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【真剣!野良仕事】[116= 祝!松本さん]

2009.11.26(木)

 世間的には勤労感謝の日をふくむ三連休明けの、どこかマジになりきれない平日11月24日(火)、昼過ぎから気温が急に下降し始めて、戸外で語らうには不適当な空模様でしたが、我らが松本さんが千葉県知事の認定を先週の16日に受けたことを公表され、「これからはぼくのことをほんものの百姓と呼んでください。この呼称が松本の、生涯最大の栄誉ある敬称です」と胸を張った日なのです。そして、本日11月26日(木)、船橋市の農業委員会から念願の農業認定を受けることができたと連絡がありました。壁面九年の達磨大師には3年ほど不足していますが、鍬を持って6年、ついに念願を達成されたこと、ここにお祝い申し上げます。
ホンモノのお百姓さま
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↑本格就農者となった松本さん。千葉県知事のお墨付きを手に。

 千葉県知事は、農地法第3条の規定により、松本さんに対して兼ねて申請していた印旛村の耕作地に対しての賃貸権の設定を許可しました。
 ところで、その農地法3条とはどのような条文かというと、「農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可(これらの権利を取得する者(政令で定める者を除く。)がその住所のある市町村の区域の外にある農地又は採草放牧地について権利を取得する場合その他政令で定める場合には、都道府県知事の許可)を受けなければならない。」という、極めてガードが固く、同業者にとっても高い障壁となる規定なのです。農地法そのものが国土保全と食料確保という大きな理念を併せ持った法律ですから、やたらと除外事項や特例事項が付記されていて、結局、何が言いたいのか、ケムに巻かれ、あげくの果ては呼吸困難に陥るだけなのですが、とにかく、これで正式に土地を利用(条文中では賃借権)できることになったのです。

 11月24日(火)の11時過ぎに好人舍に現れた松本さんは、ボクを認めるや、小脇に抱えていたホルダーを開け、一枚のA4ペーパーをかざしながら、「長かったです。6年かかりました。これも飯島さんをはじめ、皆さんのおかげです」と喜びを抑えきれぬすがすがしい表情でこの許可証の意味を説明してくれました。

長谷川 ところで、これから、松本さんをなんとお呼びすればいいんでしょうか。新規就農者の新規がとれて、「ただの就農者」とお呼びすればいいんでしょうか。あるいは、松本さんご自身、なんと呼ばれたいのでしょうか?
松 本 ほんとうの百姓って呼んでください。これに過ぎたる呼称はありません。それはそうと、千葉県知事って森田健作でしょ。でも、これ見てください。千葉県知事印が押してあるここには、知らない名前が書いてある。鈴木栄治って。これ誰? 選挙戦で森田健作って絶叫していた名前で当選したはずの名前がこの許可証には書いてない。これっておかしいよね。
長谷川 この鈴木栄治って誰です?
松 本 だからこれが森田健作。
長谷川 ん? 八ッ場ダム関連の知事視察会の報道でも、「千葉県知事の森田健作氏は」なんてモニターに出ていましたが、千葉県民のハセガワもよく分からない人ですね、その鈴木なにがしは。でもまあ、とりあえずおめでとうございます。
松 本 いやいやどうも、ありがとうございます。ますます精進します。

 松本さんを好人舍で、農道で、あぜ道で、飲み屋で見掛けたら、大きな声で「よ! ほんとうのお百姓さま!」と声を掛けてあげましょう。
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↑好人舍にて。松本さんを支える坂本さん(右)と堀中さん(左)。

【追伸】
皆様へ
 お陰様で、農業認定を取得することが出来ました。
 本日、船橋市の農業委員会に出向き、全ての処理が済みました。晴れて農家になりました。飯島さんはじめ、皆さんのご支援の賜と、深く感謝致します。12月7日、北習志野あたりで、感謝の集いを予定しています。ご臨席いただける方は、3日ぐらいまでに、メールでお知らせください。松本。
by 2006awasaya | 2009-11-26 22:31 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[115=食生活ジャーナリスト来船]

2009.11.24(火)

