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【真剣!野良仕事】[171=3年目の稲穂]

2011.10.28(金)
3年経ったら、夢を見よう

 もう30年以上も前のことですから記憶は曖昧ですが、実にいい男そのものの高橋幸治さんが演じたテレビ時代劇「丹下左膳」。林不忘作の時代小説を原作にしたとはいえ、原作にない歯切れいいドラマでした。劇中に流れていたテーマソングが忘れられず、いまでも歌えますが、歌詞がいいんです。「3年経ったら、夢を見よう」というのです。たしか上条恒彦さんが絶頂期の声量で、「夢 を 見 よ う」と、言葉を刻みながら歌うのです。スローバラードで、ベートーベンの交響曲7番の葬送行進曲にも似た厳かなメロディーライン。達磨大師の壁面九年の1/3、3年我慢すれば、男は夢を見ていいんだと、妙な錯覚を正当化したものでした。じわっとこみ上げてくる激情。急降下する鎮静。ボクにとって3年とは我慢の基本単位だったのです。
 話は変わり、昨年9月13日のブログ[131=お米の話(11)]で紹介した我が家の神棚。お陰さまで3年連続で、稲穂を祀ることができました。ボクにとって3年連続とは持続できたことの証明なのです。伊勢神宮に倣い、居ずまいを正して二拝二拍手一拝で祝いました。
 さて、来年もいいお米ができますよう、がんばろう。
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↑左は平成21年産の稲穂。中は平成22年産の稲穂。右は本年平成23年産の稲穂です。ともに落ち穂を拾い集めてここに掲げました。
by 2006awasaya | 2011-10-28 18:50 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[170=一緒に米作り、しませんか 13 倒壊から収穫まで]

2011.10.28(金)
倒伏惨状からの復興
 なかなか更新できませんでした。ああ、これって昔風にいうと「筆無精」ということなのですね。昔はいやになるほど筆マメだったんですが、すべては寄る年波ってところでしょうか。ま、記録だけでもつけておきましょうか。
 今回は写真説明だけで、9月10日のハサ掛けから10月1日の脱穀までを一気に紹介します。途中、台風襲来で、我らの田んぼは大惨状に見舞われましたが、まずは倒伏した田んぼから。

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↑9月10日。すぐお隣の田んぼです。われわれの田んぼは倒伏してメンバー一同呆然としていましたが、お隣の田んぼはこのカカシが四天王のごとく見張っていて、稲はシャンと背筋を伸ばし、一本も倒れている稲は見当たりませんでした。来年は、我々の田んぼにも、こうしたお目付役を配置しよう。もう神頼みしかないのかな。
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↑9月10日。ハサ掛け試作の日、ハサ掛けの材料の竹を田んぼに軽トラで運び込む。
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↑ハサ掛けは誰も経験したことがなく、それで飯島さんに指導してもらいながら片方の畦側だけで作業開始。竹の表面はツルツルしていて、なかなか縛りにくいものです。細みの稲縄をぐっしょり濡らしてきつく縛りますが、なかなか作業ははかどりません。ま、一週間後、ハサ掛けをつくりながら稲刈りをすることにする。
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↑ハサ掛けのサンプルを1列作って、15:24、来週がんばろうと声を上げて引き上げる。この日、とにかく空が高かった。
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↑そのハサ掛けと稲刈り当日の9月17日。ご覧のごとく、べったりと倒伏した田んぼ。バインダーが機能しないので、大半は手狩り。そのための準備作業として、ヒゲを抜き取っている檜山さんと小関さん。
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↑9月17日の作業報告。1反の株数は縦方向151、横方向69で10419株。株の間隔は30センチ。奥の方が分蘗数が多く、茎も貧弱で、根本はカビて腐っている株が多く見られました。1反のうち、午前午後で151×20=3020株をハサ掛けに。
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↑9月21日。前夜にmailあり。「台風15号の通過に伴い、以下の対策が必要」と飯島さんから。「1反のハサ掛けした稲束は、三角やぐらを組んだすぐ下におろしておいた方がいい」と。5畝のヒゲに添わせた稲束は、台風が通過した後、不備があれば修復すればよいので、現状のまま、放置しておいてよいそうです。8時から3列のハサ掛けした稲束をおろす作業をしてきた。
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↑ハサ掛け以外のヒゲ干しはヒゲをダブルで挟むようにして台風対策。見た目以上に強固で、並の台風では倒壊しないだろうと思われました。
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↑9月21日、9:00。雨が降る中、最終のチェック。お隣の田んぼに倒れていたカカシを守護神として拝借。「よろしくお守りください」。別れ際、「昔は台風がくると、真夜中でもこの作業をしたものですわ」と、飯島さんは妙に愉快そうに、この作業を懐かしんでいました。ヒゲに寄りかからせた部分は、すでにしっかりと追加のヒゲでフィックスしてあり、風対策も万全でした。そのハズでした。
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↑9月23日、台風一過の惨状です。ハサ掛けはすべて倒壊していました。ヒゲはほぼ1/2、ひっくり返っていました。惨状を目の当たりにして、一同呆然とお手上げ。年に一度のお手上げなので、これはきちんと写真に記録しておこうということになり、写真を撮ったのですですが、お手上げよりも万歳しているようだとの指摘あり。
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↑どうにも様にならないお手上げ写真です。言葉で「お手上げです」というのは容易ですが、体全体で表現するのは難しいものです。
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↑子ども劇場の倒伏を守り抜いたあのカカシも、我が方の田んぼでは神通力も及ばず、ご覧の通り力尽きた。
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↑もう一度ハサ掛けを作り直し、ふたたびかけ直しました。いやはや、疲れました。でも、みなさん、そんなに疲れ果てた様子も見せません。さすがですね。
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↑9月29日(木)9:00、ハーベスターによる脱穀作業を実施しました。うきうきするほどの快晴でした。収量は以下の通りでした。ハーベスターの受け袋で1反が22袋、5畝が11袋でした。トータル33袋。1袋の重量は計測していませんが、仮に1袋の重量を20kgとすると660kg、25kgとすると825kg、30kgとすると990kgとなります。昨年よりも遥かにしっかりした収穫だったと思います。
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↑9月29日(木)16:36、33袋を軽トラに積み、好人舍へ。どうもお疲れさま。
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↑10月1日、好人舍にて、飯島さんによる今年のお米の品評会。「どうも粒が痩せているようです」と。それを聞くメンバーの表情がどこか険しい。
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↑左のお皿は子ども劇場のお米、右のお皿は我が方のお米。
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↑お米の品評会後、田んぼへ出かけて落ち穂拾いと稲わらの整理搬入。この軽トラで3往復。ボク、今年一番の充実した一瞬でした。お疲れさまでした。それにしてもずいぶん日焼けしたなあ。コホンと空咳が似合う白皙を目指していたんだけどなあ。
by 2006awasaya | 2011-10-28 18:07 | 真剣!野良仕事

