんですね。コレが真相です。
by 2006awasaya | 2008-07-09 00:27 | 真剣!野良仕事


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