食生活ジャーナリスト来船

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↑参加された「食生活ジャーナリストの会」の皆様、結構いい表情で懇談されていました。この写真は昼食直前に撮らせていただいた写真で、テーブルに並んでいるお弁当の具材は飯島農園製の野菜、豚汁はハーバリスト・吉本さんと篠塚さんの協同調理の一椀、それに吉本さんお手製のハーブティ。

 本日、11月24日(火)11:30過ぎ、「食生活ジャーナリストの会」の面々が飯島農園を訪れ、畑を見学し、竹林前の広場にて昼食をとりつつ懇談。昼食後に、無農薬で野菜を作ることの大変さ、及びその大変さのあと先について説明というか、農業人・飯島幸三郎ヒストリーを独白。その後は、「政権交代で農政が変化したでしょうか。また、その影響は現場でどのように感じているでしょうか」「生産者は流通に問題があり、流通は消費者に問題があると順繰りに『問題』をたらい回しにしている構図がありますが、これらの負の循環を断ち切る秘策のようなものはあるでしょうか」など、出席者サイドからの問い掛けに、飯島さんが答えるという時間帯でした。
 ここに参加されている面々は、農業に対しても、食の安全についても、どこに欠陥があり、どこにこれからの日本が目指すモデルが胎動しているのかなど、それぞれのメディアを通じて受信されている方々ですが、こんな質問を飯島さんにぶつけてみては、跳ね返り具合を確認してのち、自信を持って発信されるのだろうと、コンパネを渡しただけの即席テーブルの隅で、傍聴していました。
 予定では15時までの討論ということらしかったのですが、急に冷え込んできたこともあり、14時を少し回ったところで終了となったことが残念なくらいでした。

 実はこの日、飯島農園にジャーナリストの一団が見えるということは知らされていたのですが、その一団が「食生活ジャーナリストの会」ということは知りませんで、まったく迂闊でした。

 視察見学が終わり、是永さんと会場のかたずけを終え、味菜畑近くのバス停で再び再会し、改めて暖かなバスの車中にてご挨拶を兼ねた名刺交換。事務局長・駒井信行さんの名刺に記されているホームページアドレスhttp://www.jfj-net.com/に帰宅後にコンタクトし、[会の目的、考え方]の項を拝見しました。会のこれまでの歩みから研究会、講習会の細目まで公開されていて、「食」全般をさまざまなメディアで受信し、会員相互に問題を提起しつつ発信するという会の在りようがよく分かりました。我がおいしい野菜公園メンバーにも、この懇談の席にご一緒させていただければ、有意義な時間が過ごせたろうにと、激しく後悔しています。

 さらに、駒井さんからいただいた「第19回公開シンポジウムのご案内」が、なんとも今日的でした。演題は「そうだったのか!キューバと北朝鮮の農業」というのです。キューバについては、気温も高い地域で有機農法を確立した国との印象は、ほとんどの方々は共有している基礎知識でしょうから、さらなる情報収集はそれぞれの本人努力ということになるでしょうが、この自給自足型のキューバに、ともすれば拉致問題以外は意識的に無関心でいたい自閉型の危険な国、北朝鮮をカップリングするなど、まことにどきどきするシンポジウムを企画しているのです。来年平成22年1月24日(日)の14:00から青山の国連大学裏にある「東京ウィメンズプラザ」で開かれます。新しい手帖に、チェックを入れておく価値があるイベントだと思います。

 とはいえ、この会のこれまでの活動報告も、先のホームページで閲覧することができますので、覗いてみてください。ボクが、ウーン、優れている表現だなあと感じたのは、「会の目的、考え方」の最後の段落で、このような文章でした。
「人間の命を支えている『食』の進化進歩する情報、ときに退行する情報を、最新の時点で勉強している会でありたいと、一同心がけております」と。
『ときに進化発展し、ときに退行する情報』というくだり、なかなかのものだと感じ入りました。野菜公園メンバーの皆さんも、一度目を通されることをおすすめします。
by 2006awasaya | 2009-11-24 23:25 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[114=3年越しの謎が解けた!]