【真剣!野良仕事】[169=畑の人、海に憧れる]

2011.10.5(水)

【海に憧れる畑の人】
 10月5日(水)に打ち合わせでお会いし、別れ際に、飯島さんに呼び止められた。
「長谷川さん、三枚におろせますか」と。
「三枚にって、魚? 自信はありませんが、おろせないことはありません」と返事をしたら、冷蔵庫に取って返し、全身銀色に輝く大きな魚を下げて現れた。
「これです」
 なんと立派な!

 2、3日前に、釣りに行ってたようだと、人伝に聞いたような覚えがあり、忙しい時間をやりくりして、とにかく行ってきたんだなあと、ぼんやり思い巡らしながら、「ええ、おろせないことはありません」と返事をしたんです。
 三枚におろすっていっても、ボク、釣りにのめり込んだことはなく、せいぜい船橋の市場に行ってはザルに盛った小アジを買ってきて、エラも頭も内蔵も、さらに中骨もはずし、セイゴを落とし、さらにこのさき、皮を剥けばお刺身用に切り分ける直前の半身にしてから素揚げにし、揚げ終わった半分はその場でいただき、残り半分は唐辛子と刻んだタマネギと一緒に酢に漬けて、翌日からいただく。「三枚におろせますか」と問われたとき、そんなシーンを思い浮かべていたものですから、市場でいつも気軽に買い求めているザルに盛られた小アジ程度ならおろせないことはないし、ひょっとすると、始末に困っている釣果の雑魚数匹をいただけるものと思い込んでいたのです。雑魚は雑魚で美味しいし、流通していない珍しいお魚でもあるし、嬉しいなという表情を用意していたんです。

 ところが、全身銀色に輝く大きな魚。
「ブリの一歩手前って所でしょうから、イナダでしょうね」

 帰宅して、我が家の冷蔵庫には入らないので、ありったけの氷をゴミ袋に入れ、イナダにそわせて一晩置き、朝食前におろしましたが、いやはや、大きいのなんの。イナダっていってたけど、これはもう完璧なブリです。

