カテゴリ:稲の観察記録( 27 )

稲の観察記録[第27回・最終回]

2007.11.21
稲の観察記録[第27回・最終回]
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安藤 とうとう最後の回となった。季節はめぐって冬となり、もうお正月が目の前だ。
 かねてからこの時期に計画していた鋸山(のこぎりやま)登山にA子とその弟S男を連れて出かける。空気が澄みきって遠く箱根、伊豆そして富士山が望めたが、風が強くロープウエイは欠航。全行程を歩くことになった。「鋸山に行ったら、しめ飾りに丁度いい葉っぱがあるかもしれない」というのも、この登山のもう一つの目的だった。
 歩きながら葉っぱを見つくろい、一枝二枝いただいて新聞紙にはさみ、持ち帰った。それをしめ飾りにつけて、すべて完成とした。あとは玄関に飾ってお正月を待つばかりだ。

 ここでA子の観察記録は終わっている。この活動はA子にとって得がたい体験となった。
 それは稲を育て、収穫し、ご飯を炊いて食べ、しめ飾りを作ったという農業体験なのだが、同時に春からの日々の観察を記録する地道な活動があって、それが積みあがり、秋を過ぎる頃には立派な作品となって結実したのである。この作品を前にして、私はA子に「やっと完成したね。大事にしておかなくっちゃ」とだけ言った。
 そしてまためぐってきた春。弟のS男が1年に入学し、「今度はボクがイネをやる」とはり切って言った。それを聞いてA子と私はにっこり笑った。(終)


飯島 稲の苗を手にした時は、一年間こんなにいろんなことがあるとは、考えもしなかったでしょうね。私もあらためて、稲のチカラを感じることができました。ありがとうございました。
 我が家の田んぼでは、家族で10数年稲づくりを続けている人たちがいます。
 曲がりくねった田植えをしていても、朝食べたご飯がこの田植えでできると思えば、次からまっすぐになったり、暑い暑い夏の草取り、稲刈りもへとへとになるまで耐えられ、台風で稲がながされれば、何百メートルもぬれた稲を担いだりもできます。雨降りがせまるなかでの脱穀は休むこともできません。私も、稲づくりを始めたころは、何をやっても時間がかかり、出来栄えもうまくはなったですが、今はすっかり隣の農家と同じようにできるようになりました。
 稲の育ちだけでなく、お日様や風、虫や、そうそうウサギが飛び出してきたこともあったなあ・・・・・・。
 毎日食べて、体を創って動くエネルギーになるご飯。お米がどうしてできるのか知ったとき、ものの見方がいろいろ分かるようになってきたのではないかなあ。食べるだけでなく、わらが縄になったり、精米してできた糠(ぬか)が野菜の肥料になったり、油ができたり、また、田んぼが、川が増水したときのダムになったりなどを知ると、もっともっと稲づくりがおもしろくなると思います。
 今度は、実際の田んぼで、稲つくり、お米づくりしょう!
by 2006awasaya | 2007-11-21 09:17 | 稲の観察記録

稲の観察記録[第26回]

2007.11.4
稲の観察記録[第26回]
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安藤 しめ飾りというものはワラ縄のほかにどんな材料を使って、どんな風にできているのか。近所のホームセンターにA子と出かけて調べてきた。それを元に材料を集める。A子が以前に拾ってきていたマツボックリ、私の家の庭のマンリョウ、台所の棚にあったキリタップ昆布、近くの公園の松の枝などである。紙垂(しで・しめ縄についているヒラヒラした紙)を作り、「笑門来福」の文字はA子が得意のお習字で書いた。札は菓子箱の厚紙である。落款は私が消しゴムを彫って作った。全部手作りのしめ縄完成である。豪華にできあがった。

飯島 しめ縄に藁を使われることに、私は勝手な推測をするのですが、お米が毎年穫れて、大切な役割を果たしていることときっと関係しているな、と。
by 2006awasaya | 2007-11-04 11:24 | 稲の観察記録

稲の観察記録[第25回]

2007.10.26
稲の観察記録[第25回]
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安藤 12月。秋から保存しておいたワラをどのように利用しようかと考えていたのだが、お正月のしめ飾りを作ることにした。7月に買物帰りにA子と立ち寄った神社の鳥居の大しめ縄を思い出しながら、玄関にかざるしめ飾りを作るのである。
私は少しだけワラ縄ないの経験があり、上手にはできないが、基礎の基礎はわかっているつもり。ワラ打ち用の木槌がないので、スリコギで代用した。たたいてしなやかになったワラを縄になっていく。なんとか細い縄が60cmほどできてきた。

飯島 お米作り、ご飯を食べて終わりかと思いきや、藁で縄をなって、そしてしめ縄飾り。よくやりました。稲を作ると、お米だけでなく、藁や籾殻、糠など、昔の人は無駄なくすべてを使っていました。残念ながら藁だけは、お米づくりの効率を上げるため、焼却してしまうなど、残念な扱われ方になっています。藁は堆肥にしようとすればすぐ、土になるのに縄にすれば、使い方によっては何百年も縄の役割を果たしたり、すごい力を持っていますね。
by 2006awasaya | 2007-10-26 19:25 | 稲の観察記録

稲の観察記録[第24回]