2009.11.24(火)
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↑群馬県川場村宮田リンゴ園産の「陽光」。もう10年以上通っているリンゴ園。『今年は天候の加減でしょうか、大きくなってしまうんです。1本の木に成るリンゴの総量は変わらないようにしていますから、実が小さければリンゴの数は増え、実が大きければ、数量は少なくなります。今年はほんとうに大きくなってしまったのですが、味が変わらず、ホッとしています』と、宮田さん。実は固からず柔らかからず、わずかに酸味もあり、群馬が誇るリンゴだけに、さすがに美味しい。
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↑長野県立科町五輪久保の柳沢リンゴ園産の「サンふじ」。色があまり良くないけど、食べた瞬間、この印象は実に簡単に覆る。ああ、見掛けも大切だけど、リンゴの皮を剥いているそばから立ち上がって来るこのかぐわしさ。ゾクゾクしてきます。実は固く締まっていて、俗にいう蜜入り。見掛けを良くするために陽の光をリンゴの実に当てるために葉を落とすのですが、これはそんな手間は不要としたリンゴです。
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↑今年のリンゴ狩りに参加したメンバーです。
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↑大村さんの奥さま。ビールが好き、ワインはもっと好きという愉快でおしゃれな方。ボクにはこのアングルがとても新鮮で、参加者全員をこのアングルで撮らせていただこうと思っていたのですが、「おーい、もぐための脚立で、撮るための脚立じゃないよ」の声があり、このあと、阿見さんを撮ってこのアングルからの写真はおしまいにしました。ああ、残念!
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↑阿見さんです。いいお顔!
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↑「長谷川さん、撮ってやるからカメラ貸しなよ」と阿見さん。「リンゴ狩りに来てんだから、カッコだけでもリンゴに手を伸ばして!」と阿見さんにいわれ、ポーズを決めたところです。
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↑脚立の上で大活躍の鷹島さん。今回も仲よきご夫婦での参加です。我が家から見上げるような高所に住んでいらっしゃるのです。この仰角が習い性になっていることもあって、鷹島さんの行動はいつも仰ぎ見ているのです。
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↑こてこて関西人の大村さん。ごくフツーの会話でも突っ込みが鋭く、ボク、ヘロヘロの関東人ですから、返答もままならぬまま無念のダンマリ。ああ、10回に1回くらいは大村さんクラスのセンスで会話に加わりたい!
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↑「樹下美人」という基本構図で描かれる『飛鳥の美女』ですが、樹下で一番絵になるのは飯島さんかも、と、この写真を撮りながら改めて考えていました。悪さを思いついてシメシメ、さあ、お楽しみはこれからだって顔に見えませんか。そのように申し上げたら、案外的を射てしまったのか、にやりとして、「桜の木の下にあるものと、リンゴの木の下にあるものはやはり違うんだろうか」と、文学的な教養を匂わせる一言を残してむこうに歩いて行きました。
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↑こちらが葉を摘んだリンゴの仕上がり。赤みが強いですね。葉を全部落とすのではなく、陽が射すように、要所要所の葉を落とす。こんな手間を掛けていること、お客様である消費者は知らないだろうな。
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↑こちらが葉を摘まずにいるリンゴです。リンゴ=赤、というイメージが刷り込まれている人は、この色のリンゴには手を伸ばさないでしょうね。「陽の射さない、暗い斜面にあったから、こんな可哀想な色になっちゃったんだろう」なんて、スーパーの従業員にクレームをつけるかしら。でも、リンゴ≠赤、というイメージでリンゴを見る人には、むしろこの冴えない色こそが涎を誘うのです。垂涎の色とは、こうした地味で艶を失ったような色のことなのですね。

まさに極上スウィーツ!
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↑「今年はこんなに大きなリンゴが多いんです」と柳沢リンゴ園の若奥様。