 思い返せばこの夏、田んぼに水を入れなくてはと、汗みずくになって働いていた7月16日(土)の夜から、僕はかねて約束していた岩井のカメラマンさん宅に遊びにいっていて、翌日曜日は海の色も空の色もマリンブルーとスカイブルー。そんな晴天の岩井袋の磯浜から飯島さん宛に「久しぶりに房総の海にきています。やっぱり海はいいですよ。畑にも田んぼにもいい風が流れていますが、海の風は格別に抜群です」なんて携帯mailをポチポチと打ち送信したんです。海辺ってのは、胸の内を拡張する作用があるんだなあ。胸につかえたヨシナシごとも一気に発散したようで、この開放感をさて、だれに届けようかと、思い巡らすまでもなく、飯島さんへ。遠く紀伊半島沖に台風がいて、房総の海は、天気晴朗なれど波高し。風はあるものの、穏やかな日射し。
 ふつうだったらシカトされるか電話で返事が返ってくるところ、よほどにムカッときたんでしょうね。腹立たしいこのmailをしっかり記録に残しておかなくては!とばかり、携帯メールで「な、なんと!今年はまだ一度も釣りに行ってない! 眠りを覚ますようなメッセージを、朝から! くれぐれも台風の高波にご用心」と返信が来た。相当程度、ハラに据えかねている証拠だ。オフコース小田和正さんの「夏の終わり」じゃないけど、「夏は冬に憧れて、冬は夏に帰りたい」と絶叫するフレーズそのままに、海に憧れる畑の人は海に対して敏感、ハイテンション。
 そういえば飯島さんは時に「畑田空海山」と署名することがあり、海への憧れを隠そうともしない。あの7月17日のmailは相当に危険で不穏な空気を孕んでいたのかもしれません。海へ行きたい、大物とハードファイトをしたい。そんな思い断ちがたく、夏をやり過ごし、忙殺が続く収穫の秋を前に、時間を盗んで釣りに行ったに違いない。
 そんな危険にして不穏な釣果を三枚におろし、焼いて、煮て、そのままレアで、さらに昆布で締め、ありがたくいただきました。ああ、おいしかった。
 まずはお礼まで。

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↑俎の左右がちょうど50センチだから、これはイナダを卒業して、出世の頂点、立派なブリですね。身も締まりブリブリしていて、『字源』では「ぶりぶりしている様を語源とする魚」と説明しているこの大きなブリを、では、三枚におろしましょうか。
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↑胸ビレの根元から出刃を入れて、頭を落とした状態。頭と尾をのぞいて50センチ!
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↑三枚におろしたところ。釣りたての締まった身に比べて、冷蔵してあるとはいえ、数日寝かした肉質こそがちょうど食べごろ。
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↑左はカマ、腹身など焼いておいしい部分。真ん中は身がたっぷり付いた中骨で、これを具沢山の味噌汁でいただく。右はお刺身。半身は今夜このままお刺身でいただき、半身は昆布締めにして来週あたりまで少しずついただく。残り少なくなった昆布締めは、昆布の風味が過剰に乗り移って、ああ、この一切れでこの冬も最後かって感じの味わいになる。残った昆布はもう一度水でよく洗ってから千切りにして、切り干し大根と一緒に煮物へ。循環して最後はすべて食べちゃう。

【イナダにあらず!】
 飯島さんと、田んぼの改修のことなどを含め、この冬にしておきたいことをおしゃべりし、一段落したところで、
「ところで、長谷川さんのブログに紹介されていた飯島関連の記事中、2点ほど修正しておいていただきたいことがありまして。まずは魚の名前。『イナダ』って紹介されていますが、わたし、イナダって言いましたか? もしそうなら、間違えでしたので、修正してくださいませんか。関西ではどう呼ぶのか知りませんが、関東ではサバくらいの大きさではワカシ、次いでイナダ、そしてワラサ、最後がブリと。こう出世していくんですわ。ですから、長谷川さんはもう立派にブリだっていってましたが、ブリはもっともっと大きくて、今回釣ったのはせいぜいワラサってとこなんです。この点、直す機会があれば直しておいてください。もう一点は雑魚について書いてあったと思いますが、飯島はひとさまに雑魚を差し上げたことはないのです。なにも威張っているわけでも、クレームを付けているわけでもないので、誤解なきようにお願いしたいのですが、雑魚は大物釣りのエサですよね。エサをお土産にするわけにはいきません。この点、穏やかにお含み置きいただいて、さて、なんの話しでしたか、そうそう、田んぼの水止めの件でしたか」なんて話しになり、再び魚の話しになり、「釣ったのは網代沖ですわ」と明かされ、おじさん同士のおしゃべりも、これでなかなか楽しいひとときを埋めるだけの交換会であるなあと、しみじみ考える次第です。
イナダは誤りで、『ワラサ』が正しいお魚の名前だってことをここに明記します。
 飯島さん、間違えてしまい、申し訳ありませんでした。とりいそぎ。
 
by 2006awasaya | 2011-10-10 20:32 | 真剣!野良仕事