2007.10.21
稲の観察記録[第24回]
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安藤 いよいよご飯を炊く。少しの量を炊くときに、空き缶を使って湯煎すると上手に炊けると教えてくれた人がいたので、やってみる。水加減は、米1に対して水1.2ときちっとやり、加熱時間の方は少しいい加減にやった。30分炊き、20分蒸らして完成。A子一家と安藤一家が全員で一口ずつ食べる量しかなかったが、春から丹精してやっとできあがったご飯をおいしく頂いた。

飯島 ついにやりましたね。種まきしてから約6ヶ月です。とても手のかかることをよくやったと思います。そして、観察し、記録。とてもすばらしいものを見せてくれました。
 ところで、米という字を、合体漢字とは逆にバラバラに切り離すと八十八となります。88回の手がかかるよとも言われていますね。
by 2006awasaya | 2007-10-21 18:42 | 稲の観察記録

稲の観察記録[第23回]

2007.10.18
稲の観察記録[第23回]
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安藤 精米に挑戦する。玄米をビンに入れて棒でつつくという方法は、私が少年時代、今から50年以上も前の敗戦後の頃に我が家でやっていた方法である。その時は一升ビンを使っていたのだが、今回はお米の量が少ないので一合ビンを使ってみた。ところが3000回搗いてもほとんどヌカが出ない。ギブアップして、すり鉢と軟式野球ボールで試したところ、みるみる白米になった。

飯島 すべて、手作業は大変なものですね。精米もそのひとつ。また簡単な作業でなくても、工夫や知恵が必要で、機戒がなかった時代はこの工夫と知恵の積み重ねで賢くなっていったかと想像すると、この大変さもいい体験ですね。
by 2006awasaya | 2007-10-18 14:10 | 稲の観察記録

稲の観察記録[第22回]

2007.10.5
稲の観察記録[第22回]
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安藤 やや遅れて開花した穂を刈らずに残しておいたので、2回目の稲刈り、脱穀、モミすりをした。2回目は玄米8グラムがとれ、合計で30グラムとなった。

飯島 籾は玄米と籾殻が8:2の割合ですか、不勉強でした。籾すりも大変ですが、今度は精米、またまた大変ですよ。
by 2006awasaya | 2007-10-05 16:05 | 稲の観察記録

稲の観察記録[第21回]

2007.9.30
稲の観察記録[第21回]
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安藤 10月2日、脱穀、モミすりの作業をした。脱穀は、コップのふちを使ったり、割り
ばしに穂をはさんでひっぱったり、いろいろな方法を試してみたが、クシ(櫛)を使う方法がいちばん具合がよかった。昔、農家で使っていた「せんばこき」のミニ版である。
 モミすりはすり鉢と軟式野球のボールを使う方法が絶妙だった。ボールでこすりながら息を吹きかけてモミガラを飛ばした。一生懸命やったが、とれた玄米は22グラム。貴重な収穫である。1粒も無駄にできない。

飯島 脱穀にすり鉢とボールとは考えましたね。ビックリしました。力も使ったことでしょう。今はこの作業はすべて、機械まかせなので、えがたい体験をしたものです。
by 2006awasaya | 2007-10-01 00:43 | 稲の観察記録

稲の観察記録[第20回]

2007.9.16
稲の観察記録[第20回]
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安藤 イネの花が咲きはじめてから約1ヶ月たった。いよいよ稲刈りである。
 安藤家で草取りに使っているカマが一つだけある。それを急きょ砥石でといでみたが切れ味はイマイチである。カマを使ったことがないA子が切れない道具で稲刈りをしたもので、「イネ刈り」でなく稲を引きちぎるような具合になってしまった。
 幸い晴れの日が続き、気温も高かった。稲刈りの4日後には、もうだいぶ乾燥したようで、待ちきれずにモミをちぎって取り、みんなで1粒ずつ試食してみた。

飯島 稲も、収穫する時は緑から黄色に変わり、硬くなり、稲刈りには、カマの扱い方のいい勉強の機会なんです。穂の重みはいかがでしたか。乾燥すると稲穂の重みが一層感じられますよ。
by 2006awasaya | 2007-09-16 15:30 | 稲の観察記録

稲の観察記録[第19回]

2007.9.6
稲の観察記録[第19回]
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安藤  これからの見通しをA子と話しあい、項目にまとめて書いてみることにした。
「脱穀」、「モミすり」、「精米」の言葉を教えながら、ご飯が食べられるようになるまでの作業について考えていった。

飯島 育てて、収穫から食べるまで、まだまだ作業が続きますよ。農産物の栽培は食べる楽しみもあって、いいですね。
by 2006awasaya | 2007-09-06 21:32 | 稲の観察記録

稲の観察記録[第18回]

2007.8.31
稲の観察記録[第18回]
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安藤  スズメ除けに釣り糸を張るという方法は飯島さんが電話で教えてくれた。バケツをかこんで四方に棒を立て、細い釣り糸を張りめぐらす。何か光るものをということで、CDをさげてみた。案山子こそないが、いっちょ前の防衛体制である。
 もうここまでで「夏休みの自由研究」は終わりになる。まとめのことばを書いて、9月1日始業式の日に学校に提出した。ここまでで、すでに八つ切画用紙17枚の記録である。積み重ねを実感させる作品となった。

飯島 スズメ除け。人が食べるか、鳥が食べるのかの攻防ですね。話題が飛んでしまいますが、稲の仲間にトウモロコシがあります。このトウモロコシをめぐって、人の食糧にするか、車の燃料にするかの攻防がくりひろげられていますね。
by 2006awasaya | 2007-08-31 09:22 | 稲の観察記録