 今年も11月8日(日)に群馬県川場村の宮田リンゴ園へリンゴ狩りに行ってきました。陽気も良く、孫の羽衣も大喜び。それから2週間後の11月21日(土)、飯島幸三郎さんが運転するマイクロバスで長野県立科町の柳沢リンゴ園へ。いつものメンバーといっしょの気の置けない楽しいリンゴ狩りです。ボクはここのリンゴ園へは今年で3度目です。宮田リンゴ園のリンゴは「陽光」ですが、こちら柳沢さんのリンゴは「つがる」や「サンふじ」「ふじ」が多いようで、収穫するのは「サンふじ」。大きな木で800個近くを付けています。
 川場村でもリンゴの実が大きくなっているそうです。リンゴ本体が限度を超えて大きくなると肝心の味が落ちると言われ、大きくなる前に収穫するのですが、オーナーの木はリンゴ園といえども断わりなしに収穫するわけにも行かず、オーナーが適期に収穫に行けず、ずるずると収穫を延ばし伸ばししているうちにどんどん、大きくなってしまうのです。実は収穫適期は11月に入って草々と宮田さんに言われていたんですが、さまざまの都合で延び延びに。
 そんなことを柳沢さんの若奥様に言ったら、「うちでも大きくなってますね。こんのくらい」と、両手で顔の前で輪を作ってくれました。
 でも、柳沢さんのリンゴは大きくても小さくても等しく美味しいのは、すでに熟知していますので、3年越しの謎の解明!というと大袈裟ですが、実はリンゴ収穫を終え、お茶の接待をいただく時に出されるサツマイモ、ああ、思わず溜め息が出るほどうまいのです。あまりにうまいので、どうやったらこんなにおいしいサツマイモになるのか、そのあたり、毎年説明を聞くのですが、どうしても得心が行かず、きっと別のおいしい品種なんだろうとか、説明では「コタツの中に転がしておくだけ」と言ってはいても、きっと重大な秘訣は丁寧に排除してわれわれに説明しているのだろうとか、疑心暗鬼というか、疑い深い眼差しをこのサツマイモに向けていたのです。今年こそ、スウィーツの製造現場を拝見したいというテーマを隠し持って五輪久保にやってきたのです。そのあたりの事情は3年前に書いたブログ【真剣!野良仕事】[58=五輪久保のリンゴ]でもしつこく書いていますので、バックナンバーを参照してほしいのですが、いやはや、どうしてもこのおいしいサツマイモを作っているコタツを見せてください、と伏してお願いして、散らかっているから嫌ですと若奥様に断られ、ダメでもともと、そこをなんとかとお母様に平身低頭してやっと了解をいただき、居間にあるコタツを覗かせていただきました。
 それがこの写真です。コタツの掛け布団を剥いだところです。
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↑コタツの内部です。ボクはもっと深い掘りゴタツを予想していたのですが、足をのばしてこのスノコと言うか格子の上に足をのばして入る式のコタツでした。
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↑格子をあげると、一面、きれいに灰が敷き詰められていました。

 柳沢さんのお母様によると、洗ったお芋をアルミ箔にくるんで、この灰の上に転がしておくのだそうです。陽気にもよりますが、剪定したリンゴの枝で作った炭を朝と晩につぐので、コタツも灰もほどよい温度に保たれていて、それがきっとサツマイモをおいしくしているのだろうということでした。リンゴの小枝で作った炭が火力もあり、やわらかい暖かさなのだそうです。剪定された枝は炭と成り、灰と成り、やがてリンゴ畑に帰っていく。循環しているんですね。
 失礼して灰の中に指先を突っ込んでみましたら、火傷こそしませんが、結構な熱さの温度でした。
 どれくらいの時間、この灰の上に寝かしておくのか尋ねましたら、お母さんは2時間と言っていました。朝方から準備していてくれたのですね。ありがたいことです。
 アルミ箔を剥いでナイフでカットした写真が下の写真ですが、キントン状態と言ったらいいのか、ケーキ屋さんで買ってくる極上のスイーツと言ったらいいのか、意地悪でうまく伝えないのではありませんが、やはりこれだけは実際に味わっていただかないと、なんとも伝えようがないなあ。今年もまた、佳きリンゴ狩りでした。
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↑極上のスウィーツとしか言いようのないサツマイモ。品種はごく普通の「ベニアズマ」ということでした。
by 2006awasaya | 2009-11-24 16:55 | 真剣!野良仕事